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仮面ライダーキバ 魔竿→26→0108

他カプ書こうと思ってたけど、スレの魔竿な流れに萌えたので。
26→0108前提の魔竿→26です。
百合と魔夜の名前も出ますので、女の影が少しでも見えるのが厭な人は注意。

会話メイン。エチはありません。
                                             
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

俺はじいちゃんが嫌いだ。

じいちゃんはスゴい人だったらしい。
パパもばあちゃんも口を揃えて「素晴らしい人だった」と目を細めるような。
じいちゃんの子じゃない伯父さんも、赤ん坊の頃助けられたとかで、彼のことを認めているそうだ。
世界にその名を轟かせた天才バイオリニスト。若くして謎の引退。
ス/ト/ラ/デ/ィ/バ/リ/ウ/スの弟子でもあったばあちゃんとの共同製作で名器ブ/ラ/ッ/デ/ィ・ロ/ー/ズを遺し、
そして、愛する女性と息子を護る為、戦士として死んでいった―――
そんなじいちゃんに俺はそっくりらしい。

「…そんっなにすっげーひとだったのかね」
飾り棚にそれは大層大事そうに飾られたバイオリンを見ていると、自然と悪態が口をつく。
「…何がだ?」
その言葉とともに漂ってくるコーヒーの薫り。
「滋郎おじさん!べ、べつに何でも…」
「……乙矢のことが気になるのか?」
「っ!」
バイオリンから顔を背けて何でもない振りを装ってみたけれど、この鼻の良い狼にはお見通しだったらしい。
耳元で囁くように、愉しげな声が問う。滋郎おじさんは意地悪だ。
「……だって」
「…だって?」
「皆じーちゃんじーちゃん五月蠅いんだよ!素敵だったとか、尊敬してるとか!」
じーちゃんはもう居ないのに。
ここに居るのは俺なのに。
「……ホントにそんなにカッコ良くてステキでパーフェクトなスゲー人だったのかな。じーちゃんて」
くくっと笑いを堪えるような声が聞こえた。
「…確かに、凄いと言えば凄かったな。乙矢は」
「そんなに?」
やっぱり俺じゃじーちゃんには敵わないんだろうか。
「ああ。あれほどの男はそういるもんじゃない……が」
滋郎おじさんの細い目が更に細められる。
「格好良くもなければ素敵でもパーフェクトでもないぞ」
「…はぁ?じゃあ実際どんな人だったのさ、じーちゃんて」
「乙矢、乙矢って五月蠅いのは嫌だったんじゃないのか?それに、俺より魔夜や亘に聞いた方が良いと思うが」
「ばーちゃんやパパはじーちゃんのこと褒めてばっかだもん」
それに…
「俺は滋郎おじさんの口から聞きたいの!」
「……後悔してもしらんぞ?」
そう言ってまた笑った滋郎おじさんの顔は、獲物を前にした獣を思わせた。

「乙矢は…そうだな、まず…馬鹿だ」
「馬鹿?」
「そうだ、大馬鹿だ。天才バイオニストだか何だか知らんが、あれはただの馬鹿だ。
 無鉄砲な所もあるし、阿呆なことばかりやっていたな。糸こんにゃくが食えんしコーヒーも飲めん」
「…滋郎おじさんコーヒー好きだもんね」
このヒトはコーヒーばかり飲んでいる。しかも余程気に入った味でなければ金も払わないというからタチが悪い。
じーちゃんやパパたちが常連だったお店のコーヒーは最高級品だとも言ってたっけ。
「それに何より女癖が悪いな」
「うそっ?!」
ばーちゃんは元々フ/ァ/ン/ガ/イ/アのクイーンでキングって人と結婚して大河おじさんもいたのを、
別れてじーちゃんとくっついたってのは聞いてたけど、じーちゃんが浮気症だったとかそんな話は聞いたことがない。
「昔…乙矢と出会った頃だ。俺が惚れた人間の女がいてな」
その言葉にズキンと胸が痛む。
「乙矢もその女に惚れていて、毎日のようにアタックしてたんだが、その傍らで女とみれば片っ端から口説いたり
 …彼女の前でもだ。まぁいろいろあってな、2人は同棲する仲になった。…が、最終的に乙矢は魔夜と結ばれた訳だ」
「はぁ?何それ?!ばーちゃんは好きだけどさ、それ立派な浮気じゃん!
 その女も見る目ないけど…俺ならじーちゃんより滋郎おじさん選ぶって!」
「全くだ。こんなにいい男を差し置いて」
本当にその通りだ。
滋郎おじさんは男の俺から見ても色気があって格好良くって…なのに、なんで。
なんでその滋郎おじさんはじーちゃんなんかに。
「……だが、乙矢は強かった。強くて…でかい男だった」
それ以上言葉では言い表せないかのように、そうゆっくり呟いた滋郎おじさんの目が、飾り棚に向けられる。
ブ/ラ/ッ/デ/ィ・ロ/ー/ズを見つめるその瞳は愛しさに満ち溢れていた。

やっぱり俺はじーちゃんが嫌いだ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


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