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ふたりの、居場所

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

懐かしい寂しさの中で目が覚めた。
以前はこの感覚が寂しさだなんてことも知らなかったのに。

胸のどこか底の方にあるはずの温かいものが抜け落ちたようなさみしさだ。
寂しさから救ってくれるはずの人を探す。
いつも胸の奥にいる、温かい人。 いつも隣に佇む背の高い人を。

なのに。

ベットの半分側ががら空き。
目が覚めて自分しかいない。

喉の奥の乾きを堪えつつゆっくり指先をシーツに滑らせる。
そこに残る温かさにほっとしてやっと呼吸ができるようになる。
安心で涙が浮かんできた自分が、酷く可笑しい。

泣く事なんて今まで--殆ど、無かった。
どれだけ運に突き放されたような人生でも、苦とは思わなかった。
ただ、そういうものなんだ、自分の人生はこうなんだ、とどこかで勝手に納得していた。

だから自分が寂しいんだなんて思う事は無かった。

親友と、妻を奪われるまでは。

奪ったのも、奪われたのも・・・
「ふふ…、、」

久し振りに薄暗く、極端な考えをしだした自分が今度は少し懐かしくてまた可笑しい。
薄く瞼に浮いた涙を拭いながら半身を起こすと、ベランダに居る彼の姿が目に入った。

ほんの数歩離れただけの距離。
この距離で寂しさを感じるなんて。

ガラスの向こうの彼は、自分にあきれ返っているこの中年に気が付くと、満面の、でも少し照れくさそうな笑顔を向けてくれる。

「今日も寒いよー、温暖化って嘘なんじゃねーの?」

寂しさ分の距離を長い足であっさりと跨ぎ越えて、しなやかな体がするりとベットに滑り込む。
外気で冷やされた指先が裸の脇腹をくすぐる。

「雪が降らねーかなって見てたんだけど、今日も寒いだけみたいだな。」
「雪?」
「いや、去年はさばかすか降ったじゃん?」
「……そういえば。寒かったですもんね。 …そっか、一年経つんだ」
「一年だよー早いよな」
「早くて…長かったですね。」
「…ああ。長くて、あっという間だった。…今年は降らないのかな、雪」

柔かく腕が首に回され、抱きしめられる。

少し乱暴に、でも不思議なくらい優しく抱きしめられる。
泣くのとは違うんだけど、泣きそうになる。
こころの底に澱のように蟠っている寂しさが溶け出して行くように泣きたくなる。

「へーたさん。」
「ん?」
「おれ、この一年でやたら寂しがり屋になっちゃったよ。」
「いいんじゃね?」

見なくても彼が笑うのが分かる。にやり、と笑うのが。

「オレだって甘えん坊だし。」

まわされた腕に頭をのせると、段々と力が抜けていく。
腕の中で、そうする為に誂えられたかのように身体が自然になじんでいく。

居心地のいい場所。
ここが、おれの温かい場所。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

一年たったんだよねー
スレで一年一年言ってたので妄想してました。
反省はしないけど後悔はこれからする。


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