さよなら絶望先生 痴漢×先生+准×望
更新日: 2011-01-12 (水) 00:18:46
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ぜつぼう先生
原作で男子生徒が痴漢にあう話があってスレがざわっとしたので
触発されて書きました。
痴漢に遭う先生、後ちょっとだけ准望。
規則的に揺れる列車の中で、望は窮屈さに小さくため息をついた。
休日だからか、今日は随分列車が混んでいる。
こんな時、いつもなら望はきっちり両手で吊革に掴まり、万が一にでも痴漢の疑いが掛からないよ
うに心を砕くのだが、今日は乗車するなり人の流れに押されて、入ったのと反対側の乗車扉の間際
に立つことになったので、その必要もなかった。
ひしめき合う車内、望はドアに寄りかかるようにして窓を流れる風景を見つめる。
しばらく揺られていると、列車はまた次の駅に着いて、新しい乗客を積み込んで発車する。
人に押されてきたのだろう、背中にぴたりと人の気配が密着する感覚が望を圧迫した。
こんなに混むのなら、もう少し時間をずらした方が良かったかも知れない。
近所の書店には入らない新刊書の発売日だからといって、そんなに早くから大規模書店のある駅ま
でいそいそと出掛けなければならない道理もなかったのに。
たまたま早く目が覚めたからといって朝から出掛けるようなことをしてみるとこの始末だ。
目的の駅まであと五駅。十分少々の我慢だ、と窓に掌を添えた時、望は腰の辺りに妙な触感を覚え
て身じろいだ。
「……?」
なんだろう。混みあっているから体に何かが触れるのは当たり前だけれど、今のは腰から腿にかけ
て、なにかが不自然な通り過ぎ方をしていったように思う。
とはいえ満員の車内、人に押されて振り向くことすらままならないから、望は気のせいだと思うこ
とにして窓の外を流れる街の光景に目を戻した。
眺める窓ガラスに、車内の様子も不鮮明に映りこんでいる。
望の背後に、身長は望と同じくらいだが、望より随分と体格の良い男が、ぴったりと張り付くよう
にして立っているのが分かった。
がたん。緩いカーブで列車が揺れた拍子に、背後の男が望の方に更に寄りかかるようになる。
体を押されて、望は半歩ばかりドアの方に追い詰められて、窓に添えた手に力をこめて体を支えた。
混雑した車内だから押されること自体に不足を唱えるつもりはない。けれど。
「……っ」
揺れが収まっても寄りかかってきた男は望から離れる様子はなく、それどころかさらにぴったりと
背後について、ほとんど背中に覆い被さるような体勢をとろうとする。
「あの──」
流石に苦しい、と抗議の声をあげようと思った途端、望はいきなり上腿を鷲づかみにされて息を呑
んだ。乱暴な指が袴の上から望の腿を掴み、ひどく乱雑な動きで撫で回している。
「え……」
これは一体どういう事か。
痴漢、という最も安易な推測を思い浮かべかけて、望はありえないとその思いを打ち消した。
いくら自分が痩せぎすな体格であるとはいえそこそこの長身だし、子供の頃ならいざ知らず、今は
女性に間違えられるはずもない。
きっと何かの間違い、偶然のことだろう。そう結論づけて、さりげなく背後の男から距離を取ろう
と身じろいでみる。とはいえ余裕のない車内のこと、ほんの数センチばかり移動できたかどうか、
というところだったけれど、望の腿に触れていた掌はどうにか離れたように思えた。
僅かに安堵した矢先、耳元で苛立たしげな耳打ちの音がした。
攻撃的な気配が背後でざわめいた気がして望は思わず身を竦める。
すると男の指が再び望の腿をしっかりと掴み、乱暴に尻へと撫で上げた。
これは何かの間違いや気のせいなどではあり得ない。
望がそう自覚した時には、男の指は袴越しに望の内股の間へと潜り込もうと仕掛けていた。
「やめ……」
首だけで振り返って制止の声を上げようとした望の口を、大きな掌が塞いで声を封じた。
背中から密着する男の体と、下半身を撫で回すもう片方の掌。
ぴったりと押しつけられた男の下腹部が分かり易すぎる膨張を示しているのが分かって、望は不自
由な体勢で辛うじて左右に首を振った。
「んん……っ」
「大人しくしてろよ。すぐに済むからさ」
もがく望の体を押さえ込みながら、男は息を荒げて声で耳元に吹き込んだ。
まだ若い声だった。大学生くらいかも知れない。
信じがたい。これまで痴漢の被疑者にならぬようには気を配ってきたけれど、この期に及んでどう
して自分が痴漢の被害者になっているというのか。
頭が混乱して現状把握も覚束ない上に、背中から抱え込むように覆い被さられ、体全体をドアに押
しつけられているから、もはや抵抗もままならない。
男はしばらく好きなように望の尻を撫で回したり会陰部を指で探ったりしていたが、袴ごしに触っ
ているのが面倒になったのだろうか、次には袴の裾をたくし上げに掛かった。
「っん……うぅ──っ」
着物の裾ごと袴を捲りあげられて、いつもは厚く覆われている足が空気に晒される感触が分かる。
顕わになった足に、今度は直接男の手が触れた。
「ん──っ!」
「こんな捲りやすい格好してるんだからさ──これって触っていいってことだよな」
腿から尻、そして下穿きの上から内股をくぐって股間をまさぐりながら男がさらに耳元に呟く。
その言い種に望は激昂していいやら呆れていいやら分からなくなった。
捲りやすい格好が痴漢の免罪になるとするなら、世のスカートを穿いた女性は痴漢に対して一切文
句が言えないことになってしまうではないか。
「アンタもさ、ほら……こんなになってるし」
「っん……」
前に回った手で望の下腹にある膨らみを掴みながら、揶揄するように男は続ける。
耳元に熱い息を掛けられ、あちこち撫で回されて、情けないことに望の下半身は欲情をあらわす形
に育ち始めていた。
こんなところで身動きも出来なくて、ただ触られるがまま受け入れるしかない状態ではそれも仕方
ない、と思いたいけれど、こんな事で反応してしまうなんて、あまりに自分の体が浅ましくて情け
なくなってくる。
顔を真っ赤にして俯いてしまった望に気をよくしたのか、男は望の項に熱い息を掛けながら唇を触
れさせた。
前に回った手が下腹部から這い上がって胸元へ届き、着物のあわせからシャツの上へ掌が這い込ん
で胸をまさぐる。
探る指先に乳首を探しあてられて捏ね回されて、膝が崩れてしまいそうになった。
「……たまんないね。このままここで喰っちまおうかな」
「んんんっ」
口を塞がれたまま、望は喉の奥で声をくぐもらせる。
こんな場合だけれど、こうして口を塞がれているのはある意味不幸中の幸いかもしれない。
この手がなければ、自分はあらぬ声を人込みの中で漏らしてしまっていたに違いないから。
それにしてもこの男はどこまで図に乗る気なのか。軽口めいて呟かれた言葉がどこまで本気なのか
分からずに、ただ身を竦めながら男の気が済むのを待つしかないでいる望の背後で、ジッパーを下
ろす小さな音が聞こえた。
続いて、生々しい感触がさらけ出された腿に押しつけられて、望は全身が粟立つのを感じた。
「ん──っううっ……!」
ぎゅっと目を瞑ってただ頭を振る。
目尻にじわりと涙が溜まって、それがぽろりと溢れて頬に零れた。
何も悪いことなんてしていないのに、どうしてただ混みあった電車に乗っていたというだけでこん
な目に遭わないといけないというのか。
絶望した。早起きは三文の得なんてもう決して信じてなるものか。
そう心の中で宣言したその時。
「ぐ──ぁっ!」
蛙の声のような引き攣った声が背後で聞こえた、と思うと、密着していた男の体がにわかに望の体
のそばから飛び退いた。
望の口を塞いだり体を這い回っていた手も外されて、捲りあげられていた着物と袴がぱさりと元に
戻る。
「……?」
一体何があったのか。様子を確かめようと恐る恐る振り返ろうとした途端、扉に添えていた手が横
から延びてきた手にしっかりと掴まれてぐいと引かれた。
「っ……!」
恐怖心を覚えて反射的に手を引こうとしたけれど、強い力で引きつけられているので逃れられない。
どうしようかと戸惑っていると、いつの間にか停車駅に着いていた列車が止まり、開く扉の向きが
変わったのだろう、目の前の扉がすっと開いた。
すると、望の手を掴んだ手が、更に強く望の手を引いて、扉の外へと引っ張り出そうとしてきた。
目の前には沢山の乗車待ちの客が数人。
まごついているとひどい非難の目を向けられそうで、望は手を引かれるままにホームに降り、新し
い乗客を詰め込んですぐに扉を閉めて発車する列車を見送った。
人でひしめき合う列車の中、窓越しに、さっき望の背後にいたと思しき長身の男が、ひどく苦しげ
に顔をしかめて、体をくの字に曲げている姿がちらと見えた気がした。
では──あそこにあの男がいるということは、さっき望を列車から引っ張り下ろしたのは誰だとい
うのか。
「先生、大丈夫でしたか?」
望がそう思ったのと、降車客の人込みが引いて、自分の手を掴んでいる相手を望がようやく視認で
きたのと、聞き慣れた柔らかい声が望を呼んだのとは同時のことだった。
「久藤君──」
望の目の前、教え子である──そしてそれ以上の秘めた関係を持ってしまっている──久藤准が、
とても心配そうな顔で望のことを見つめていた。
「久藤君……」
望の手をしっかりと掴んでいる准の手の温かさと、彼の望を案じる表情とが、望に包み込まれるよ
うな安堵感を与える。
さっきまでの恐ろしさと緊張から解放されたことに一気に力が抜けたようになって、望はぱたぱた
と涙を零してその場に蹲ってしまった。
「うん……怖かったですね。もう大丈夫ですから」
望の手をしっかりと握ったまま、もう片方の手で准が望の髪をそっと撫でて宥める。
「そこのベンチに座りましょう」
ふたりが降りた駅は、望の目的の駅ではなかったけれど、あんなことがあったあとすぐに次の列車
に乗る気持ちにもなれなくて、望は准に手を引かれるままホームの中ほどにある小さなベンチに腰
を下ろした。
他の客はとうに改札に向かっていて、もうそんなに混みあう時間でもなくなったのか、ホームには
他に誰もいない。
准が自販機から暖かいココアを買って渡してくれるのを、なんだか立場がないように思いながらも
ありがたく受け取って口を付ける。暖かい甘さが喉から胸の底に染み通っていって、望はようやく
少し落ち着いた心持ちになった。
「……久藤君は、どうしてここに?」
「多分、先生と同じ理由ですよ。きょうは○○出版の新刊発売日でしょう?」
どうやら、自分たちは別々に同じ場所を目指して、同じ列車の少し離れた場所に偶然乗り合わせて
いたらしい。
満員の車内、彼がふと目をやった先に、口を塞がれて男にのしかかられている望が見えたので、人
込みをかき分けて男の背後に歩み寄り、持っていたハードカバーの本の角で男の背中を強打したう
えに、振り返った男の金的を蹴り上げて反撃不能にしたところで、丁度停車した車内から望をつれ
て降りたのだ、と准はそう説明した。
彼にしては些か乱暴な振る舞いだが、あの暴漢には本当にひどい目に遭ったから、余り気の毒には
思えない。
「ありがとうございます──久藤君がいなければどうなっていたか……」
「先生のこと守ることが出来て良かったです。でも……怖い目に遭わせちゃったから──あんなこ
とされるまえに先生の傍に居られなかったのが悔しいです」
不本意そうにそう告げる准の気持ちだけでただ嬉しくて、望はもう一度ありがとう、と准に言った。
「いいえ。本当にひどい目に遭いましたね。ほら、こんなに襟も乱れて……」
乱暴に撫で回されていたから、着物の襟元が乱れてみっともないことになっていた。
いつのまにやらシャツのボタンまで中途の一つ二つが外されている。
隣に座った准が、こちらに身を乗り出して襟元に手を伸ばす。
ボタンを留めようとしてくれているのだろう、准の手がシャツに触れ、そうして指先がほんの微か
にその下の望の肌に触れた。
「……んっ」
ぞくり、と、触れられた場所から不意の熱さが皮膚の底に這い込む。
望は思わず身を竦めて、自分の喉から零れた声が奇妙に熱を帯びた響きであったことにうろたえた。
「あの──久藤君、いいです。自分でしますから……」
「先生?」
逃げ腰になって准から離れようとする望を訝るように覗き込みながら、きっと他意はない准の手が、
そっと望の肩に置かれた。
准の顔が近い。呼吸が近い。体温が触れる。
「や……っ」
全身が不埒な熱さに取り巻かれて、さっき触れられていたそこかしこに置き去りにされていた火種
が熾る気分に苛まれる。
「先生……」
どうしてこんな。
あんないやな思いしかしなかったことなのに、どうして男の手が離れたあとも体に情欲の名残が残
ってしまっているのか。
それも、准の前だというのに。
浅ましい。こんな自分を見られたくない。
「済みません久藤君。私……帰ります」
口早に言いきって、准の方を見ないようにしながら立ち上がる。
手も足も少し震えていたけれど、シャツのボタンだけなんとか留めて、ホームの反対側、さっきと
は逆に向かう路線に入ってきた列車に乗り込もうと足を進めた。
「……先生、いかないで」
その手を、准の手にしっかりと掴まれて引き寄せられて、ホームの途中で足を止められる。
ホームに入ってきた列車は、乗ろうとする客がいないことを確かめるとすぐに扉を閉めて発車して
しまった。
背中のすぐ傍に准の気配。
さっきあの男に寄りかかられている時とは全然違う、何も怖いことはされないという安心感と……
そうして、体の底から湧きあがる熱に溺れてしまいそうな恐ろしさとの両方の気持ち。
「久藤君……私……今、変ですから──離してください……」
「……大丈夫。変だなんて思いませんよ。あんなふうにされてたら、誰だってそうなるのは仕方な
いです」
望の体のことをすっかり悟っているらしい准の言葉に、望はひどく恥ずかしくなって俯いた。
やはり自分は何て浅ましいのだろう。
「だって僕も……そんな気持ちになってる先生のこと見たら、欲しくて仕方なくなってしまってる
んですから」
「……久藤君」
熱い声で耳の近くにそう言われて、望は驚いて准を見返った。
言葉と少しも違わない熱っぽい瞳が真っ直ぐに望を見つめている。
触れられているのはただ手首だけだというのに、それだけでまた体の奧に熱さが生じてしまう。
「ねえ……先生。悪いこと──していいですか?」
掠れた声で囁かれて、疼く心に逆らうことが出来なかった。
言葉通りいつにない悪そうな顔でうっすらと笑みを浮かべる准の誘惑に、望はこくりと頷いた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
長くなりすぎたので一旦ここで終了。気が向いたら悪いことの中身書きに来ます。
読んでくれた方、ありがとうございました。
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