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オリジナル 「チーム・オナホ」

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
オリジナル。現代もの。オナホ開発部リーダーのターン。

六六六と書いてミロク。「めずらしいですね」とよく言われる名字を持つ、
オナホ開発部のリーダーは、昼休み転職サイトを見ていた。
きょう年下の上司に撤退を進言した。近々、辞表を出すつもりだ。
六六六はオナホールに携わる前は大手メーカーで歯ブラシのデザインをしていた。
六六六の最高傑作は国際特許を取得した、360度ぐるっと毛のある円筒形の歯ブラシだ。
コンパクトヘッドに一般の歯ブラシの3分の1の細さの超極細毛を3万本はやしたそれは、
従来の歯ブラシでは届きにくかった奥歯や前歯の裏など口内のすみずみまで磨けるうえ、
舌苔を取り除く舌クリーナーとしても使え、歯茎のマッサージもできる、
高性能かつ多目的な歯ブラシとして爆発的に売れた。
六六六は確信している。一般の歯ブラシの形状は歯を磨く用具として間違ってはいない。
あれはあれで正解だ。だが、大正解は自分がデザインした歯ブラシだ。

六六六が描いた歯ブラシのあるべき形を独自の加工技術で具現化したのは、
歯科衛生研究所の技術者・三鷹だ。三鷹が開発した超極細毛をびっしりはやすことにより、
360度ぐるっと毛のある円筒形の歯ブラシが実現した。
究極の歯ブラシだと自画自賛できるものをつくりあげた六六六は、思い起こすことなく
歯ブラシの世界から身を引きオナホール界に飛びこんだ。
巷にあふれるオナホールのコンセプトとの無さに、六六六はかねてから、
冷めたカレーで顔を洗っているような気持ち悪さを感じていた。
女性器を模したキッチュなオナホはオナホのデザインとして正解かもしれない。
けれど絶対に大正解ではない。ずっとそう感じてきた。
「オナホールのあるべき姿」を明らかにしたい。それが志井商事に転職した動機だ。

だが、六六六が志井商事で試行錯誤している間にライバル社が画期的なオナホを発売した。
洗浄しやすく乾かしやすい、くりかえし使える衛生的なオナホというコンセプトに、
先を越されたと思った。本体とパッケージを手に取った時、
これなら母や妹に見られても恥ずかしくないと思った。
そう思ったらデザイナーとして負けた気がした。
六六六が思う大正解が他社によって明らかにされ、市場に受け入れられていく。
突然訪れたゲームセットがたまらなく悔しかった。
なのに、六六六が開発競争は終わったのだと告げているのに、年下の上司は、
1デイズの使い捨てオナホをつくれと言う。
本格的なリサイクル時代が訪れようとしているのに、1日使い捨て。
しかも1回あたり100円。7日分ワンセット・1箱700円で売りたいらしい。
結果、志井商事のオナホ部門は、開発できる見込みのない新製品の開発に
多額の費用を費やし、赤字計上がつづいている。
オナホ部門の赤字を補填しているのは好況を謳歌しているコンドーム部門だ。
コンドーム部門を率いている上司の双子の兄を六六六は高く評価している。
いつもふわっとした笑みかトロッとした笑顔を浮かべ、
ひねもすのたりのたりとしているが、頭はキレる。半端ない。

魅惑の微笑みを浮かべつつ、天然を装い複雑な計算をしている時と、
複雑な計算をしていそうでなにも考えていない時が明らかにあり、
その両方の見分けがちょっとつかないという噂もきく。
何よりコンドームチームのスタッフを爽やかな笑顔で鼓舞するだけでなく、
自身も技術者としてチームに多大なる貢献をしているのが素晴らしい。
女子社員からは癒し系だのパンダだの言われているが、あの男は
ほとばしり出る激しい創造のエネルギーに身を任せ、コンドームをつくっている。
はたから見ていてそれがわかる。それに引き換え自分の上司である弟は、
きりっと冴えているのは見た目だけ。頭のなかはとろっとろのふわふわだ。
会議をすっぽかし、飛行機で地方に遊びに行っていたという噂を聞いた時、
六六六は、ほとほと愛想が尽きた。この男の為に頑張ろうという気がまったく起きない。
六六六の目に映る上司は自分に甘く、被害妄想とプライドが高いダメ男だ。
チームのトップにはビジョンを伝える力がなければいけないのに、
伝えたいことを伝えられる伝え方ができないどころか、語るということをしないため、
何を考えているからわからないのもイラッとする。
整った無愛想な顔に、「兄へのコンプレックスがあります」と書いてあるのもノーグッドだ。
顔の造作は同じなのだから笑えば見た目は兄のようにもなれるだろうに、
思い至らないらしい。六六六は思う。俺の上司に魅力は無い。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


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