クレヨンしんちゃん 「高校卒業」
更新日: 2012-12-24 (月) 04:41:20
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| 大昔ここに上げた某国民的アヌメの続きらしいよ
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 13年後くらい?えらい時間飛んだな
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| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
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春日.部防.衛隊が十年振りに再結成されて三年。
いよいよ僕達にも卒業の時がやってきた。
僕は日本で一、二を争う一流大学に合格し、マサ.オ君は関西の大学へ入学する。
ボ.ーちゃんは東北の国立大学に行くことになり、
ネ.ネちゃんは都内のミッション系お嬢様女子大への進学が決まった。
そしてあいつは、アタマは良いのにあんまり勉強しなかったから、
成績ギリギリのままエスカレータで付属大学に進学することになった。
「だってオラ、風.間君と一緒に居たかったから高校受験頑張っただけだったし」
何言ってんだ、お前ももうちょっとやる気を出せば僕と一緒の大学に行けたかもしれないぞ、と言うと
「ああ、そっか。そういう手もあったなあ~。ちょっと残念」
とつまらなそうな顔をした。
卒業式の前日には、春日.部防.衛隊全員で遊園地に行くことになっていた。
卒業式の翌日には、みんな新天地を目指し出発することになっている。
マサ.オ君とボ.ーちゃんは大学近くのアパートを借りなければならず、そしてかろうじて通学可能なネ.ネちゃんも女子大近くにレディースマンションを借りることになったため、自宅通学組になる僕としん.のすけだけが、卒業式後の予定がなかった。
しん.のすけは早くからエスカレータで進学を決めていたので、僕達が受験に追われていても学校に隠れてバイト三昧だったようだ。
たまにメールをすると、あれだけうっとうしいほど「風.間君、風.間君」と懐いていたあいつが、今では「バイトで疲れてるから」とそっけない返事ばかり。
学校で会った時に「何のバイトして疲れてるんだ?」と聞いてみたこともあるが、なんか適当にはぐらかされる。
あいつ、どうも年末から様子がおかしい。
僕だって、たまにはしん.のすけとゆっくり話をしたいのに。
卒業式の前日。登校日だが学校は一時限目で終わりだ。
僕達春日.部防.衛隊は一度帰宅後、着替えだけして駅に集合し、そのまま遊園地に行く手はずになっていた。
久し振りにみんなとゆっくり遊べるし、そしてしん.のすけとも近況を語れるだろう。
待ち合わせ場所の変なオブジェ前で四人の到着を待っている間、この三年間が走馬灯のように思い出された。
「高校の入学式の時に風.間君の青春はオラに任せとけとか言ったよな、あいつ」
事実あいつが来てからの僕の高校生活はまさしくバラ色だった。
クラスは一度も一緒になったことはなかったし、僕は勉強、
あいつは部活の剣道やボクシングジム通いで忙しかったけど、
しん.のすけは忙しくても必ず一日に一度は僕と一緒の時間を作ってくれた。
それは僕が塾から塾へ行く間のささやかな時間だったり、
朝の登校の慌しい時間だったり、移動教室の合間だったりしたけども、
持ち前の明るさでいつもたくさんの友達に囲まれているあいつの
ちょっとの時間でも独占できるという優越感が、僕には何よりも嬉しかった。
高校の入学式の日、あいつは僕にこっそり耳打ちした。
「風.間君、二人だけの時はトオ.ルって呼び捨てしても、いい?」
「………二人っきりの時だけだぞ」
「嬉しい、トオ.ル! いつも俺と二人っきりで会いたいんだね!
やっぱりトオ.ルは可愛くていい子だなあ~」
「気持ち悪い言い方するなら禁止にするぞ!」
「ええ~やだ~! ごめんね、ト~ルちゃん!」
「………絶対禁止!」
思い出してちょっと笑ってしまうと、
「もう、風.間君変!」
といつの間にか来ていたネ.ネちゃんにじと目で睨まれた。
「さっきからなんか怒った顔したり笑ったり! 一人で百面相なんてしないで、私まで恥ずかしいわよ」
「ごめん、つい。皆で出かけるの久し振りだからさ」
僕としては正直な気持ちを語ったつもりだったけど。ネ.ネちゃんに鼻で笑われた。
「フン。本当はしんちゃんのこと考えてたでしょ。
風.間君はね、昔からしんちゃん絡みの時だけは百面相するのよ」
「ええっ! そんなことないよ!」
あわてて否定するけどネ.ネちゃんはしたり顔だ。
「あのね風.間君。いい加減、あなた達ケリつけた方がいいわよ」
「………何のケリ?」
思い当たらなくて思わず首をかしげると、ネ.ネちゃんは更にじと目になった。
こういう表情は昔から変わらない。
「風.間君って言わなきゃ分かんないほど馬鹿じゃないと思ってたんだけどな、ネネ」
「何なんだよ」
「お勉強だけ出来ても、それだけじゃダメ」
「何の話なんだよ」
「だから………これ以上は言わないから、あとは自分で考えなさいよね。
今日これから何の話だか分かるはずだから」
ちょっと険悪な雰囲気になりかけたその時。
「お待たせ~風.間く~ん、ふ~っ」
耳に息を吹きかけられとたんに腰が砕けた僕の肩を支えるようにして、真横にしん.のすけが立っていた。
「ネ.ネちゃんもお待たー。じゃ、皆そろったし、行こうか」
しん.のすけと一緒に来たのか、マサ.オ君やボ.ーちゃんもいる。
ネ.ネちゃんもいつの間にかさっきまでの険悪なオーラをひそめてニコニコしていた。
「こらしん.のすけ、肩を抱くなよ!」
「いいじゃん減らないし~」
「お前がやると何だか減る気がするんだよ!」
僕の怒鳴り声などどうでもよさげに、しん.のすけはさっさと二人分の切符を買い、
切符を交互に自動改札に入れて、肩を抱いたままホームへ滑り込んできた電車に乗り込んだ。
「風.間君、あれ乗らない?」
しん.のすけが指差したのは、この遊園地の一番の目玉である大観覧車だった。
平日の昼前からフリーパスでひとしきり空いている絶叫マシンに乗りまくって、
あたりはすっかり薄暗くなっている。
まだ三月中旬だから、この時間になると少し肌寒くなってきた。
「寒いったらないわ!」と不快感あらわのネ.ネちゃんはなだめるマサ.オ君とボ.ーちゃんを
引き連れて園内の喫茶店にさっさと行ってしまった。
残ったのは、僕としん.のすけだけ。周りの客もだいぶ少なくなっている。
「何で僕となんだよ…夜の観覧車なんて、男が二人っきりで乗るもんじゃないだろう」
みんなで乗ればいいじゃないか、と僕がふてくされて言うと、
「トオ.ルと二人だけで乗りたい」
思いがけず真剣なしん.のすけの表情が目に入った。
なんだかとても断れる雰囲気ではない。しん.のすけの目が据わっている。
「……分かったよ。乗ればいいんだろう、乗れば」
しぶしぶ返事をすると、しん.のすけはいきなり子供のようにはしゃいで喜んだ。
「やっぱり優しいなぁト~ルちゃん! 素敵な思い出作りましょうねぇ~!」
「寄ーるなーーーーー!!!!」
体を覆い被せるように僕の背中に張り付いてきたしん.のすけを懸命に引き剥がしつつ、
こいつは図体は大きくなっても13年前と変わらないなあと思う僕がいた。
ガラガラの大観覧車にすぐに乗れた僕達は、
東の空に瞬く星と、西の空にわずかに残った夕焼けの残照を堪能した。
しん.のすけは夕焼けの茜色と夜の色が混じった微妙な色彩を眺めているのか、何も言わない。
心なしか、顔色が悪いように見える。
さっきまで観覧車に乗れるとあんなにはしゃいでいたのに。
心配になって「どうしたんだ?」と訊いてみるが、何も言わない。
「おい、しん.のすけ、お前高所恐怖症だったか?」
あまりに無反応なので、しん.のすけの肩をつかんで揺すってみた。
「………トオ.ル」
「何?」
「俺は別に、高所恐怖症じゃない。ネ.ネちゃん達には………
俺達が観覧車で二人っきりになれるよう、前もってお願いしといた」
「ハァ?………なんか僕に話でもあるのか? 話なんか別に観覧車じゃなくてもいいだろうに」
急に、ゴンドラが大きく揺れた。
向かい合わせに座っていたしん.のすけが、乱暴に僕の横に移ったからだ。
観覧車は、まだ四分の一も回っていない。
「話は、ある。大事な話」
膝の上に乗せていた僕の拳を掌で包み込むようにして、ひどく真面目な顔でしん.のすけが告げる。
「何だよ、早く言えよ」
しん.のすけの掌は思いもかけず大きくて、その熱さに僕はおののいた。
なんだか、怖い。振り払えないほどに。
目の前の男が、知らない人のようだ。
緊張してるのか、僕は。
何かを期待してるのか、僕は。
しん.のすけが何を言うのか、想像したくないのに、でも期待している。
心臓がガンガン鳴りだした。隣に座るしん.のすけに聞こえそうな程に。
一気に体温が上がっていく。急に高熱が出た時のように、手足は冷たいけど、体幹が熱い。
―――――怖い。
「俺が…怖い?」
耳元で囁かれて、その声のあまりの低さに思わず身を引いた。
また大きくゴンドラが揺れる。
揺れの為にしん.のすけの手を払って安全バーにしがみついた、
その瞬間彼にキスされていることに気づいた。
どれくらいそのままでいたのか。
唇はゆっくりはずされて、そのまましん.のすけは僕を掻き抱いた。
僕の肩に顔を埋めたまま、うめくような声で。
「トオ.ル……好きだ。13年前から」
「男同士だから忘れようと思っても、ダメだった」
「だから、必死で勉強して、トオ.ルの高校に行った」
「この三年間、とても幸せだった」
「トオ.ルがいたから、何でも頑張れた」
「大学は一緒のところには行けないって最初から分かってた」
「また、お別れになってしまうけど」
「俺はやっぱり終わらせたくない」
そこまで言って、彼はそっと僕から身を離した。
「こんなオラは……風.間君は嫌い?」
そこには今にも泣きそうな顔をした、5歳の子供が居た。
「はい到着でーす」
係員の明るい声とともに、音を立てて観覧車の扉が開かれた。
いきなり現実に引き戻された僕は、幾分おぼつかない足取りで地面に降り立つと、
そこには三人が待っていた。
ネ.ネちゃんはしん.のすけの青い顔を見て、いきなりムッとした表情になった。
ボ.ーちゃんとマサ.オくんは、なぜか心配そうに僕としん.のすけを交互に見ている。
そして僕の後から降りてきたしん.のすけは、顔も上げない。
五人に、妙な沈黙が流れた。
「あんたたち……」
長い沈黙を破ったのは、ネ.ネちゃんのドスの効いた声だ。
「もう一回、乗って来なさい」
何もかも分かっているような顔をしたネ.ネちゃんを見ていると、
そうしなければならないような気もしたが。
「いや、いいよ。ここで」
僕は覚悟を決めて、しっかりとしん.のすけを見た。
のろのろと顔を上げるしん.のすけは、観覧車の逆光のせいもあって表情が分からないが
本当に迷子の5歳児のようだ。
しん.のすけを見据え、ネ.ネちゃんに背を向けたまま、僕は決意した。
「僕だってケリをつけなきゃ。お勉強だけだったら駄目だもんな。そうだろう? ネ.ネちゃん」
「しん.のすけ、僕だって……お前と同じ意味で好きだよ、ずっと前から」
END
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- クレヨン -- 2012-12-24 (月) 04:41:19
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