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ペルソナ4 某ペルソナ→主→足

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                     |  ペルソナ4 ネタバレ含む二周目捏造です
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  某ペルソナ→主→足。主の名前は説明書デフォ
 | |                | |             \ ただしやおい成分は3行くらい・・・
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 全てが終わった。
 人の心を、絆を、可能性を否定し弄ぼうとした存在は、この世界から去った。
 彼と仲間、そして彼の従えるペルソナによって、町を覆っていた陰鬱な霧は晴れ、
人々を脅かすおぞましい犯罪にも終止符がうたれた。
 学業をこなしつついびつな家族の仲を取り持ち、友人達の心を解きほぐし、自らの
信念を貫いてひたすら前へ前へと突っ走ってきた結果、あっという間に一年が過ぎた。
 一年――それが、この町で彼に与えられた猶予だった。
 表向きの目的も、秘密の命題も……全てを終えて、月森孝介は稲羽を去った。

 田舎から都会へ。孝介は頬杖をつき、列車の窓から一年前とは真逆に流れていく
風景を眺めていた。
 彼の手には、去った町で得たかけがえのない絆の証として、出立の直前に仲間達と
撮った写真がある。まぶしいほどの笑顔の仲間達に囲まれ、自分も笑って写真に
おさまっている。
 だが、精一杯の笑顔をしたつもりだったが、まるで幼子のように屈託無く笑う皆に
比べるとどうしても見劣りしてしまう。
 ――心の底から笑うことができない。
 事件は解決したし、さらに根底にあった忌まわしい存在も打破した。
 それでも。孝介はまだ、全ての溜飲を下げることができずにいた。
 もともとポーカーフェイスで通っていたので仲間達には悟られていないはずだ。
皆とは何の禍根も残さず笑顔で別れ、そしてただ自分一人で小さなわだかまりを抱えて、
こうやって本当の家路についた。
 その原因が何なのかも、そしてそれを解消することがもはや不可能なことも、孝介は
重々承知していた。それゆえのわだかまりでもあった。
 自分と対になるような人格を具現化した彼――忌まわしい神の手の上で踊らされ、
本来ならば決して行わないような凶行を遂げてしまった哀れな青年。
 おとぼけでお人好しで、そしてただ人並みに闇を抱えていた青年。
 たとえ他者に背を押されたとしても、実際に人を殺めたことには違いないと観念し、
今は町で起こった災いを全て自分によるものだと申し開き、法による裁きを待つ身のはずだ。
 これ以上自分にできることは、もう無い。
 だが、一人でこうして電車に揺られていると余計に考えてしまう。
 彼の凶行は絶対に許されるものではない。それでも、それでも――

 稲羽を摸した心象風景の中で力を出し尽くし倒れた彼は、まるで憑き物が落ちたかのように
すっきりとした顔をしていた。
 それは、心の底の願望を歪められ引き出され、そして孝介が助けてきた仲間達が見せた
表情と何ら変わりのないものだったのだ。
 それが、孝介の脳裏から離れなかった。
 果たして自分のやったことは彼への救済になり得たのだろうか。
 こうするしか他に無かった。これが最善だった。孝介はずっと自分にそう言い聞かせてきた。
 たとえどれだけ悔いが残ったとしても、時間は遡ることは決して無いからだ。
 彼とて今の状況を従容として受け入れているのだ。たとえ自分が今更何を思おうと、何一つ
として変わることはないのだ。
 去年の年の瀬からずっと、そう言い聞かせてきた。毎日そうするうちにやがて自分の中でも
妥協という名の決着がつきそうだったというのに、昨日の出来事でまた認識を改めざるを
得なくなった。真実を知った今、また一人で苦悩する日が始まりそうだった。
 次第に緑の気配が薄くなっていく風景を眺めながら、稲羽での出来事を一つ一つ思い出し、
そして彼のことを想う。
 そうこうしているうちに、不意に孝介はふわりと暖かい眠気に襲われた。
 前日の戦いのせいで、だいぶ疲れがたまっていたようだ。堂島家に帰宅してからも叔父に
悟られまいと普段通りにふるまっていたのもあり、そのしわ寄せが一人になった今、一気に
訪れたようだった。
 列車が目的地に到着するまではまだまだ時間がある。孝介は写真を片付け、シートに
背を預けて力を抜いた。
 列車の鈍い振動が心地よく、孝介の意識は瞬く間に沈んでいった。最後に想ったのは、
やはり彼のことだった。

 いつしか、孝介は夜空の中に一人で立っていた。
 現実の夜空では無い。ただ幾千幾万の星々が瞬く不思議な空間だった。浮いているのか
立っているのかも定かではない。感覚がぼやけているようだった。
 夢の中でいつの間にかビロード張りのリムジンに乗っていたりすることが頻繁にあったため、
さほど驚きはしなかった。だが、リムジンの内部でも無く、そしてテレビの中の美しい世界でもない、
初めて訪れる場所だった。

 不測の事態に強すぎる、とよく仲間に言われたものだ。孝介は慌てることなく
周囲を観察した。そしてふと、この空間のことを思い出す。
 ここは、孝介のペルソナが生まれる場所――自分の心の中だった。
 思い出したとたん、不意に背後に気配が現れた。
「我があるじよ」
 落ち着いた男の声。孝介は振り向いた。そして思わず声を漏らす。
「ヨシツネ……!?」
 そこにいたのは、二本の小太刀を腰に差し、朱塗りの甲冑に身を包んだ武者姿の
青年だった。立っているだけでさまになるというのをまさに体現しているような
荘厳で優美な佇まいである。
 その青年は、孝介のかけがえのない戦友でもあった。
「私が貴方をお招きした次第」
 そう言って、孝介のペルソナの一つである英霊ヨシツネは身をかがめて孝介に
向かって頭を下げた。まるで孝介の女友達にひけをとらないほどの美しい黒髪が
肩から滑り落ちる。
 ヨシツネの出現で一瞬慌てたものの、孝介はすぐに落ち着きを取り戻し、そして
顔を上げたヨシツネに向かって微笑んだ。
「お前達には本当に感謝してる。改めて礼を言う機会があって良かった」
「ええ。私は貴方の心の一部なのですからそのようなことは承知しておりますとも」
 ヨシツネも優美に微笑む。
「しかし……いきなりどうしたんだ。お前がここに俺を招いたと言っていたが……」
 孝介の問いに、最強の英霊は一呼吸間を置いてから、静かに告げた。
「彼を、救いたいのでしょう」
「――!!」
 孝介は目を見開く。
「私どもは貴方の一部。貴方がどれだけかの男のことを想っていたか、心を痛めて
いたか、全て分かっております」
「……」
 自分が隠していた願望を他者に言い当てられる――仲間達が体験したシャドウとの
対面がいったいどんな気分なのか、孝介は今になって初めて思い知った。決して
気持ちのいい物では無かった。
「そ、それでももう俺にできることなんか無いじゃないか。あいつは人を殺した。その償いはしないと――」

「時を戻せるとしたら、貴方はどうなさいますか」
「――!?」
 うろたえながら絞り出した言葉が、ヨシツネの静かな声で遮られた。
 時間は巻き戻せない。それこそが、孝介が心のもやに対して折り合いをつける
ための一番の言い訳だった。だが、絶句している孝介の前に立つペルソナは、
まるでそれが可能だとでもいう風に続けた。
「その代償として、貴方は全てを失うことになるでしょう。これまで築いてきた絆も、
そして力も。全てをはじめからやり直せるけれど、同じことを繰り返すという苦痛にも
耐えなければならない」
 何も言うことが出来ず口をぱくぱくとしている孝介を、いつしか笑みを消した
ヨシツネが真っ直ぐに見つめてきていた。その眼差しは真剣で、決して冗談を
言っている様子では無かった。
「それでも、もし、再びこの時を――お仲間や、かの者との時間をやり直せるとしたら、
どうなさいますか」
「……」
 孝介はうつむく。そして、考える。心の底ではとうに決まっているが、それを表に
引き出すのはそれなりの勇気が必要だった。
 うまくいかないかもしれない。また助けられないかもしれない。
 それでも。
 少ししてから孝介は顔を上げ、そしてヨシツネを見上げた。悪鬼を一瞬で斬り伏せる
最強の英霊は、きっと孝介の決意が既に分かっているのだろう。優しい眼差しが返ってきた。
「できることなら、やり直したい。あいつの歪みが弾けきる前に、助けてやりたい」
「そう仰ると思っておりました」
 ヨシツネは頷いた。そして、なぜか一歩足を前に進め、孝介との距離を詰めた。
「実は、先程全てを失うと申し上げましたが」
 息がかかるような距離に迫られる。現実の伝承では小柄な男だったとのことだったが、
孝介のペルソナとして在るためか、ヨシツネの身の丈は孝介とほぼ同じくらいだった。
 不思議そうにヨシツネを見る孝介に向かって、ヨシツネは籠手に包まれた手をゆっくりと
伸ばしてきた。そして指先でそっと、孝介の頬に触れる。
「遮る物が無いときに貴方に触れるのは初めてだ。柔らかい」
「ヨシツネ……?」
 確かに今はテレビの中ではないのでクマ特製の眼鏡をしていない。だが、そういう問題ではない。

 流石に予想外の事態でうろたえる孝介に、ヨシツネは柔らかい声で囁いた。
「私が、おりますゆえ。たとえ貴方が全てを失っても、何度やり直すことになっても、
私がずっと、貴方のお側におります。貴方を、お護りします」
 そう言うと、ヨシツネはおもむろに身を乗り出してきた。伝説にまでなっている
美貌が肉薄する。
「――!」
 するりと身を引いたヨシツネは、ぽかんとしている孝介にほんの一瞬満悦の
笑みを浮かべてから、静かに跪いた。
「貴方の盾として、剣として――そして、友として。共に参りましょう」
 ヨシツネが詠じた瞬間、星空だったはずの周囲が光に包まれ、そして孝介の
意識は再び掻き消えた。

「!」
 びくりと痙攣し、孝介は目を覚ました。
 列車の振動の感覚が戻ってきた。どうやら音も振動も何もかも分からなくなる
ほど熟睡していたようだ。
 寝過ごしたかと思い慌てて時間を確認するが、寝入ったときからそれほど
経ってはいなかった。孝介は安堵の吐息を漏らし、再びシートにもたれかかる。
だが、再び「あること」に気づいてがばりと身を乗り出す。
 窓の外を見ながら、孝介は呆然と呟いた。
「これは……」
 風景が、逆に流れていた。稲羽を発ったはずの列車に乗ったはずだというのに、
この方向に進むということは再び稲羽に向かっていることになる。
 孝介はあたりを見回す。何の変哲もない特急列車だ。少なくとも自分以外に
その異変に気づいた乗客は居ない。
 孝介はふと、自分の手を見た。
 孝介の手には、仲間達と撮った最後の写真ではなく、一枚のメモ用紙が握られて
いた。そこに書かれているのは叔父の――堂島家の連絡先だった。
 それを見た瞬間、孝介の中で、何かが弾けた。夢の中で聞いた優しい声が耳に蘇る。
『時を戻せるとしたら――』
 そして、全てを悟る。時が遡ったのだ。

 ここは稲羽行きの電車の中で、自分は今年、2011年から堂島家に一年間預けられ
――そして能力を得て、町の人を、彼を、救うのだ。
 きっと稲羽では叔父も、友も、自分のことを忘れて――否、忘れるも何も、もとより
何も知らないのだろう。自分だけが同じことを繰り返すことになるのだろう。
 だが、その中で因果を断ち切って、その先にある彼の手を取り、赤黒い闇から
引き上げなければならない。
 課せられた、課した使命は重い。だが、必ずやり遂げる。
 孝介は使命を胸に秘め、静かに目を閉じた。

 夢の中で、何があっても側に居ると言ってくれた友の唇が触れた左目の瞼が、ほのかに
温かい気がした。
 

 やがて孝介は再び稲羽の地に立つ。
 かけがえのない、最強の友を従えて。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ クリスマスハモチロンヨシツネトデート
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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