芸人 ますだおかだ
更新日: 2011-01-12 (水) 00:19:51
コンビ組んで長いわりに、ネタ見せに恵まれてない気がする2人。
エチもなし、需要があるかも分からないネタでスマソ。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
久々の、TVでの漫才だった。
今人気の、短い時間でネタを見せ、どれだけ笑いを取れるか競う番組―結果?もちろん最高の評価。
当たり前や。俺ら、芸人や。どれだけピンの仕事が増えようと、バラエティのレポートの仕事ばかりが
スケジュールを埋めようと、芸人は、芸を見てもらってナンボ、それで笑ってもらってナンボ。そう常々
思っていたから、今日は力、入ったで。相方の突っ込みも、切れがまったく鈍ってない。普段は滑って
ばかりで、皆から「おもろない」とか言われてるけど、俺だけは知ってる、わかってる。こいつは
ホンマは、おもろい。俺のボケをうまく拾い、一つ頭高いところから突っ込むタイミングの絶妙さ。
時々、マジで次に突っ込む段取りを間違うときもあるが、それが全然白けさせない。むしろそれすら
ネタかと思わせる。得なヤツや。結構ハンサムなのにまったくモテないのが不思議なんやけどなあ。
袖に引っ込んで、結果を聞いて、俺らは思わず腕と腕をあわせた。『どうや!』と、お互いの目が言っていた。
その時、ゲスト審査員の誰かがこんなことを言った。
「陸多くんが仕事してるのを、初めてみましたよ」
俺は耳を疑った。なんやて、なに言ってんのやこの人?
つまり、いつもはつまらない陸多がちゃんと漫才が出来てる、笑いが取れてる、そういいたいんか?
信じられヘンことに、司会の兄さん方もうっすら同意している。俺のはらわたが一瞬煮えたぎった。
冗談じゃない。俺ら、どんだけコンビ組んでると思とんのじゃ。TVに出てなかっただけで、もう営業
しまくってたんやで。例え客が特売品目当てで集まってきてるスーパーででも、耳がホンマに聞こえ
てるかよう分からん老人ホームででも、もう漫才が出来るトコと思えたら、どこでもいってしゃべ
くってたんやで? そん時だって、俺の隣には、この相方がいたんや。腐りそうになる俺を、あの
整ってるわりに間抜けな顔で「まあまあ」と宥めて、次の仕事に連れてってくれたんや。言っておく
けど、俺はわがままや。それに、笑いには真剣や。そんな俺が、心底「おもんないヤツ」と、こんな
長い間、組んでいられるか? 冗談やない。まったく、笑えへんで!
「キッツいなあ~、言われてるなあ~オレ」
自分への厳しい言い方を、相方は苦笑いしながら肯いている。おい、やめや。お前、自分でも
「おもんない」思てんのか? まったく、どれもこれも、沢山の人に俺らのしゃべくりを聞いて
もらえないのが悪い! この状況が悪い! 世界中に知らしめたいで。「俺の相方は、おもろい
んやど!」「お前ら、バカにできんのやで!」と。
畳敷きの楽屋に戻っても、俺の気持ちは晴れなかった。むしろ、気持ちは落ち込んでいた。
つまり、俺がコイツのおもろいところを、全然伝えきれてない、ってことか。
だから、皆はこいつの本当のトコを知りえないんか。
出前の冷たい弁当を「ウマウマ」とほおばる相方を見ながら、俺はとてもじゃないが飯を
食える気分にはなれなかった。こんなに長く組んでるのに…ふがいないなあ、俺。
「どしたんや?」
弁当から顔を上げて、相方が俺のヘンな空気に声をかけてきた。ほっぺにおべんとつけて。
まあ、無邪気なやっちゃ。
俺は、少しだけ笑った。あ、いけね、とあいつは自分のほっぺに指をのばす。
「なあ」
俺はつい声を出していた。
「俺ら、これからもずっと、漫才続けられたらいいなあ」
そしたら、お前のおもろいトコ、いっぱい出してやれるのになあ…。
アイツは、一瞬黙った。顔色がサッと変わる。
「どうした?」
その変化があまりに急激だったので、今度は俺がヤツに尋ねた。ヤツは…いつもは俺のアホみたいな言葉に、
へらへら笑って肯くヤツなのに、この時はいきなり持ってた弁当をバーンとテーブルに叩きつけて、俺をギッと
睨みつけてきたんや。
「…お前、ヘンなこというなよ」
すくみ上がってる俺に、ヤツはズイっと近寄ると、まっすぐな強い視線を合わせてきた。
「へ、へんなことって?」
ヤツは、ハーっとため息をついた。そして「あのな」と言葉を続ける。
「おまえ、時々そんなこと言うよな? 「俺ら何時まで漫才できるかな?」とか、
「ずっとコンビ組めてたらええなあ」とか」
「…え、そう?」
全然覚えてない。
「オレはな、お前にそう言われるたび、胸の奥がギクーっ! とすんねん! なんやお前、
解散でも考えとるんか!?」
「まさか!!!!!」こればっかりは、声が出るで!
「それとも、残された命があと数ヶ月とでもいうんか!?」
「なんでやねん!!」
おいおい、俺が突っ込んでどうする。しかし、ヤツの表情は真面目やった。真面目に、
真剣に、俺だけに訴えている。
「だったら、いちいちそんなこと口に出すの、やめてんか!! オレはな…ええか、オレはな、
自分がおもんないことぐらい、分かっとんねや。だから、皆にそう言われたって気にならへん!
…いや、ちょっとは気になるけど。まあええわ。とにかくオレはな、オレは、つまらんと
言われてもいいんや。でもな、お前がたまーに口にする、そんなヘンな…寂しくなるような
コトの方がコタえるんや! オレが、唯一おもろくなるのは、お前の隣でだけなんやで!
そこんとこ分かっとるんか!?」
「…うん」これにも、素直に肯く。そうや、それは確かに…そうや。
「だったらそんなアホなこと言わんと、新しいネタの一つも考えんかい!! ボケ!!!!」
あー、もったいな! 弁当どうしてくれんねん! とヤツは真っ赤になった顔のまま、
乱暴に俺の弁当をひったくった。「罰やで! 腹ペコで次の仕事にいけや!」と、俺の顔も
見ないで、ヤツはガツガツと弁当に噛み付いた。
半ば呆然としながら、俺は相方のそんな様子を眺めた。今、言われた言葉が頭の中でリピートされる。
俺はにんまりと笑った。やっぱり俺の相方は、お前で正解や。
「なあ、陸多」
「ナンや!」
「俺たち、いつまでも頑張ってこうなあ」
「だから…っ、そういうこと言うなて」
「だけどさ…ホンマそう思うんや。俺達、このままずっとさあ」
「だからやめや、いうとるやろ!!」
「でもさあ、俺ら」
「あああああ、もう!!!!!!」
食い散らかした弁当を放り投げ、ヤツは後ろにひっくり返った
俺は声を上げて笑った。な? 俺の相方はおもろいやろ?
誰ともつかない相手に心でそう告げて、俺は相方と自分にお茶を入れた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
赤/絨/毯の再放送を見て、瞬間的に思いついた。
書いたことに後悔はしていない。してはいないけど、レス数数え間違えた!
4/4が正解です。すいませんでした。ちょっと吊ってくる
- ゲ仁ンスレで見たラッパの話思い出した。これはいいコソビ愛舛丘! -- 2009-06-12 (金) 03:39:15
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