Top/41-408

雨に流される

「スカイ・クロラ」より、土岐野×函南。
映画観賞、原作本は「スカイ」と「ナ・バ」読了。
特にどっちベースってことでもなし。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「この雨じゃあ、バイクは借りられそうもないな」
「今日も行く気だったんだ」
 函南の記憶では、土岐野は昨日も一昨日も一昨昨日も、バイクで外出し、外泊したはずだった。一昨日は、函南を後ろに乗せて。
 雨粒の打ち付ける窓から、土岐野は離れ、下のベッド――寝転がって本を読む函南の傍らに腰掛ける。
 影を作られ、明かりの当たるところを求めてモゾモゾと動く函南。
 その腕を、土岐野が捕らえた。
「何?」
 函南が本を視界から外す。
 土岐野は函南の両手首を掴みながら、ベッドに上がり、膝立ちで彼の腰を跨いだ。函南の顔の横で、手首をシーツに押さえ付ける。
「こういう気分なんだ」
 土岐野の声が降るのとほぼ同時、函南の手から本が落ちる。
 キルドレのわりに背丈のある土岐野は、腕力で函南に勝る。引いてみても手首は抜けない、跳ね除けることもできない。
「クスミの代わり?」
 函南は少し眉を顰めた。
「んー。今日はそれもある」
「今日、は?」
「お前のことをもっと知りたいって、前から思ってたから」
 函南が初めて見る、わざとらしく真剣な眼差しと大人ぶった微笑。女の子には受けるのかもしれない、とぼんやり思う。
「抱かないとわからないようなことが、必要?」
 台詞には反語の意を込めて。

 土岐野は顔から力を抜き、片手だけのホールドアップのポーズ。
「諒解。もっと率直に、正直に言おうか」
 再び両手で函南をシーツに縫い留め、互いの吐息の湿度を感じるほどに顔を近付ける。函南にとって見慣れた笑み、慣れない距離感。
「お前が好きだよ、カンナミ」
 「正直に」の意味は、函南の読みから外れていた。返す言葉を準備していない。
 沈黙の中で、土岐野の眉尻が下がっていく。
「……断固拒否なら、大人しく引き下がるけど」
 手首を締め付ける力が緩んだ。
「いいよ」
 逆に、手首を掴み返す。
「僕も、そういう気分になった」
 土岐野は目を弓なりに細めて微笑んだ。
「なら、一人でするよりは、二人の方がいいもんだ」
「そうかもね」
 土岐野の顔から微笑がストンと抜け落ちる。
「あれ。お前、経験あり?」
「男と? ……どうだったかな」
 今度は呆れたらしい苦笑が浮かんだ。いつもに増して、表情がクルクルと変わる。
「ま、初めてって解釈させてもらうさ」
 土岐野の右手が丸い頬を撫でる。それを合図にしたように、函南は瞼を伏せる。土岐野が唇を重ねた。

 シャツを脱ぎ捨てれば、現れるのは生白い肌。厚い筋肉の無い、子供の体。

 函南の肌を辿る土岐野の手は、この上なく優しかった。

 散らかった上のベッドから、小さなボトルを取ってきた土岐野。
「ここまできといて、今更だけど」
 言って、函南の汗ばんだ額に貼り付いた前髪をかき上げる。
「カンナミ、お前が抱かれる側ってことでいいの?」
 今更心配するような声色の土岐野が可笑しくて、函南はクスリと息を漏らして答えてみせる。
「トキノは、そういうガラじゃないだろ?」
「…よくわかっていらっしゃる」
 軽い音をたてて額に口付けが落ちた。

 日付が変わり、雨は激しさを増していた。遠雷の音が響く。
 仰向けの函南、函南の胸に片腕を預けて横向きに寝る土岐野。二人とも、瞼を閉ざしている。
「お前が好きだよ、カンナミ」
 寝言のようにポツリと。この夜、土岐野は繰り返し函南の名を呼んだ。それ自体が睦言か何かであるかのように。
「僕も、トキノのことは好きだな」
 その言葉に目を開け、函南を見つめる。瞼を閉ざし、唇を微かに開いた、静かな横顔。こちらも寝言であったかのよう。
 土岐野の顔に微笑が広がった。
「あぁ…光栄だね」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

原作の雰囲気を出したかったんだけどな。

  • なにこれ萌える(゚Д゚#) -- 2011-10-24 (月) 15:13:35
  • なにこれ萌える(゚Д゚#) -- 2011-10-24 (月) 15:14:49

このページのURL:

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP