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ヴォイス 哲平×羽井×哲平

ドラマ[声]09パーチー後、
乙女でへたれなヲタと意外と乙女な元ヤソのゆるいいちゃこら。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 アキさんのアメリカ研修合格が決まり、いつもの5人でささやかなパーティーを開いた。
 もちろん会場は僕の部屋で、料理は羽根井さんの手作り。羽根井さんは勝手知ったると
いった様子でキッチンで料理を作り、アキさんとダイキさん、リョウスケさんが帰った後も
手際よく片付けをしてくれていた。

「羽根井さーん、だいたいでいいですよ。あとで僕がやっておきますから。」
「バーカ。そんなこといったってこの前メシ作ってやったとき、
 次の日来たらそのまま皿が流しに残ってたじゃねえか。ゴキブリ出んぞ。」
「うう…、羽根井さんが来るちょっと前に洗おうかなーって考えていたんですよ。
 そしたら羽根井さんが来ちゃって…、だいたいゴキブリならもういますし…」
「なっ…!こ、今度バル○ン焚くかんな!あと大掃除だ、大掃除!」
 そう宣言すると、わしわしと皿洗いを再開した。

 羽根井さんは基本的に面倒見がいい。時々暴力をふるうことはあるけれど、
過去に出くわしたことのある不良たちのように後の残るようなひどいことはしない。
というかこの人の場合、暴力というよりもコミュニケーションの一手段として
行っていると思える節がある。たとえば、いつものチョークスリーパーだって
ぎゅっと首元に抱きつき頬ずりをする過激なスキンシップの一種と取れないこともない。
それに最近気付いたのだが羽根井さんは猫っ毛だ。本人はひげをじょりじょりと僕の頬に
擦りつけているつもりなのだろうが、柔らかいブラシで撫でられているようで少しくすぐったい。
 料理はうまいし、スキンシップ過多、男前でかっこいいし、面倒見も良い。ゼミ生の
紅一点であるアキさんはそういうのに疎そうだけれど、きっとすごくもてるだろう。

 ぼーっとそんなことを考えていると、羽根井さんはかちゃかちゃと皿を水切り台に移し終え
よしとばかりにキッチンを見回していた。
 なんだか奥さんみたいだ、ふとそんな考えが過ぎった。
「羽根井さんって、料理うまいし後片付けもきちんとしてくれるし良い奥さんになってくれそうですよ

ね」
 ああ!なんてことをいってしまったんだ!いくら料理がうまかったとしても
男性に奥さんだなんて。だから僕は駄目なんだ。思っていることを全て口に出してしまう。

「いえ!そういう意味じゃなくて、羽根井さんはかっこよくて料理もうまくて素敵だなあってことです。
 けっしてそういう意味じゃないです!」
 ああ、語るに落ちた。あわあわと思いつく限り言い訳をして、ちらと羽根井さんを見ると
俯いている。
 あれ、耳が、耳が赤い。
「羽根井さん?」
「…バカ。」
 よかったー。怒っていないみたいだ。むしろ照れている?
「いえいえ、本当のことですよ。さっきの料理だって本当に美味しくて感動しちゃいました。
 料理の手際もいいしおいしいし、毎日食べたいくらいです。」
 少し言い過ぎかと思ったが、毎日食べたいは本心だ。

 (あ、あれ、毎日…?毎日って…。)
 思いがけずおかしなことを口走ったと気づき頬が熱くなる。
「…おまえ、意外とタラシな…」
 羽根井さんがあきれたような表情で僕を見る。
「ち、ちち違います!そんなこと羽根井さんにしかいいません!」
 あ、またおかしなことを僕は言っている。
「ばーか、そういうのがタラシっていうんだよ。」
 まだ少し頬が赤いものの、羽根井さんはいつもの男前な顔でほほえみかける。
 羽根井さんのこの表情は本当に素敵だ。内心の優しさが発露したかのように、真実に優しい表情だ。
しかもその中に野性味もあって、その顔をされると僕はいつもドキドキしてしまう。
「…羽根井さんのほうがタラシですよ…。かっこよすぎます…。」
 羽根井さんを見ているとまたおかしなことを言ってしまいそうで、俯いて自分の手を見つめる。
そういえば、あの怪我をしてしまったときも一番に心配してくれたのは羽根井さんだった。

「…きょ、今日はもう遅いですし、泊まっていきませんか。」
「え、いいのか?」
「もちろんです!あ、この前のCSアイの続き見ませんか?あのあとギルが大変なことに…」
「あー!!ネタバレすんなよ!」

 DVDを僕がセットし、羽根井さんがサッと作ってくれたおつまみとビールを囲んで
二人でこたつに並びCSアイを見る。もう一度見た回なのでストーリーは覚えている。
羽根井さんが隣でびくっと驚いたり、真剣に見る横顔を見る姿が妙に気になりビールを飲むふりをして
ちらりと盗み見る。羽根井さんは集中すると少し口が開く。そんな様子が不思議と可愛く思え
笑みを漏らすと、視線に気付いた羽根井さんがこちらを向いた。
「なんだよ。」
「あ、あの…この前のお守り、ありがとうございました。」
「ふん、結局何ともなかったくせに。心配して損した。」
「羽根井さんのおかげです。あのお守り、ずっと大切にしますね。」
「……………」
「羽根井さん?」

「あした、明日の朝、フレンチトースト作ってやるよ。」
「え?」
「フレンチトースト。食いたいって言ってただろ。」
「ありがとうございます。…うれしいなあ。
 今度、クレイマークレイマーも一緒に見ましょうね。」
「皿はおまえが洗えよ。」
「了解しました。」
「よし。」

 羽根井さんはよしとうれしそうに言うと、わしわしと僕の頭を撫でた。
 やっぱり痛くない。
 皿を洗うくらいで美味しい料理や羽根井さんのこの表情を見られるなら何百枚でも洗ってやるぞと
僕は思った。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

オトメフタリデマサニヤオイ


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