ヴォイス 大己×亮介「問い」
更新日: 2011-01-12 (水) 00:22:56
上で書いた方とは別人ですが
ゲツクの主人公×親友を投下。
ネタは先週の予告の台詞から発展
では、よろしくお願いします!
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース
「今週末の朝9時までに提出すること。締め切り厳守でよろしく」
この前と同じように突然レポートを課され、一人じゃどうやっても出来るわけないと
喚いた撤兵を筆頭にそれをゼミの皆とやることになった。
内容はいつもどおりの難解なもので5人でやったってすぐに終わるようなものではなく
途中で興味をなくした代期が真剣に取り組む4人を尻目に知恵の輪に夢中になったり
カエルのおもちゃをいじったりして真剣な空気をかき乱すことによって
より提出が厳しくなった。
しかも、まともにレポートの続きを始めたかと思うと
今度は突然ふっと浮かび上がった疑問をふっかけ、特に涼介や亜紀の反感を買った。
「大体、おまえはなんでこういう時に限ってあの集中力を活かせないんだ??」
涼介が疲れを露にしながらも、怒りを口にすると、頭を掻きながら代期は呟くように答えた。
「んーなんかこのレポートさぁ、親個丼と一緒でシンプルじゃないからやる気、起きないんだよね」
「おま…」
「はぁ!?それとこれとは別でしょ??あんたは何、今までの課題がシンプルだからやってたっていうの??」
代期の言葉にあきれた涼介の声を掻き消し亜紀が叫ぶと、波根井もよく分からないというような顔をし、撤兵もコクコクと頷いた。
「まぁ…面白かったしね」
「何を基準に…っ、もういいわよ。私真面目にやるから邪魔しないでよね。というか、よく大学入ってから友達出来たわね」
と言いながらなぜか視線は左に向けられる。
「代期じゃなくて俺かよ!」
「いや、深い意味は、ないんだよ?うん!」
「絶対今の顔、あっただろ」
「…とにかく、お前ら分析の続き、やれよ」
だんだん騒がしくなってきたので、静かに液体を混ぜていた波根井が席を立ち
若干凄んだような表情で言い合う2人とその元凶を一瞥する。
「そ、そうですよ!!もう0時を回りますし、ほら代期さんも!」
それに続いて撤兵も皆を落ち着かせるために、それを促したがあまり空気は変わらないままであった。
早朝。寝息しか聞こえない静寂の中、涼介は何かに魘され、途轍もなく気分が悪い状態で意識が戻った。
どうやら変な夢でも見たらしく、遅くまでレポートに取り掛かっていたせいなのか体が重たかった。
「ん…あれ…」
どうやら様子が違う。
少し体を横に向けようとしたら、何かがそれを止めていることに気がつく。
体が重いというより、何か上に乗っている物があるみたいだった。
眠気眼を擦り、その"何か"を見ようとするとそれが近づくのが分かった。
「涼介」
「…だ、代期!?なっ、何やって…」
目の前にいたのが代期だとわかると、涼介は驚きのあまりすかさず後ずさり、口をぱくぱくとさせた。
これ以上今言葉に出来るわけがない。
黙ったまま、またもう一歩後ずさると代期は一歩近づいてきた。
「ねぇ、どうして人間ってさ無防備なときほど可愛いのかな?」
可愛い…?
そう言い放った主は子どものように破顔し、こちらを見据えた。
「…ど、どうし…てっておまえな!」
「いや、だって不思議でしょ?居ても立ってもいられないでしょ?それに、どうして涼介はそんなに慌てるのかな?顔真っ赤だよー?なんでだろ」
やっと返事ができたと思えば、今度は相手と上手く会話が出来ない。
しかも、それは答えられる質問なのか?と涼介は戸惑いを隠せなかった。
だが、ここでこの状態であれば容易に次の行動が予想できてしまった。これはもしかしてまずいのだ、と。
我に返った涼介は、大声で言い放つ。
「お、おまえはどうしてどうしてって朝っぱらからうっさいんだよ!」
言い放った後に代期を突き飛ばして涼介は研究室から飛び出た。
罵詈雑言なんて話の流れで言う。冗談だって言う。
なのに、さっきの一言はあのタイミングで言うべきではなかったと思った。
でも、逃げたくなって走り出してしまった。
だってあいついきなりだったし…俺もどうしていいか分からなかったし…
なんて考えてしまうとなお足は止まらなかった。
「おい、涼介!ちょっと待ってよ!」
代期が追ってきた。が、ここで止まるわけにはいかない。
「待たねぇよ!」
「待ってよ!」
「俺は嫌だっ!」
「嫌でもいいから、涼介、俺、わかったんだって!」
「…なっ、何がわかっただよ!」
いつものクセで答えてしまい、待たないと言いながらついに涼介は足を止めた。
すると勢いよく走ってきた代期が後ろから涼介を抱きしめる。
「どうして人間って無防備なときほど可愛いのかって聞いたじゃん。これ、人間っていうより、涼介だからだよね?他の誰に対してもそんなこと思わなかったし」
代期は少し肩で息をしているせいか、必要以上に体温を感じる。そのこともあって、余計に涼介は硬直して動けずにいた。しかし、必死に言葉を発する。
「は?何、自己解決してんの…?」
「だって、さー。さっき言ったばかりじゃん。どうしてどうして五月蝿いって」
「…それでその答えですか?」
「うん。駄目だった?」
「や…駄目とかそういう訳じゃないけど…」
「けどー?」
にっこりと意地悪そうに笑う代期に涼介は顔を向けられた。
「馬鹿ッ!近いって!」
追いかける前に見たときよりも、涼介は顔を赤くしているのがわかった。
それを見た代期はなんだか嬉しくなって1つ質問した。
「俺は涼介が欲しいって思ってるんだけど、涼介はどうなの?」
「いっ、今、どうしてどうして言うのやめるって言ったようなもんなのに、こ、今度はどうなのかよ…」
「それ、答えになってナイデスヨ?」
「う、うるさ」
涼介が冷静さを取り戻せないまま、再度反論しようとしたその時、またもや動きを止められた。
唇が、触れていたからだ。
ほんの少し絡めた後、きょとんとした顔で代期は涼介を見た。
なぜか捨て台詞も何も飛んでこない。
「これが返事っていうことでいいのかな?…あれ、ちょっと!涼介!…あーあ」
普通に支えていたはずの涼介の体がするりと地面に倒れる。
キスしていた時は反応があったのにまさかこんなことになるとは考えもしなかった代期は、
少々笑いを堪えながら涼介を抱え、その場を後にした。
レポートが締め切られた数十分後。
涼介は研究室のソファーから起き上がった。
そういえば、レポートが終わってなかったと慌てて作業していたテーブルへ向かうと、『出してやったよ、安心しろ』とだけ書き殴られていた紙を見つけた。
どうやら間に合ったようだ。良かった、これで伶仔さんに叱られないなと思った。
それから同時にあの事を思い出してしまった。
富士尾のことがあってから縮まってしまった距離があんなにも近かっただなんて。
そして、はっとした。俺はあれ以上何もなかったよな?と。
確認したが、それらしいものはどこにも無かった。
この件があってからか、涼介は普段の代期の質問に対しては比較的素直に答えるようになったという。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
すみません↑6/6です。
それでは失礼しました!
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