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芸人 コラボコント内設定のイケメン(狩野英孝)×チャラ男(慶)

お笑いゲイニソのイケメン(かのえいこう)×チャラ男(K)ですが、
赤カーペットのコラボ企画で彼らが演じたコントのシチュエーションで
「自称イケメン芸人と彼に絡んでくるチャラい素人」
という架空の設定上の二人の話です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ <イケメン視点でカップリング要素は薄いです

やあ、僕イケメン。多忙な毎日を送る僕だけど、なんと今日はオフなんだ。
貴重な休日とくればやっぱり自宅でのんびりと疲れを癒したいところ。
だからさ、こんなとこにいるのはおかしいんだよ。こんな、渋谷のど真ん中なんかに。
「ちょ、あれイケメンじゃね?」
ああ、さっきから道行く若者が朴を見ては瞳を輝かせ写メを撮る。
え、何? 僕のギャグが見たい? まったくしょうがないな。
まあここはリクエストにお応えして、ラーメンつけ麺ボク……って見てないじゃないか!
いい加減にしてくれよ君達!

そもそも何故こんな思いまでして僕が渋谷にいるのかというと、とある男を捜してるからだ。
いつだったかこの通りで会って、この僕を散々振り回した、忌々しいチャラ男。
あいつに一言、文句を言いたい。芸人やってる以上は変な奴に絡まれることも少なくないし、
絡まれてもいちいち覚えてられないぐらい僕もそういうのには慣れちゃってるけど、
あのひょろ長いチャラ男だけは何故か未だに忘れられない。
思い出すたびに、何かこう、胸が熱くなる。これは怒りだ。
もう何週間も経ってるってのに未だ冷めやらぬほどの激しい怒りなんだ。
これはもう、再び奴と会って直接文句を言わなきゃ収まらない気がする。

それにしても、ここらでたむろしてるチャラ男はどいつもこいつもそっくりで紛らわしい。
さっきから何度騙されたことか。中には男か女かすらわかんない奴までいるじゃないか!
邪魔だよ全く! あいつが見つからないじゃないか!

ああもう、雨まで降り出した。天気予報はそんなこと言ってなかったはずだぞ。
くそ、どうするかな……冷静に考えれば、一回会ったきりの奴をこんな風に
あてもなく捜したところで見つかるわけがないんだよな。でも他に目ぼしい場所もない。
いいや、どうせ今日はもう一日を棒に振る覚悟で来てるんだ。
とりあえずどっかで適当に雨宿りでもしながら、作戦を練ろう。
「うーわヤベ、マジ雨ザイルなんだけどこれ!」
うわ、何か変な奴が来たっぽい。走ってきて僕の横に来るなり盛大な独り言だ。
なんだよ雨ザイルって…………ん、あれ? ちょっと待って今の声。もしかして──
「……あれ?」
「あ」
「あっれーもしかしてエイコーじゃね? エイコーだよね! エイコー、チュリッス!」
──あ、ああああ! いた! いたよ! すごい、本当に会えた!
何、何だこの展開? これ、これってもう、もはや運命……!
あ、いや、落ち着け。落ち着け僕。ここで会ったが百年目、イケメンらしくスマートに苦情だ。
「や、やあ……久し振りだね」
「お久しブリトニー! あれ、でもフツーに初対面じゃね? 俺ら」
なっ!? あ、会ったことを忘れてるっていうのか!?
普通、芸能人と会ったらそうそう忘れたりしなくないか!?
ああ、ダメだダメだ。こんなところで取り乱したら色々と台無しだ。落ち着け僕。
「37日前の午後にここで会ったことがあるだろう」
「37ぁ? ちょ、エイコー細か過ぎんべ! どんだけカレンダーだよマジウケんだけど!」
……ああまただ、またその顔で笑うか。心底楽しそうな顔で。僕にとってはそれがとても苛立たしい。
だってほら、現に心臓がばくばく跳ねて暴れてるし、顔も熱い。ものすごく熱い。

「あれ、なんかエイコー顔赤いけどやばくね? インフルってんじゃね?」
インフルってたら家で寝てるよ馬鹿。これは怒りで赤……赤いのか? 僕の顔。
まあいいや、とにかく挨拶も済んだしあとは本題に入るのみ。さあ、思いの丈をぶつけろ僕!
「実は、もう一度君に会いたくてね」
あれ、何かニュアンス違うような気がするな、これ。
「へー」
お前はお前で『へー』って! 他にもっとあるだろうリアクションが! 興味無いのか僕に!
くそ、でも取り乱すな。平常心だ。平常心を保つんだ。
「君と会って以来、僕は君を思い出すたびに胸g」
「あ、ごめんエイコー、それもしかして長くなる系の話?」
「途中で割り込むなよ!」
「だからゴメンつったじゃん。でさぁ、もし長くなんならサイゼリア行かね?」
「は? サイゼリア?」
「俺今すんげー腹減りMAXでさあ、このまんま長トークすんのぶっちゃけダルビッシュ」
「あ。ああ」
「だっからさあ、メシ食いながらゆっくり話せば一石二鳥じゃね? ドリンクバー奢るし」
「……」
前も言ったけど、ファンとそんな食事とかできるわけないだろ? 学習能力無いのか?
……でもまあ、うん、今回は僕の言いたいことまだ言ってないし、
空腹のせいで聞き流されたら意味無いし、だからまあ、うん、しょうがないね。
2人で食事するのも今回に限っては止むを得ない。
しょうがない。しょうがないなあ。しょうがないんだよ。

「しょうがないな……僕としては気が進まないけど君がそこまで言うn」
「おっしゃそんじゃ行こうぜ! エイコーはグラスに氷入れまくっちゃう派?」
「だから話をk」
「やーべマジこれ雨ザイルぱねー! 急ごうぜエイコー!」
だから雨ザイルって何だ、ってそれより手を! 手を引っ張るんじゃない!
何か手をつないでるみたいで僕の心臓がえらいことになってるじゃないか!
誤解するなよ、これは怒りだぞ! 怒りなんだぞ!
「ああ!」
「な、なんだ」
「ちょ、俺今すっげ思い出し……なに二やついてんの?」
「ばっ、ににニヤついてなんかない! 馬鹿か君は! それより何を思い出したか言えよ!」
「あーそうそう、俺らマジ会ったことあんねそういや」
「え、」
思い出したのか? やっぱり、僕とのことは心の中にちゃんと残ってたんだな?
忘れられなかったのは僕だけじゃなかったんだな?
「あれっしょー、あの、エイコーがラーメンつけ麺ぼくラーメーンて電話でやってくれた時」
「だからイケメンが消えてるだろそれじゃあ! でもそう、その時だよ!」
「だーよね! 今すっげ腹鳴ってさーその瞬間こうバシーンきて思い出した」
何でそのタイミングで思い出すんだよ。本当にどこをとってもわけがわからないなこの男は。

「つっても、エイコーみたく37日前とかまではわかんねんだけど!」
「──……」
……何なんだ。何でそんな、さっきも今も楽しそうに笑うんだ。
何で僕、こんなわけのわからないチャラ男なんかの笑顔を、かわいいとか思っちゃったんだ。
おかしい、おかしいだろこんなの。何なんだ。何なんだよ本当に。
「俺いっつもテレビでエイコー見てっから、実際会ったこととか逆にわかんなくなってたー」
ああ、くそ、顔が熱い。繋いじゃってる手も熱い。僕としたことが手汗かいてるじゃないか。
何だこのドキドキする感じ。なんでチャラ男相手にこんな感じになってるんだ僕は。
──そういえば名前、知らない。聞かなきゃ、なんて名前なのか。
だって名前知らなきゃ話の最中も締まんないし。
別に僕が知りたいわけじゃない。必要があるから聞くだけだ。
いつ聞こう。サイゼリア入ってからでいいか。
席着いて、注文してからにしよう。もう目の前だし、店。
ああでも、着いたらこの手も離さなきゃならないんだよな……そっか。
……ああくそ、本当にもう、何なんだこの感じ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


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