銭ゲバ 時計兄ちゃん×風太郎
更新日: 2011-01-12 (水) 00:21:42
先週のドラマ是似解場。
なんであんな人気のあるところで、足に怪我してる封が
時計兄ちゃんを頃せたのか。
なんでドラマではそこら辺ちゃんと映さないのか。
そう思ったので真相を捏造してみた。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「もう2人…殺してるんですよ。」
何を言われたのか分からなかった、言葉の意味が頭に入ってこない。
この得体の知れない男は何を言っているのか。
自分はただ、美紅似家から去れと、そう言っただけなのに、答えになっていない、意味が通らない、それなのに、いやに確信ありげに人の目をじっと見て…。
「本当に、ごめんなさい。」
そこで初めて師等革は、封太郎の目と、ありえない近さで見詰め合っていることに気付いた。
何か言おうとするのに声が出ない、どこか恐ろしい高さの淵に立って、底の無い穴を覗き込むような、眩暈のする感覚。
全身の神経がささくれ立って、警告を発する。
(逃げろ!今すぐここから、コイツから離れろ!!)
だが、本当に断崖の淵に立たされた人のように、師等革の足はガクガクと震え、身動き一つ、見詰め合う目を逸らすことさえできないまま、
封太郎に左腕をつかまれてしまっていた。
振り切りろうと思うのに、動くことが出来ない、逃げられない、と思った刹那、ふっと張り詰めた空気が緩んだ。
封太郎が薄く笑っている。
「嘘ですよ。」
うそですよ、うそ、ですよ、うそ、嘘。
音の羅列が言葉として認識されるのに暫く掛かった、同時に周囲の喧騒が、師等革の耳に戻ってくる、
車の排気音、行きかう人々の声に、はしゃぐ子供たちの声、ここがまだ明るい時間帯の公園だとようやく思い出して、
安堵のあまり力が抜け、自然に背後の木にもたれかかる格好になった。
胸部に圧迫を感じた。
封太郎が、左手をつかんだまま、師等革の胸にもたれかかり、じっと自分を見つめている。
「嘘ですよ、本気にしましたか?」
さっきまでとは打って変わって、いやに親しげな笑顔でそう言われ、我に返った師等革は、改めてまじまじと封太郎を見た。
(コイツ、こんなに背が低かったっけ?ああ、そうか、今は僕にもたれているから。コイツ、足が…)
「痛むのか?」
当たり前のことをつい聞いてしまうと、封太郎は師等革を見つめたまま、不思議そうに首をかしげ、それから今度は歯を見せてにっこりと笑った。
「あなたに心配してもらえるとは思いませんでしたよ。」
「…あ…あるわけ無いだろ、心配とか…そんな…」
上手く否定できなくて、師等革は焦った、が、その言葉は思いがけず、封太郎に打撃を与えたようだった。
「…そうですよね、僕がどうなろうと興味ないし、どうでもいいんですよね、師等革さんには。」
恐ろしく沈んだ声で言うと、初めて師等革の目から視線を外して俯いた。
襟元からあらわになった白い首筋が覗く。
(軽いな、コイツ。)
何故かフイにそんなことを考える、美紅似家に近付こうとする封太郎を警戒している時には気が付かなかった、
儚げな線の細さが突然意識されて、師等革を落ち着かない気分にさせた。
「分かりました、師等革さんの言うとおり、僕はどこかへ消えます。」
封太郎が再び顔を上げた、底無しの暗い穴のようだと思われた二つの目が、今は悲しげに潤んで、すがるように師等革を見上げている。
何も言えず、目を逸らすこともできない師等革の左腕から、封太郎の手がどけられ、腰に回される、もう片方の手も同様に、
封太郎の手を離れた杖が、カランと地面に小さな音を立てた。
支えを失って師等革に全体重を預ける封太郎の体はやはり驚くほど軽く感じられた、むき出しの白い首筋が妙に痛々しく、艶かしい、
今すぐ突き放してこの場を去るべきだと、頭では分かっているのに、そのあまりの無防備さが、かえって師等革を怯ませる。
「母が死んで、僕は預けられた施設をすぐに脱走して、それからずっと、この歳まで、1人で生きてきました。」
師等革の胸にもたれたままの封太郎が、さっきの続きを話し出した、言葉を切って、じっと師等革を見つめ、再び言葉を継ぐ。
「………ねえ、師等革さん、僕……どうやって生きてきたか分かりますか?」
「………ねえ、師等革さん、僕……どうやって生きてきたか分かりますか?」
「いや…派遣とか…?」
師等革の答えに封太郎は驚いたように目を丸くし、次の瞬間吹き出すと、そのまま師等革の胸に顔を埋めて震えだした、声を殺して笑っているらしい、
細い肩が小刻みに上下して、封太郎の息遣いが、密着した師等革の身体に伝わる。
「…そんな…当時僕、小学生ですよ…派遣って…捕まっちゃいますよ、僕も、雇う方も…。」
笑いながらそう言って、また師等革を見上げた、笑顔のままだが、どこか暗い影が射しているように見える。
「そうですよね、想像もつきませんよね、あなたのような人には。」
師等革に近々と顔を寄せ、耳元に囁くように言った、ぞくり、と師等革の背が小さく泡立つ。
「本当に、金のためなら、何でもできるんですよ、僕、誰とでも…。」
封太郎の右足が、ゆっくりと両足を割って、いつの間にか質量を増した師等革の中心に押し当てられる。
「…君は…。」
何か言いかけて初めて、師等革は口の中がからからに乾いていることに気付く、初めて封太郎に会った仲間内のクルーズで、
師等革の腕時計を盗んだのではないかという疑惑を晴らすため、次々と着ているものを脱いで、無造作に手渡してきた時の封太郎の姿が、
白く細い身体が鮮明に思い出された。
「不思議なんですよね、僕はこんなに醜いのに、何故か買う人が結構居るんです。」
喋りながら、薄く開いた唇が、そっと師等革のそれに一瞬重ねられ、すぐにまた離れた。
「嫌、ですよね、師等革さんは、こんな得体の知れない…。」
言い終わらない内に、突然景色が封太郎を中心にぐるりと回り、気が付けば師等革は地面に封太郎を押さえつけ、のしかかっていた。
「…師等革さん?」
夜毎見知らぬ男達に開かれた身体、嫌悪と表裏一体の激しい情欲が、師等革を突き動かしていた。
乱暴に封太郎の胸元をはだけ、顔を埋める。
「…っや…師等革さん…師等革さ…やめ…こんなとこ…で、嫌…」
弱々しい声も、押し返そうと肩をつかむ細い指も、火に油を注ぐ役にしか立たなかった。
「誘ったのは君だ…金なら好きなだけやる、何でもするんだろう。」
自分でも驚くほど、野卑な台詞を口走り、封太郎の抵抗を抑え込む。
「人が来ます!」
師等革の動きが止まり、呆然と封太郎を見つめた、師等革にはだけられた胸元を押さえて、封太郎は笑っていた。
「だから、ね?師等革さん、この続きは…」
胸元を押さえていた手が、師等革に向かって伸ばされる、白い胸元が師等革の目を射抜く。
「誰も来ない所で…」
催眠術に掛かったかのように、ふらふらと、師等革はその手を取り、引き寄せた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
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