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オリジナル 「チーム・オナホ」

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
オリジナル。現代モノ。きのうの続き。

「常務」
出社後、志井が給湯室で珈琲を入れていると、自分に呼びかける超低音のいい声がした。
色気のあるローバリトン。女子社員に大人気の深く響くこの声の持ち主は
おそらく開発部の主任だろう。あたりをつけて振り返ると思った通りの人物がいた。
(声がいいと顔も良く見える。この男はその好例だ)
志井は雰囲気が男前なオナホ開発チームのリーダー六六六を見上げながらそう思った。
身長175センチの志井より、六六六は頭ひとつ分高い。
この長身の年上の部下が仕事中以外に自分に話しかけてくるのは極めて珍しい。
「どうした?」
上目で訊ねた志井に六六六は自分の携帯電話を差し出した。
「常務のお知り合いと繋がっています」
「え?」
小首をかしげつつ受け取った薄い携帯を耳にあてる。
「もしもし?」

「お! なつかしい声。俺のこと覚えてる?」
聞こえてきたのは別れた男の声だった。
「夕べミロクに伝言頼んだら、朝、メール来てさ、自分で直接話せだって」
携帯から三鷹の声が聞こえてくることに志井は切れ長の目を見開いた。
それから、志井はちらっと六六六を見た。どうやら三鷹と六六六は親しいらしい。
「いま羽田。志井商事って本社、中野だよな? ビストロ、クスクスってわかる? 
昼メシ一緒に食おうぜ。12時に店の前な?」
付き合っていた時でさえ食事に誘われたことはなかった。
バーで軽く飲むかホテルでルームサービスを頼む。それが常だった。
戸惑いながらも言葉少なに頷き、志井は通話の終わった携帯を六六六に返した。

「三鷹とは前の職場で一緒にチームを組んでいたんです」
二人の仲を手短に説明しながら、渡された携帯をスーツの胸ポケットに納める六六六の
大きな手を志井はぼうっと眺めた。
世間は狭い。突然の電話よりも、三鷹と六六六が知り合いだったことに志井は驚いた。
驚きがおさまってから、志井は少し悩んだ。どんな顔をして会えばいいのかわからない。
今まで付き合った男とはほとんど全員音信不通だ。
別れたはずなのに普通に話しかけてきた三鷹が志井はまったく解せなかった。
志井的には携帯のアドレスを削除した時点で三鷹との縁は切れていた。
言葉が通じてないんだろうかとさえ思った。

昼に再開した時、付き合っていた時と変わらぬ態度で自分に接してきた三鷹に
志井は大いに戸惑った。「会いたかった」と、「探した」と言われ、心が乱高下した。
日替わりを食べ食べ三鷹は、行きの飛行機が二度着陸に失敗した話をした。
こんな話をしにわざわざ来たのかと呆れつつ、一緒に食べたランチは
メインの魚はもとより付け合せの野菜までうまかった。
「コンドームつくってんの?」
仕事を聞かれ、オナホールをつくっているのだと答えた。
「俺は神の穴をつくりたい」
誰にも言ったことのない野望を語りながら、付き合っていた頃よりも、
三鷹と仲良くなれそうな不思議な予感がした。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウジサクジエンデシタ!


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