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関西弁探偵×死神雀士「外側の世界」

完結した某熱血パロロワから
 関西弁探偵×死神雀士 死者スレにて
読み手も男ばっかなのにもう誰向けなのか需要というより知ってる人いるのか
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

どこ、とはっきりとは分からない。ただ此処に居るという感覚。死んだ筈だが生きている。
脚もある。手は勿論。消し飛んだ体は確かに存在している。そしてそれは死を悼んだ仲間も同じ、生きて愉しげにはしゃぎまわっている。
とにもかくにも一つに成った筈の俺達は再び個々の勝手な意思を持って遊んでいる。多分、この先長いことそうなんだろう。
なぜ、と言われても分からない。
ただ感じる。俺達は元の世界に帰ることもなくこの曖昧な場所で互いが互いを忘れるまで遊び続けるんだと言うこと。
以前なら冗談じゃないと泣き付く所だろうが、今は嫌じゃない。むしろ、そうあるべきだとさえ思える。
だって俺達は粉々に消滅して一つになった。それがまたこうして顔を合わせている。
一度死んで、それがまたこうして生きている。ならもう死ぬことはないだろう。怖いことなど何もない。
しかし…そもそも、生きとるって何や?
なーんて…そんな事でも考えんとかんとカオス過ぎて笑ろうてまうわ。

ベンチに腰掛ける。公園の隅みたいな所や。向こうに遊園地が見えて、ピンクの髪した子と眼鏡の白学ランが手ぇ繋いで歩いてく、そんなのが見える場所。
多少テキトーな事言うたって構いやせん。そうだと誰かが言えばそうなるような所なんやから此処は。
ジャリ、軽い音を響かせてアイツが歩いてきた。見なくても煙草の匂いでわかる、振り返れば、ほら。
「よぉ。麻雀は飽きたんか」

「クク…いつまでも終わらない東場に泉が休憩と言い出しただけだ…お前こそ…」
いつものように喉の奥で笑って話を振ってくる。
確かに俺はさっきまで、こいつの後ろで神がかった運の麻雀対決を眺めてた。それこそ何時間も。
「流石にただ見とるんも疲れるっちゅうもんやろ」
「飽きたのか…?」
「…再開するとき声かけろや」
まぁ、くきくき笑うオッサンと組んでるのも、ヤバい筋肉のオッサン達が眺めてるのも、ぴったり張り付いてる大首領の存在も気になるしな。
…気になるって何がぁ?
知るかいな。暇潰しやろ。フラグたった女もおらんし俺。ここしかない。こんなカオスな場所で、眺めるんがコイツの背中。だけ。
かぁー。しけた死後の過ごし方やな。
当の本人は、関係ねぇな、とでも言いたそうに隣に腰掛けると、慣れた手付きで新しい煙草に火を点した。匂いが改めて強くなる。
それにしても。
「…変なとこやな、此処」
「変?」
「せや。味方も敵も一緒くた、皆死んだ筈やんか」
「死んだから此処にいる…ということだろうな」
「いやオカシイやろ」
「確かに可笑しい。狂った発想だ……まさに狂気…面白い」
「面白いことあるか、どんな頭の回路しとんじゃ。こちとら天国を期待しとったっちゅーに」
「ふーん…天国なんて行けるつもりか?」
「やかましわ」
死んでも嫌な奴。好かれてる(オッサンにだが)のが信じられない。
死ねっつったり生きろっつったり、人の命を簡単に使いよる。
それには自分自身も含まれるんやからそらぁ始末が悪い。筋が通ってるつもりなんやろう。アホか。
ぶちのめしたいのは敵の親玉よかお前や。スカした面しよって。馬鹿っ高い鼻へし折ったろか。

「少なくとも俺は此処を気に入っている」
「そらぁあんだけ楽しく遊んどったらな。趣味なんやろ麻雀」
「それに仮に天国があるとして万が一アンタが天国に行っていたら」
「万が一言うなや失礼なやっちゃ」
「二度とこうして話す機会もなかったろうな」
……それは少し、いや、とても…寂しい。
「……急にネガティブなやつやな」
連絡が途絶えた時、思った事は「もっと話したかった」という願い。直接言った訳でもないのにそれを口にした赤木にどきりとした。
「天国とやらになんか行けるような人間でもない」
「…そないな事言うたら、俺かて、そうや」
此処で『生きて』いるけれど、確かにこの手で消した命がある。天国になんて自分だって届かない。
忘れていた胃の辺りがずしりとする感覚に、悟られないよう僅かに眉をひそめた。
赤木は煙を細く吐き出しながら「そんな所信じてもないしな」と軽く笑ってみせる。
ならネガな事言うなや、胃が痛い。
「此処は良い…誰もどんな死に方だろうと此処に来る…まるで誰かの願望の表れのような強引な世界…なら、こちらも好きに行動するだけだ…」
「何やそれ、誰かの妄想で此処が出来とるっちゅうんか」
「かも、しれないな…!」
「誰やねん。JUDOか?他に神でもおるんか」
「さぁなー…」
赤木は上を向き開いた口から丸い煙を作り出して、肩を竦めた。
「さぁって…」
気の抜けた返事にこちらも完全に脱力する。キツネに化かされたような気分。イライラする。
別段嫌なものでもないが、好いものでも勿論ない。飄々とした赤木の受け答え、声、視線、冷静な男。馬鹿正直な程に歯に絹着せぬ物言い。
嫌では決してないけれど。

「…変な奴やお前」
「アンタも劣らない…」
劣らないって事は自覚はあるんやな。尚悪い。
「ぬかせ。はーっ、疲れるやっちゃ」
「そうか…俺もだ」
売り言葉に。
「お前みたいなの見た事ぁないわ」
「アンタみたいな男も珍しい」
買い言葉。
短い言葉が、心地良かったりして実は全く疲れてない。
「けっ、胸クソ悪いわ」
「俺はそうでもないな…」
「…、は、さよか」
先にそう折れられては困る。殴りたいくらいヤな奴でいて欲しい。これじゃ俺がただ暴言吐いとるだけになる。
瞬間的な居心地悪さにチラと様子を伺うと、微妙にニヤついた目と視線がぶち当たった。
…わ ざ と か。あぁやっぱりヤな奴。
「……、」
コツン、苛立ち紛れに靴を蹴ると、ほんの僅かだけ眉が上がった。
コツン。軽い振動が右足に伝わってきた。
「蹴るって事は…蹴られても良いって事だろ…?」
横目で視線を送り、コツン、コツン、ガキみたいにお互いやり返す。
「った!」
足の甲を鈍痛が襲う。か、踵で踏みよったか…
「ククク…」
「お前踏んだやろ、この」
意地になってやり返してやろうと脚を持ち上げる。両足は卑怯、あくまで勝負は片足で行う…!
…ガキか、俺等。
視線を横に移す。赤木は珍しく煙草をくわえたまま、下らない遊びに意識が向いてるようだった。
…ガキやな、俺等。

ふと、今まで気にした事もなかった赤木の歳なんかが気になり出した。年下だったら何か怖い。でも年上という感じもしない。
死ぬなと言ったった時のあの表情は、子供みたいやったし。
白髪が目元にかかる横顔は…アホなガキと言っても多分間違いないやろ。

余計な事を考えていたせいか、ぎゅうと足の甲を押さえられた。踏まれた所がじんじんと熱くて痛む。
…ピンクやら紫やらの髪を見たせいか特段今更驚きもしなかったが。
つ、と瞬きと共に赤木の目が此方に向いた。遊びに熱を無くした俺への抗議かもしれん。
白い髪に白い肌、同じく色素が抜けたような淡い薄茶色の瞳は、近付けばビー玉のように澄んでいて怖いくらいだった。
「……八鳥?」
何も言わんと面の観察をしてた俺にいぶかしげに言う。左手を伸ばしてくわえた煙草を取り上げてみた。
黙ったまま睨むような視線を返すから、此方も観察を続ける。
睨み合ったあの時はもっと、紅く攻撃的に光っていたのに。

本当に吸い込まれそうなくらい…どうにも穏やかな色だ。

胸ぐらをひっ掴んで、首を傾けて唇を押し付けてた。
「………!」
触れる、離す。
また珍しい表情をしていた。それだけで満足だ。
「はは…できた。意外と邪魔にならんもんやな、顎と鼻」
笑って言ってやれば、タバコの灰がぱらりと地面に散った。
「見た目より柔い唇しとるやん」
「…なん…だ」
「さ、なんやろな?」
親指で煙草のフィルターを弾いて灰を落とし、半開きの口に戻してやった。

マジで何やろか。
気持ち悪、男に何をしとんねんワレ。
でも可笑しい。いつも馬鹿みたいに落ち着いとるこの顎オバケが目を大きく開くのが楽しい。
その為にまた触りたい。口だけじゃなくて、なんや、こう、もっと色々。
…気持ち悪。俺。

「…本当に、聞いた話とズレてる奴だ」
煙草を手に取ると細く煙を吐き出す。それを追って視線を遊園地に向けた。あぁ、誰も見とらんで本当良かった、と今更思う。
「人の趣味まで聞いとったんか」
アホぬかせ自分、そんな趣味ないわい。滅多な事言うな。
赤木はいつものように喉で笑うと、それは初耳、と可笑しそうに言った。
さして意味もない。それが伝わっとるんやろうな。愛のコクハク、なんて大層で気味悪いモンじゃぁ到底ないって分かって笑ってる。
俺も告白するようなコイツへの愛なんぞ無い。大首領にはあるかも知らんけど。

ふ、と軽く笑って立ち上がる気配にそっちを向く――よりも先に襟を掴まれた。
「ぅ、え?」
奴の指に放り出されたタバコが、宙を舞って音もなく落ちる。
ドラ猫でもひっ掴むように襟を持ち上げられ、苦しいと顔をあげれば。
「、……な…」
乱暴に襟を解放されて、浮き上がりかけたケツがどすんとベンチに戻った。
「さて…クク…なんだろうな」
折り曲げた腰をぴんと直すと軽く小首を傾げて、人を小馬鹿にしたような笑い方をする。そのままの面で踵を返して歩いて行った。

…あぁ、腹立つやっちゃ。
それでも何か腹の底が疼くような気がして、いよいよ自分も終わってきたなと思いながら湿った感触の残る唇を指先で撫でた。
ジャリ、ジャリ、音を立てながら背中が小さくなる。麻雀を再開するんだろうか。ベンチに貼り付いたようだった腰をゆっくりと上げる。
地面で煙を吐き出し続ける煙草を拾った。奴の背中を眺めながら一口大きく吸ってみる。
旨いものでもない。でも憎たらしい匂いが肺一杯に広がって笑いが込み上げた。
時間は無限にある。死んで尚生きているのだから。何もこの悪ふざけに慌てて意味を求める必要もない。ただ、今はただただ…
あぁ、憎たらしい嫌な奴、クソッタレが、

「めっちゃ好きじゃボケェ」

タバコを投げ捨て靴先で火を消した。とんでもない台詞が口から零れた気もしないでもないが、まぁ構いやせん。
きっとずっと一緒なのだから、あいつと居たら楽しいに違いない。
腹が立って苛立って、いけ好かなくて意外にガキで、だけど一緒に居たい話をしたい。

この曖昧な場所で、互いが互いを忘れるまで。

「…ぜーったい、どついたる」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
…白い死神の方、伏字にしてなかっ…orz
そしてこんなピンポイントなところにツボった同士は恐らくいない…OTL
オメヨゴシ スマソ


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