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だんだん  康太→石橋

スイマセン以前>>79で麻ドラ小説投下した者です。
年明けでタンバリン解雇宣告受けるらしいので、その放送までの無法地帯にやりたい事やってやる!ww
とりあえず>>79の続き的なものです。レモンの蜂蜜漬けにやられたorz

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

その日は初めてのボイストレーニングの日だった。
野ゾミと目グミに付いてスタジオにやってきたが、
タンバリン担当である小唄とギター担当である旬はやることがなく、
部屋の隅にある椅子に座り衣柴氏と共に見学することになった。
小唄は深く考えずに衣柴氏の隣に座ったが、すぐに後悔した。

距離が近い…。

体と顔は真っ直ぐと正面を向けているのだが、
衣柴氏の長い睫毛、赤い唇に細い首筋と目線が体をなぞってしまう。
以前、他家中と衣柴氏の情事を目撃してから、自分の衣柴氏への感情を気づいたこともあって、
小唄は衣柴氏への態度が徐々に変わっていくのを自覚し始めていた。
ふとした瞬間に触れ合う手にすら息が止まってしまうほどに。
しかしあの真っ直ぐで自分を曲げない衣柴氏が他家中とその様な関係にあったというショックもあった。
自分の感情に気付く前は男として純粋に憧れていた。
その憧れの人物が男と、しかも上司と体の関係にあったのだ失望感も強い。
だが、その事に失望する反面、その憧れの対象へ欲情しているのも事実で。
あの情事を思い返し、時には頭の中で他家中と自分を入れ替えた自慰行為を何度もしていた。
終えた後は罪悪感に苛まされるが、止められそうにもない事も自覚している。
普段の衣柴氏からあの淫猥な表情は影も見えない。
だから、あの時の事はもしかしたら夢だったのではないかと僅かに思うが、
その矢先に他家中の衣柴氏を見つめる視線の中に欲望を見つけてしまうから
小唄はその視線に他家中への嫉妬と衣柴氏への渇望を憶える。
憧れと失望と嫉妬と欲望。あの日から感情が心の中でせめぎ合っていた。

「小唄」

思考の渦に取り込まれている中、いきなり飛び込んできた声に飛び上がる。
「小唄?」
二度目の声に怪訝な様子を捉え慌てて声の主へと振り向いた。
声の主である衣柴氏も多少驚いた顔をしている。
「なっ…なんかね?」
「大丈夫か? ボーっとしてたみたいだけど…」
「あ、ああ、ボイストレーニングってこげなモンなんだってちょっと集中して見とったんだが」
そんな小唄の言い訳に衣柴氏は笑顔を浮かべた。
「そうだな。小唄たちには初めてだらけだもんな」
「目グミも野ゾミちゃんも大変そうだけん、俺ボーカルじゃなくて良かったー」
はははと若干引きつった笑いを見せると一緒に軽く笑った衣柴氏は
「なに言ってるんだ」と冗談交じりに小唄を諌めた。
その表情に安堵しながら胸を撫で下ろし、正面に目線を戻すと目に入るのはボイストレーニングの指導者である絹皮の言葉に神妙な表情で頷いている目グミと野ゾミ。
雰囲気から察するともうすぐ終わりそうだ。

「あ、そうだ。これ」
「ん?」
また衣柴氏から声を掛けられ、今度は普段通りに振り向く。
そして気付くと小さな紙袋を渡されていた。
「…? これは?」
「レモンの蜂蜜漬け。蜂蜜は咽にいいからね、みんなで食べて」
「レモンの蜂蜜漬け…」
なんだか高校の部活のマネージャーみたいだな、
なんて思いながら紙袋の中を覗き込むと家によくある半透明のタッパーが入っていた。
まさに思い浮かべていたそれだ。そしてそのまま思った事が咄嗟に口に付く。
「…もしかして、手作りかね?」
それは当たっていた様で、衣柴氏が僅かに含羞んだ。
あまり見られないその表情に心臓が高鳴る。
「手作りっていっても、レモンスライスして蜂蜜に漬けるだけだから、そんな大したもんじゃないよ」
成人もとうに超えている、まして年上の男性に対してこんな事を思うのはおかしいのかもしれない。
だが、小唄はそんな含羞む笑顔を見せた衣柴氏を可愛いと思った。
そしてそれと同時にその優しさが嬉しくてじんわりと心が熱くなる。
そうだ、今までだって結局衣柴氏は優しかったではないか。
こうして自分達の事を気に掛け、いろいろな事に手を尽くしてくれているのは事実であり、
自分はそんな衣柴氏に惹かれているのは真実なのだ。
他家中との事はショックだが自分が想い続けるだけなら、と思うことにする。
自分自身の気持ちの確認が出来た小唄はなんだかスッキリとした気分で衣柴氏に笑顔を向ける。

「あとで皆で食べるけぇ!だんだん!」

「ああ」

衣柴氏の大きな目がゆっくりと細まり、白い歯が覗いて綺麗な笑顔が返され、
そんな笑顔を見ながら今はこれだけで充分だ、小唄はそう思った。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

蜂蜜漬け食べたいよ蜂蜜漬け。
あと前回コメントしてくれた方ありがとうございました!
みんなみんな肝スカが好きになぁれ。


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