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オリジナル「この感情は処理に困る」

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「見合い?」
 いつも通りおれはこいつの家でくつろいでいたが、今日はちょっといつもと違っていた。
「ああ、課長の勧めで」
「どんな人」
「さーな、知らねえ」
 さほど、興味なさそうに答える。実際、興味ないのだろう。
「知らない相手と見合いするのかよ」
「見合いってそんなもんじゃねえ?」
「あー、そうかも。でもま、お前もそろそろ身を固めた方がいいんじゃない?」
「お前だって独身だろ」
「おれ、自分の面倒は見れるもん」
「ああ、そうかよ。悪かったな、自分の面倒も見れない奴で」
「誰もそんな事言ってないでしょー」
 結局、普段の口喧嘩という名のじゃれ合い(こう言うとあいつは嫌がるけど)になった。
 まあ、ああは言ったけどあいつが結婚するなんて事は微塵も頭になかった。だってまず相手がいないし。
 絶望的に女にもてないからね、おれと違って。
 いや、顔が悪いわけじゃないよ。背が低いという短所はあってもルックスはかっこいい方だと男のおれでも思う。
 問題はあのひねくれ過ぎて脱出不可能の迷路みたいなっている性格にある。
 あいつは基本的にお世辞が苦手だし、女性に対する気遣いもあまりできない。そして、基本的に付き合い方も淡白だ。
 だから、仮に付き合ったとしても長続きしない。2ヶ月持てばいい方だ。大抵別れる時は女の方がキレて「あんたって最低!」という捨て台詞と共に一発ビンタを食らうのがパターンとなっている。
 よって、今回の見合いも成功しないだろうと思ってた。

 それから、暫くしてそんな出来事も忘れかけていた頃のことだった。
 町でぶらぶらしていると偶然あいつを見かけて、なんだせっかくの休日に一人かよ(おれもだけど)しかたねえから声を掛けてやろうとした時だ。
 あいつの隣に女がいるのに気付いた。
 なになにデート中? ちょっとからかってやろうかと近づこうとしたら、あいつの表情が目に飛び込んで来て足が止まった。
 楽しそうで穏やかな笑顔。
 あいつが女といる所は何度も見てきたけど、そのほとんどが無表情といっていいほど無愛想だったのに。
 あんな顔、何年か一緒にいるおれでさえ数えるほどしか見たことなかった。
 2人の間の雰囲気はとてもおれが割り込めるものではく、黙ってそこから立ち去ることしかできなかった。

 そんな事があった数日後、珍しくあいつがおれの家にやってきた。
「はい、これ。お裾分け」
 来るなり、いきなり大量の林檎を渡された。聞けば近所のおばちゃんから貰ったものらしい。一人暮らしでこんなに要らないからとのことらしいが、おれも一人暮らしでこんなに貰って……
 こいつが家に来るときは大抵自分の要らない物を押し付けにくるから困る。
「どうすんのよこれ……」
「アップルパイでも作ったら? それより何か飲み物くれ。喉渇いた」
 そう言うなり、ソファにどかっと座り込んだ。
 あのね、お前はよくおれに我侭だと文句言うけれど、お前も十分我侭だと思うんだ。まあ、ここで怒ってもしょうがない事は分かってるから、仕方なしに紅茶を入れてやる。
 言っとくけど、ここはおれの家だからね。ここは紅茶で我慢しろよ。
「はい、どーぞ」
「ん、サンキュ」
 入れたばかりの紅茶を手渡す。ついでに切った林檎も。
 おれもこいつの隣に座り、紅茶を啜った。
「そういえばさ……」
 おれはふと先日のことを思い出した。
「ん?」
「この前、お前が女と歩いてたのを見たんだけど、あれ誰?」
「ああ……あれね。前に見合いするって言ってただろ。その人」
 それを聞いて、なんでか心臓がえらい勢いで跳ねた。
「そういやそんな事言ってたなー。結構いい女じゃんか」
 確かに美人だった。見た目こいつよりいくらか年上の決して派手ではなく、どことなく落ち着いた雰囲気を持つ女性。
「んーまあ、いい人だとは思うよ」
 また、心臓が大きく鳴った。何なんだろうこの感じ。よく分からない。

「へー、どんな感じ?」
「聞いた話と会った印象では家庭的で大人で優しそうな人かな」
「それってお前の好みのタイプじゃね?」
 そうもろにど真ん中ストライク。
 こいつが好きになる女性の殆どは年上で家庭的で優しそうな人だ。でも不思議なことにその手のタイプとは縁がない。
 奴の場合、自分が気がある女でないとたとえ付き合ったとしても長続きしない。だから、今まで特定の女はいなかった。
 今回はどうなのだろう。
「相手はお前の事どう思ってるの?」
「さあ? もう一度会うことにはなったけど」
 ということは、相手も満更ではないってことか。
「もしそれで上手くいったら結婚とか考えてたりする?」
「そんな先のこと分かんねえよ」
 そらそうか。……結婚ねえ。
 さんざんネタにはしてきたけど、いざこいつがそうなるということは微塵も考えてなかったな。何でだろう、きっかけさえあればいつそんな事態になってもおかしくなかったのに。
 仮にこいつが……
「お前が結婚してくれたら、お前の面倒見なくて済むのにな」
 確かにお前の世話は嫁になる人がやってくれるだろう。めちゃくちゃ手間の掛かる奴だけど、こいつの嫁になるぐらいの女だ。それくらいの根性はあるに違いない。

「いつ、誰がお前に世話をしてくれと頼んだ。てか、おれにそんな結婚して欲しいわけ?」
 して欲しいかどうかと聞かれ、とっさに肯定できない自分に酷く動揺する。どうしてだ、だって、もしこいつが一生を共にする人を見つけられたのなら、それはこれまで人間関係に恵まれてこなかった男にとって一番の幸せじゃないか。
 喜ぶべき出来事だろう、友達として。
「そりゃまあ友達だしね。友達の幸せ願うのは当然のことだし」
「おれとお前は友達だったのか。初めて知った」
「まーたそんな事言う。その捻くれた性格が心配なんだって」
「余計なお世話だ。あーでも結婚したらお前のお節介も少しは減るかもな」
 その言葉に胸が微かに痛む。確かに結婚となれば今までのような関係じゃいられなくなる。こいつにとってのおれの立場は他の人間がやることになるわけだ。
 嫌だと感じた。よく知らない誰かがおれとこいつの間にあったものを全部奪っていくのだと思うと。
 けれどいつかはくる未来だ。受け入れなくちゃだめじゃないか、幸せになるのなら。
「でも、そうなっても友達としてちょくちょく遊びに行ってやるから安心しなさい」
「絶対に嫌だ」
 その後もいろいろ話してたような気がするけどよく覚えていない。ただ、頭の中で本当にこいつが結婚したらおれは友達のままでいられるかという不安がぐるぐると回っていた。
 友人の幸せを願っていながらいざ幸せを掴もうかという時、素直に嬉しいと思えないなんてどれだけ自分勝手なんだよ。
 自分がこんな嫌な感情を持っていたなんて今日初めて知った。ああ、もうすっごくもやもやする。
 それから、人生でこれだけ悩んだのはなかったんじゃなかろうかというぐらい憂鬱な気分で過ごしてたのだが、意外と早くこの件はケリがついた。

「破談!?」
「うん、相手から断わられた」
 仕事帰りにたまたまこいつに会ったので、あの女性との経過を聞いたら結果は見事玉砕したらしい。
「何で? 結構いい感じだったじゃん」
「んー、どうも相手が遠慮したみたいだな」
「遠慮?」
「相手の人な、バツイチで子どもがいるんだよ。それであなたはまだ若いし、もっと他にいい相手がいるでしょうからってことらしい」
 あーなるほど、それは確かに遠慮するかも。大人しくて優しいのなら尚更だ。
「ま、確かにお前が他人の子と上手くやっていけるとは思えないな」
「んな事はやってみないと分からないだろうが。確かに簡単な問題でもないけど。おれは別に気にしなくてよかったと思うんだけどな。まあ、縁がなかったってことか」
 その口振りと表情でやっぱり相手のことをそれなりには気に入ってたんだと分かった。と同時に破談になったことに密かに安堵している自分に気付く。
 最悪だなおれ。
「という訳で、見事振られたおれに何かおごれ」
「……」
「おい、どうした? 珍しく大人しいな?」
 おれはこいつの友達で、友達だからこの場は「そうか、残念だったなー。おごってやるから元気出せよ」って笑って言ってやらなくちゃ。
 分かってる、分かってるのに。
 こいつが少しでもあの女性を好きだったという事実が心の奥に突き刺さって、それが嫌だと思う自分が心底嫌だった。

「おい、マジで大丈夫か? 何か顔色悪いぞ」
「ごめん。気分悪くなって。悪いけどもう帰ってもいいか?また今度おごってやるからさ」
「え!? ああ、分かった。気をつけろよ、なんなら送ってやろうか?」
「いや、いい。大丈夫だから……」
 そう言って、あいつに背を向け走り出す。これ以上、情けない顔を見られたくなかった。
 ごめんな、今日だけはとても友人として笑ってやることが出来そうにないよ。
 明日になれば、いつものおれに戻れると思うから、だから今は一人にしてくれ。
 
 気付かなければよかったのに、この感情は処理に困る。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧  最後の最後で規制に引っかかたorz
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) これで終わりです。本当にスイマセン
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
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