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仮面ライダーキバ 牙ット×渡 「長い夜」

08単車乗り牙ット×渡
擬人化なし。流れ的に本編の序盤辺り?
一応微エロ・微グロ注意

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

卓上のランプがぼんやりと光を放つ、薄暗い部屋の中。
糸を引くような細い音が、流れては切れを繰り返す。
同じ旋律を幾度もなぞるそれは、一向にその先を奏でようとしない。

憮然とした表情を浮かべ、渡はバイオリンを持つ腕を下ろした。
静かになった部屋の片隅から、ばさばさと羽音が近づく。

「どうした渡。また何か悩んでるのか?」
「……別に、何でもないよ」
目の前に飛んできた牙ットを一瞬だけ見て、渡はそっけない答えを返した。
そして自分の反応に驚いている様子を無視して、その場から離れる。

「何でもない割には、全然弾けてなかったじゃねーか」
バイオリンを戻しに行く後を飛びながら問いかける牙ットに
二度目の答えは返さず、代わりに不機嫌そうな表情のまま室内を歩く。

寝室に向かう途中で卓上のランプを消すと、部屋はたちまち暗くなる。
しかし完全な闇にはならず、今度は天頂高く昇った満月と星の光が
全ての窓から部屋をぼんやりと照らす。

「何かあったなら言ってみろって」
「何でもないって言ってるだろ……」
さっきと変わらず周りを飛びながら問いかけは続き、ベッドに腰掛けた渡は
ますます不機嫌さと鬱陶しさを表情に出して答える。
「いや、今日はずっと変だったぞ。特に昼間一緒に外に出たときから――」
「―――っ」
そこまで言いかけたとき、渡があからさまに動揺した様子を見せた。
予想外の反応に少し驚いて、一瞬、沈黙が流れる。

「……あー、なるほど」
全てを察し、牙ットは一人ごちる。
そしてニヤ、と一度笑い、俯く渡の膝の上に降りた。

「嫉妬してたのか、お前」
「………!」
直球に言われ、渡の表情が固まる。

「俺様が街行く美人ちゃん達を見てたのが、そんなに気に入らなかったのか?」
「っ……そんなこと」
「“ない”って言ったら嘘だよな?」
言葉を否定できず、渡はさらに深く俯いて黙り込む。
「まー確かに、どの娘もうまそうだったしなぁ」
わざとらしく呟くと、渡は再び不機嫌そうな表情で牙ットを見る。
それを面白がるように笑い、牙ットは方翼を伸ばすと
俯いて近くなった渡の頬をその先で軽く撫でた。

「心配しなくても、俺様は心変わりなんてしねーよ」
急にきた感触と、何時になく優しい声に、渡は少し顔を上げる。
「散々言ってるだろ、俺様が本気で惚れたのはお前だけだって」
「………でも」
まだ不満そうな渡の顔を見上げ、牙ットは溜め息をついて軽く羽ばたく。
自然と差し出された手の上に留まり、二人の距離が近くなる。

「なんだ、信用ならないって言うのか?俺様はこんなにも
お前のこと、可愛がってるのになぁ」
低く囁いて、牙ットは頬に伸ばしていた羽を首筋へ這わせる。
そうしてびく、と肩を強張らせる渡を見てもう一度ニヤリと笑う。

「嫉妬してるのもそうだが、そういう反応がまたそそられる。
……それに、お前の肌の噛み心地は最高だ」
「………っ」
首筋を襲う感触と言われる台詞の気恥ずかしさで、渡は顔を赤らめる。

「そういや、ここはまだだったな。その顔といい、さぞかし
良い噛み心地でうまいんだろうな」
楽しそうに囁きながら、牙ットは羽先で撫でている反対側の
あまり血色の良くない白い肌へ口を近づける。

「ちょ……それやりすぎ………っうわ!」
さすがに身の危険を感じ、慌てて振り払おうとした反動で
渡はベッドへ倒れた。
そこへすかさず降り立ち、牙ットは渡の首筋へ牙を軽く押し当てる。

「き……牙ット……ダメだって……っ」
「そんな可愛い声出して何言ってんだ。そもそもお前、嫉妬してたんだろ?
 なら丁度いい、俺様の愛情が伝わるまで可愛がってやるよ」
「何だよさっきから……っ変なのは牙ットの方じゃないか……!」
「ああ、……今日はキレーな満月だからな。俺様は上機嫌なんだよ」

振り払われぬよう手を押さえ込み、渡の反応を逐一楽しむように煽りながら
牙ットは牙を突き立てた。

「!――――っ」
棘の刺さるような感覚に、渡は体を強張らせる。
そこへ押し当てられた生温かい感触が、本来できるはずの痛みをかき消して
甘い刺激となって全身へじわりと染みていく。
「…………ぁ」
肌に針穴のような傷が生まれ、ほんの僅かに流れ出た血を舌で受け止め
存分に味わってから、牙ットは満足そうに笑う。

「……可愛いぞ、渡」
紅潮した頬を再び撫で、牙ットは心底嬉しそうに呟いた。
その一言で力が抜け、渡は熱くなった息を吐き出す。
熱さと恥ずかしさで揺らぐ意識が目に映り、それを見た牙ットは
呆れたように苦笑する。

「これくらいでのびるなよ、……まだ終わらせるつもりはないからな」
何処か意地悪く、楽しそうに笑う牙ットへ視線を向け、渡は再び頬を染める。
そんな渡の様子を堪能しながら、牙ットは渡へ静かに口付ける。

自分の腕を押さえつける力は既になくなっていたが
渡は心地良い熱に身を任せ、そのまま受け入れて目を閉じた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


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