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ギラギラ サキエル×秀吉

ドラマぎらぎらより。商事視点のサキL×秀世氏です。本ヌレネタのサキL入店前の輪句入りびたり話。
店の営業時間のことがよくわからないので、非二部営業ということにしてあります。
ぬるくですがレイ○未遂表現がありますので、苦手な方はヌルー願います。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「おいおいまた来たよ……」
「今日で何回目だあ?数えてっか?商事」
いや数えてねーし、数えたくもねーけど。

今夜の営業時間もテッペンを越える頃、これが俺ら六本木輪句の従業員の間で決まって交わされる会話になっちまった。
サキLが客として輪句に現れるようになって一ヶ月近くは経つ。
初めは気まぐれっぽく一週間に一回くらいだったのが、最近では毎晩のように入り浸ってる。
毎回指名される秀世氏もさすがに不機嫌の色を隠さなくなってきた。

「……いらっしゃいませ」
「今夜も遊びに来たよ秀世氏。ちゃんと枝客も連れてきてるんだから感謝してよ?」
ニヤニヤと粘着質な笑いを浮かべてうちの店に現れた早々、ヤツは当然の権利みたいに秀世氏の唇を貪った。
途端にキャー、という黄色い声がフロアのあちこちから響く。
「……ッ……サキLてめぇ!マジでいい加減にしろ!」
そう叫んで全力で身体を離した秀世氏は、手の甲で唇をこすりながら肩をいからせてVIP席に向かう。
VIPでしかもフロア全体が見渡せる席、それがここんとこのサキLの特等席になっちまってる。
「これくらいは挨拶のうちだよねぇ?」
満足気に唇を舐めたサキLは、店のお客さんの声援?に応えて手なんか振りながら悠々と秀世氏の後をついていく。

もうサキLは輪句の常連客の間で有名になってる。変な意味でだけど。
ホモネタはまあ盛り上がることがあるんで(女の子はなんでこういうのでキャーキャー言うんだろ?)
従業員の間で演出っぽく使うことはたまにあるけど、ありゃいくらなんでもあんまりだ。
コウヘイさんの様子を伺うと、やっぱりやれやれという顔をしている。
俺ら従業員もはっきりいっていい加減うんざりなんだよね。……こんなVIP席の様子見せられると。

……がっつり肩を引き寄せられ、頬と頬がくっつきそうな所を秀世氏が身体をつっぱらせて堪えている。
指先でヒゲをくすぐられ、嫌がって反対を向くとそこにはサキLのキスが待ち構えている。
もう片方の手はあっちこっちを撫で回して、秀世氏の腰が逃げようとするとすかさずぐいと引き寄せ直す。
サキLにすっぽり抱き込まれてるって感じで、あのケンカっぱやい秀世氏がよく耐えてんな……と見てるこっちがハラハラする。

……ここはセクキャバじゃねぇっつの!

お店のお客さんからも「輪句では男の客と絡むのもアリなの?」って何回も何回も聞かれてる。
誰かヘルプにつければまだマシなんだろうけど、サキLのヤツはそれを許さない。
俺のついてる席からじゃ二人がVIPで何を話してるかは聞こえないけど、秀世氏の表情はよくわかる。

……
「な、なぁサキL、ちゃんと話しねぇか?」
「話?じゃあ秀世氏がうちの店にいたときの話でもしよっか」
「いや、その話は……」
「あの時の秀世氏にはたまらなくそそられたよ……うちの店でちょっとだけ味見させてもらったとき、
お前は自分からキス求めてきたんだよ?泣きじゃくって『俺を壊せ、壊してくれ』ってさ……覚えてないの?」
「やめろ……」
「惜しかったなあ、桂木体制の目がなかったらあのままお望み通りぶっ壊れるまで抱いてやったのに」
「だからやめろって……!」
「ふーん……じゃあ秀世氏の方からキスしてよ。そしたら別の話してあげる」
「お、お前なあ……!」

秀世氏の顔がひきつりまくり、まばたきもしなくなったのを見て、
これはもうヤバい、限界だよ……と俺がやきもきしてた時。

「サキL」

ウチの本部長、コウヘイさんがVIPへ颯爽と入っていった。さすがコウヘイさんだぜ!
コウヘイさんのブレイクが入って、秀世氏も心底ほっとした顔をする。
「サキL、悪いがちょっと秀世氏を返してくれないか?」
「なぁに?指名?」
「そうだ。秀世氏に仕事させてやってくれ、お前も同業ならわかるだろう?」
「まぁ指名されるうちが華だしね。じゃあ秀世氏戻ってくるまでコウヘイが相手してよ?」
「もちろん。それよりお前、こんなに頻繁に輪句に来てて店の方は大丈夫なのか?……」
とすかさずサキLの隣に座って、秀世氏を逃がす。……コウヘイさんナイス!
俺はVIP席から転がるように逃げ出してきた秀世氏に声をかけた。
「お前大丈夫かよ」
「……あああぁもぉ……!頭がおかしくなりそうだっ……!」
話にならない、とうなりながらトレンチで自分の頭をゴンゴン殴る秀世氏の姿がかわいそすぎる。
あーあー……見てらんねぇ。

とはいえ、サキLも根は悪いやつじゃないと思ってた。俺もコウヘイさんも、多分秀世氏も。
やっぱり輪句にくるお客さんと同じで癒しが必要で、癒しが足りねぇからあんな風になっちまったんだって。
そうやってわかったつもりでいたんだ。

問題のその夜のテッペンも、同じように時間が進んでいくもんだと思ってた。
その日は結構客の入りもノリもよくて、気分のいい酒を飲めてた俺は独り言を言いながらトイレに突入した。
「あー飲んだァ……トイレ、トイレっと……」
ご機嫌で用を足そうとした俺の耳に、後ろからゴン、ゴンという音が聞こえてきた。個室からだ。
誰か吐いて苦しんでんのかな、と声をかけようとした時だった。
『……う……うーっ……』
押し殺したような微かな声がした。この声……秀世氏か?
「……秀世氏?お前大丈夫かよ」
そう声をかけた途端に、中からドンッ!とひときわ大きく個室のドアが鳴った。
続いて中で何かがぶつかる音も聞こえる。うめき声のようなものも。
「秀世氏?」
嫌な予感がした。……これはマジでやばい?
咄嗟にドアに飛びついて上によじ登った。
中を覗いてすぐ、ムカつく顔で笑うアイツと目が合った。その下で涙目になってる秀世氏とも。
「サキL、てめえ!」
気づいたら俺は、狭い個室の中にジャンプしていた。

何をどうやったのか覚えてないけど、身体のあっちこっちを壁にぶつけながらどうにかして個室の内鍵を開けた。
秀世氏は間一髪で助けられたと……思う。
けど、便器の蓋の上でぐったりしてる秀世氏を見ると、胸張って助けたぜ、とは言えない気がする。
口の中にはトイレットペーパーが詰め込まれて、黒のスーツの下も脱がされかけてる。ひでぇ……。
「あーあ、興ざめ」
サキLの野郎はそんな捨て台詞を残して平然と個室から出ていこうとしやがった。

「お前……ホント最っ低だぞ!」
俺は迷わずヤツに掴みかかった。
その隙に秀世氏は口ん中の紙くずを吐き捨て、下を引き上げながら黙ってトイレから出てったけど、後姿のいかった肩がその気持ちを表してた。
「秀世氏……」
「お前のせいで逃げられちゃったじゃん」
この目の前でニヤついてる男を殴りたくてしょうがない。けど、こんな鬼畜ヤロウでも客は客なんだ。
「サキLてめえ……ここはお前の汚らしい店じゃねーんだよ!」
「うるさいワンコだなあ……やっぱり生意気だよお前」
「んだとぉ!?」
「あーあ、こんなことなら秀世氏と初めて会った時にさっさとヤっとくんだった」
「てめえ……!」
「……さて問題。俺がじきじきにうちの店の新人スカウトする時の条件てなんだとおもう?」
「そんなの知るかよっ!」

「正解は『俺がヤリたいと思うかどうか』だ・よ」

「……!……」
そう、楽しげに耳打ちされて俺は、頭ん中のネジが全部ぶっ飛んだ。
そこから先のこと、マジでなんも覚えてなかった。
どんくらいたったのか、トイレの床でぶっ倒れてたところをコウヘイさんに起こされた。顔と腹がいてぇ……。
「商事、一体何があったんだ。秀世氏は店飛び出していなくなるし、お前はこんなとこで倒れてるし」
「コウヘイさんっ……俺すげえくやしいっ……!」
あんなに真面目で、一本気で、仲間思いの秀世氏にあんなことしといてぬけぬけとあんなこと言いやがって。
秀世氏もなんであんなやつのために言いなりになって我慢してたんだよ。
俺は絶対、アイツを許さねぇ。

「てめえ!何しにきやがった!」
アイツは秀世氏にあんなことしやがったクセに、次の日またのうのうと輪句にきやがった。
ブチ切れてサキLを店から叩き出そうとした俺を止めたのはやっぱりコウヘイさんだった。

「サキL、ちょっと外で話さないか?」
「……いいよ」

店から出て行った二人は、後から聞いたところによると公園のベンチでこんな話をしてたらしい。

「……商事からお前を出禁にするよう頼まれた」
「出禁ねえ……」
「でも、肝心の理由を話そうとしない。お前と秀世氏、商事と何があったんだ?」
「……別に?酔ってちょっとやりあっただけだよ」
「やりあっただけねえ……」
「あーあ……最近なんか色々うまくいかないよ。全部コウヘイのせいだからね」
「なーんで俺のせいなんだよ……それよりなにがうまくいかないって?」
「まあ色々ね……まったく、人ひとり思うままにできないなんてサキLの名が泣くよ」
「なんだお客さんの話か?お客さんは自分の思い通りにするものじゃなくて……」
「ちーがうよ、客じゃないから困ってるんじゃないか」
「お前でも困ることなんてあるんだな。女の子か?」
「……だってそいつバカなんだもん。どれだけ嫌がらせしても、いつもまともに俺なんか相手しようとしてさ」
「よくわからないけど、サキLはその子のことがとても好きなんだな」
「好き?さあねえ……思い通りにできないから執着してるだけかも」
「好きなら、嫌がらせなんかしないで大事にしてやれよサキL」
「大事ねえ……そういえば大事にするってどういうことなのかなコウヘイ。
仕事では金さえいただけりゃ相手のことなんでも聞いて思い通りにしてきたけど、金が絡まない相手のことはさっぱりだよ」
「自分を大事にできれば、また相手も大事にできる」
「またそれか……それができりゃ苦労はしないよ」
「……なあサキL、ギャラリ亜を辞めて輪句に来ないか?」
「……はぁ?あんた何言ってんの?」

「あそこにいるより、自分を大事にできる」
「簡単に言うなよ。仮にも俺はあそこの代表だよ?」
「お前は相手を思い通りにできないと言ってるけど、本当に思い通りにできないのはお前自身の心なんじゃないのか?
輪句に来ればいつかきっと、その相手も大事にできるようになる」
「……あんたも、あんたの弟分も本当にバカだね」

同じころ、店から出て行った二人の背中を見送って、俺は秀世氏をロッカールームに引っ張り込んだ。

「俺、コウヘイさんにアイツを出禁にしてくれるよう頼んだ」
「……」
「それでいいよな?理由は言ってねえけどコウヘイさんならわかってくれるはず……」
「商事」
勢い込む俺に対して、秀世氏は静かに話し始めた。
「アイツさ、多分俺を試してんだ。どこまでやったら俺が舌巻いて逃げるかって」
「試すって……だからってあんなことするかよ普通」
「俺はここでアイツから逃げたくないと思った。だって多分もうひと息なんだ。
アイツは輪句が居心地いいから自分の店に帰りたくないとか言ってたけど、そうじゃねえ。
きっと枕自体、もうやりたくないと思ってる。俺にはわかるんだ」
「秀世氏……」
「騙して金を取るとかじゃなくて……金のためにどうこうするってわけでもなくてさ……
あんなメチャクチャなヤツでも俺が本当に癒してやれるんなら、身体のひとつやふたつ張ってもいいかなって」
「いいかなって……いいわけねーだろ!そういうの、自己犠牲っていうんじゃねーのかよ」
「いや一瞬な。一瞬そう思っちまったんだよ。だから隙をつかれてあんなとこに連れ込まれちまった」
「お前の悪いとこだぞ、人情につけ込まれんの」
「ああ、二度とそんな風には考えねえけどさ……でもアイツのことは、何とかしてやりてえんだ」
「秀世氏……」

どんだけお人好しなんだよと思ったけど、でも俺の親友の秀世氏はこういうヤツだった。
ってかこういうヤツじゃなかったら親友になってなかったかも、と思い直した。
この少し後、まさかサキLが本当に輪句に入店することになるだなんて、この頃の俺には想像もつかなかったけど。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


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