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デトロイト・メタル・シティ ジャギ×クラウザー

前スレ>>384のクラウザーさん視点。
…という説明に大いに偽りあり、な話

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

ガシャン、と鉄製のドアが閉じる重々しい音が聞こえて、僕は大きく息を吐いた。
その音は、僕が“クラウザー”から“根岸崇一”に戻ることのできる合図みたいなものだから。
今まで必死にとりつくろっていたクラウザーとしての虚勢を全部脱ぎすてて、僕は両手で顔を覆った。
身体中がだるかった。
特に下半身が鉛のように重くてすぐには起きあがることができない。お腹の辺りはいやらしいもので汚れていてひどく気持ち悪いのだけれど、それを拭うことすらおっくうで。
全部、ぜんぶ、僕がさっきまで男の人と――、和田くんと、セックスをしていたという名残だ。
顔を覆った手の隙間からもれ出たのは、うう、と我ながら情けないうめき声。
…ああ、今日もこれでやっと終わったんだ。

「……うう…今日も、最低だった…」

初めて和田くんと関係を持ってしまったとき、僕はものすごく後悔した。
当然だ。童貞より先に処女を喪失してしまったなんて、悲しすぎる事実だ。
しかも相手は自分のバンドのメンバーで。
さらに悪いのは、誘ったのが僕の方だってこと……。
いつにも増して酷いありさまのライブの時だった。
一部のファンの子がケンカを始めて、それがだんだんと広がっていって、乱闘みたいになって。
最低なことに僕は、それを楽しんでた。
演奏のテンションを上げて乱闘を煽っては、僕自身も叫んで、暴れて。いつにも増して我を忘れた。
そして気がつくと僕は、和田くんに薄暗い機材室に連れ込まれていた。
壁に押し付けられた僕に覆いかぶさっていた和田くんの瞳は、ライブの興奮が冷めないのかギラギラと獣のようだった。
そんないつにない和田くんの様子と、頬を舐められたときに感じた戸惑いは、すぐに異様な興奮に取って代わられて。
頬から首筋を這う舌の熱さに、自分の身体がぞくりと震えたのが分かった。
僕にその感覚を与えているのが同じ男の人だとか、自分の仕事仲間だとか、そんなことはどうでもよくて。
ただ頭の中にあったのは、『もっと強い快楽を』ただこれだけ。
いったん顔を離して見上げてくる顔を、続きを促すように近く引き寄せると、和田くんは僕の鎖骨の辺りにむしゃぶりついてきた。
眼下にうごめく彼の白金色に光る長い髪に手を差し込んでかき乱しながら、僕はそのとき、確かに笑っていたのだと思う。

こうして僕は、和田くんとセックスをしてしまった。
きっかけを作ったのは和田くんだったかもしれない。それでも、あれは確かに僕が誘ったんだ。
―――あのときの僕が、望んでそうなったことだ。
テンションが上がってしまうととんでもない行動をとってしまう自分の性分を、僕はこのときほど忌わしく思ったことはなかった。
それでも、立場が逆じゃなくて良かったとも思った。
ハイテンションの僕が和田くんをレイプしたんじゃなくて、僕が受け入れる方で本当によかったと、そう思うことにした。
どうしてそっち側になったのかそれは少し腑に落ちないし、最中はものすごく痛くて苦しかったけれど、受動的な立場に甘んじた方が、結果的には気が楽だ。
だってこの場合、和田くんにも多少なりとその気がなければ行為は成立しないわけで、つまり今度の件についての責任の所在は、僕と和田くんとで半分ずつ。おあいこってことで。
和田くんの方もシてしまった後、すごく動揺していたようだったし。
初めての行為で半分気絶していた僕を薄情にも置き去りにして逃げ出した、それには少し腹が立ったけれど、まあ仕方のないことなのかもしれない。興奮状態だったとは言え、こんな恐ろしい風体の、しかも男を抱いてしまったりしたら、誰だってそうしたくなるだろう。
そう思って、全てをなかったことにしてしまおうとした。
そして、そうすることは簡単だと思ってた。
僕さえ平然としていれば、何もかも忘れたようにいつもの態度をとっていれば、僕とのことを後悔しているだろう和田くんだって調子を合せてくれるに違いないって。
実際に、しばらくの間はそれで上手くいっていたんだ。忘れたふりをしている僕に和田くんも今までと同じような態度で接して、僕らの関係は以前と同じまま、同じバンドのメンバーっていう仕事仲間で。
そのまま僕らの間にあったことは日常に押し流されて、本当に無くなっていってしまうんだと、そう思っていた。
――でも、そうじゃなかった。
ライブの後にまた機材室に押し込められて、この前よりもっと切羽詰まって追い詰められたような顔をした和田くんに身体をまさぐられながら、僕はひたすらに混乱した。抵抗というものの存在を忘れてしまうほど。
ただただ、どうして…?と思った。

…どうしてまたこんなことするの?
和田くん、あんな顔してたじゃない。
僕らがシちゃってから後、初めて顔を合わせたとき、すごく困った顔して口ごもってた。
僕が忘れたふりしてみせたらとたんにホッとした顔をして、だからそんな君を見て僕は、ああ、やっぱりあの時のことは何かの間違いだったんだって実感したんだよ?
なのに、どうして――――、

心の中に渦巻くそんな問いかけは、けれど竦んだような僕の喉元にひっかかって、どれひとつとして口には上らなった。
そして和田くんも、何を言うでもなく僕を抱いた。少しだけ乱暴なその行為の合間合間に、ただ、僕の名前を呼びながら。
「……っ、クラウザー…!」
けれど耳元で繰り返し呼ばれるその名前は、僕の本当の名前ではないのだった。
ああ、そうか。
僕は理解した。和田くんが、また僕にこんなことをする訳を。

和田くんはいつも僕に言う。「さすがお前はメタルモンスターだぜ!」って。
そう言って、僕のことを心から尊敬してくれる。僕を誇りに思ってくれる。
きっと和田くんは信じているんだ。メタルの帝王たる“ヨハネ・クラウザー2世”という存在を。
衣装を身につけてステージに立つ僕が、本当にクラウザーという悪魔になっていると信じているんだろう。
もしかしたら和田くん自身も、ライブの間は“ジャギ”になり切っているのかもしれない。
DMCのファンの子たちの間で信じられているみたいに、僕たちにとってはセックスもレイプも日常茶飯事。モラルなんて物は持ち合わせていないんだって、そんな気持ちでいるのかもしれない。
だから、和田くん――、いいや、ジャギにとっては、こんなのは何でもないことなんだ。
ただライブで高まった興奮を醒ましたくて、それにちょうどいいから、ジャギは僕に手を伸ばしたんだ。同じ悪魔同士だから面倒な事もなくて都合いいって。
きっとそうなんだ。

そんな結論に至ってから僕は、ライブの後だけの和田くんとのこんな関係を、黙って受け入れることにしたんだ。
せめてこの格好をしている間は、和田くんの考える“クラウザー”でいたい、そう思って。
和田くんの手を拒まないように、むしろ進んで受け入れて、楽しんでいるんだと思ってもらえるように振舞おうって。
だって僕は、“異常性欲の持ち主”クラウザーなんだからさ…。
それはすごく独りよがりで馬鹿みたいな決意だったのかもしれない。けれど今となってはもう、後には引けない状況になっていた。

「……っ、う……ぁ……っ」
だから今日も僕は、和田くん――、ジャギを受け入れて、快楽を貪るふりをしている。
……本当はふりなんかじゃない。始めの頃は痛くて苦しくて、それを耐えるのに必死だったけれど、今ではこんな事にもすっかり慣れてしまった。
大きく広げられた足の間に男を受け入れた僕の姿は、仰向けにされたカエルみたいでひどくみっともないんだろう。そんな格好でゆさゆさと揺さぶられているのは、恥ずかしくてたまらない。
それでも僕がどうしようもなく感じているのは、快楽に他ならなくって。
――すっかりジャギに作りかえられてしまった僕の身体。
「クラウザーっ、おまえ、すげーいい顔してんぜ……っ?」
上から降ってくるからかうようなジャギの言葉に、心がきゅうっとすくんだような気がしたけれど、僕はそれに気づかないふりをする。そして、必死に言葉を探す。
きっとジャギが考える“クラウザー”ならこう言うだろうという言葉を。
「…っ、くだらんことをほざくっ、余裕があるっなら…っ、もっと俺を……っ悦ばせてみろ…っっ!」
僕の身体の中のジャギが、とたんに質量を増した。
そして激しさを増した律動で、今の自分の発言が正しかったのだと実感する間もなく、僕は与えられる快楽に翻弄されるばかりになった。
固い床の上で不自然な態勢をとらされ続けて、身体のあちこちが悲鳴を上げている。けれど僕は、ジャギの腰に足をからめて、ねだるように身体をゆすった。
更なる快楽を求めて。

そのうちにジャギが僕の身体を抱き起こして、膝の上に抱え上げた。
「…ぅぁぁああっ!!」
その衝撃に、僕の口から今まで耐えていた声が鋭く上がった。
自分の体重でより深く体内にジャギを飲み込んでしまうこの体勢は好きじゃない。苦しくて、辛くて…、ああでも、それすらも気持ちよくてたまらない。
そんな自分の浅ましさが嫌で仕方がない―――。
じりじりと僕を責めさいなむそんな懊悩を、くだらないことだと僕の中のクラウザーが笑う。モラルや理性など捨ててしまえと、ただ快楽に身を委ねればいいと、邪悪な魔王がそそのかす。
そんな自分の心の中の誘惑に抵抗して、僕は必死に首を横に振った。すると、
「――っ、ひ、あ…っ!?」
首筋を源にして、激しい痛みが全身を突き抜けた。
それがジャギに咬みつかれたのだと、僕は認識できたのかどうか。
「うあ゛あ゛あ゛ああぁっっ!!!」
獣のように吠えたてて、僕は、完全な“クラウザー”になる。
ライブのクライマックスのような興奮を得た俺の身体は、激しい痛みさえ快感に変える。
めくるめく絶頂感と俺を抱きしめる力強い腕と、身体の奥深くに注ぎこまれる熱が、今の俺の全て。
「……ぁ…、ぁあ……」
長く尾を引く深い快楽の余韻に恍惚となりながら、それでも心の片隅で殺し切れず息づいている根岸の部分が、悲痛な叫び声を上げているのが聞こえた。

僕は本当は、こんなことがしたいんじゃないのに―――、と。

熱が冷めれば、僕の身体を支配していた“クラウザー”はとたんになりを潜めてしまう。
その代わりに後悔や自己嫌悪の念がじわじわと心の中に押し寄せてきて、そうなるともう、僕はひたすらにジャギが立ち去ってくれることを望むしかない。
……これ以上、彼の望む“クラウザー”を演じる自信がないから。
僕の身体を気遣ってくれるジャギの手を払いのけて冷たい言葉で追い払うのは、また新しい自己嫌悪の種になるけれど、そうでもしないと、ジャギに向って何か泣きごとを言ってしまいそうで。
部屋のドアが閉じる音がして1人になれた僕は、ようやくほっと息を吐いて身体の緊張を解いた。
「……うう…今日も、最低だった…」
すぐには起き上がれずにそのまま機材室の天井のむき出しになった鉄骨を眺めながら、僕はいつものように、さっきまでの行為をぼんやりと思い返していた。
…ジャギ、今日はなんだかいつもより激しかったな。咬みつかれたのなんて初めてだ。
首筋をそっと触ってみると、つきん、と痛みが走った。
「―――っ、ぃた…」
手に触れた部分は心なしか熱を持って、血さえ滲んでいるようで、相当強く咬みつかれたんだと改めて実感した。
「……ううぅ…ひどいよジャギ…」
跡目立っちゃうかな…と呟く僕の声が、ほかに人気のない部屋のなか虚しく響く。

砂糖菓子みたいな甘い恋がしたいと思ってた。
大好きな女の子とひとつベッドの中、抱き合って、笑いあえたら、ふわふわと甘いお菓子を食べたみたいな幸せな気持ちになれるんだろうって、いつもそんな夢を見てた。
でも現実はこれだ。
僕がいま横たわっているのは、ライブハウスのごみごみとした機材室の冷たい床の上。欲望を処理するためだけのセックスに疲れ果てた身体を投げ出して、ひとりぼっちで……。
何もかも、理想とは正反対のこの現実。

「………っ」
たまらなくなって僕は、きしむ身体をぎこちなく動かすと、なんとか起きあがった。
膝を抱えて小さく丸まると、かかえた足の付け根のいちばん奥まった部分から、さっきジャギが中に出したものがとろりと流れ出てくる。その感触に僕は身震いして、自分の身体を抱きしめた。
鼻の奥がつんとして、目の奥からは熱いものがせり上がって。こらえようと歯をくいしばってみたけれど、あっけない程すぐに僕の目からはポロポロと涙がこぼれ出した。
「………最低だ…っ」
なにもかも最低だと思った。
好きでもない音楽をやらされて、カリスマだ魔王だと祭り上げられて、勝手な理想を押し付けられて。
その期待に応えるために、こんなことまでしている。愛のないセックスに心をすり減らしている。
最低だ。デスメタルも、DMCのファンのみんなも、それからジャギも。

でも、分かってるんだ。いちばん最低なのは僕自身なんだって。
こんな風に被害者ぶって泣いている僕なんだって。
別にジャギだけが悪いんじゃない。僕はいつだって、彼に嫌だと言ったことがないんだから。
ジャギは僕に無理強いをしているわけじゃない。いつも僕を気遣って優しく扱おうとしてくれる彼なら、僕が嫌だと言えばすぐにこんな事は止めてくれるんだろう。
それなのに僕は自分の意思表示を何もしないで、流されるままに関係を重ねている。
あげく自分を憐れんで泣いたりするなんて、僕は卑怯者だ。
こうやって僕の思考は結局いつだって、自己嫌悪の念にたどり着くのだった。

ただひとこと、言えばいいのに。
彼に嫌だと言いさえすれば、この関係を終わらせることができるのに。
どうして僕はそれをしないのだろう?
こんな悲しい、虚しい思いを味わって、自己嫌悪に苦しんでまでなぜ、僕は彼の望むクラウザーでいようとするんだろう―――?

我ながら不可解でたまらないそんな自分の心の中をじっくり見つめてようとしたとたん、戸口からかけられた声に、僕は身体をこわばらせた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

クラウザーさんと思いきやじつは根岸でした、という話。
切れ良く話を纏められなかったのが悔やまれます…

途中さるに引っ掛かってしまって中断してしまいました。
長時間スレ占領したような形になってしまって、本当にすみませんでした。

  • すっごくイイ(・∀・)!!続きが見たいです~♡♡ -- 2013-08-03 (土) 17:30:43

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