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かたかた

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

ギ.ャグマ.ンガ日禾口のSM師弟で蕎麦。
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「かたかた」

 知ってますか芭蕉さん。

 「あれ、曽良くんどうしたの?」
夜半、薄らと目が覚めて見ると月も失せた時刻に明かりはまだ煌々と焚かれてい

て、何事かと身を起こした。
「芭蕉さんこそどうしたんです、明日寝過ごすようなら置いて行きますよ。」
緩い顔で笑う師匠の手には筆が握られていて、何を書くでもなく悩ましげに宙を

泳いでいる。
「うん、記録をと思ったんだけどね……さっぱり筆が進まないや。」
苦笑しながら、筆を拭う様はどこか嗜虐をそそり、ぼくは立ち上がりかけたその

欲望を眠気のせいにした。
「でも眠れないんだ、今日は歩き足りなかったのかな。」
続けざまに師匠は言い、わざとらしく頬を掻いた。このだめな俳聖は存外に繊細

らしく、最近はましになったが旅の始めは慣れない環境に眠れない日が続いてい

たようだった。今日も何か、何らかの調子が狂ってしまったのだろう。

「ならぼくが眠らせてあげましょうか。」
道具を鞄に仕舞い終えた師匠にそっと近付く。案の定、ヒッという短い悲鳴が聞
こえた。
「い、いいよ遠慮しとくよ……。」
そうのたまう師匠を無視し、折角敷いたのに皺ひとつない布団へ押し倒した。
「殺さないで、やめて曽良くん、明かり落として大人しくしてるから……。」
俳聖はぼくから必死に顔を背け、涙目で訴える。ご丁寧にすんすんと鼻を啜る音
まで聞こえるが暴れたりはしなかった。耳元へ口を寄せて
「殺しません、ぼくって信用ないですね。」
言って顔を上げると、師匠はばかみたいな顔でぼくを見ていた。
「曽良くんが笑った……。」
譫言みたいに人の顔をじろじろ見ながら言うものだから掌で師匠の目許を覆って、
五月蝿いですよ、とだけ言った。背中の下敷きになっている帯をどう解こうか
など考えているのを知らないでばかなその男はまた緊張感のないことをのたまっ
た。
「うふふ、照れてるんだ、曽良くん。」
目許はぼくが覆っているので、口許でめいっぱい幸せそうな笑みを零してこう、
言った。ぼくはどうしていいか分からなくなり目隠しをやめた。芭蕉さんの目が
ぼくを追う。

「最近曽良くんの喜怒哀楽が解るようになったんだ。」
自慢げにそう言って、師匠が身体を起こそうとした。止めようと思ったけれど、
思い直して。

 起き上がる顔を寄せて、唇を奪った。

 過度に驚かさないように軽い口付けを心掛けたつもりだったが、接吻というそ
の行為自体が彼を驚かせるのに十分だったらしい。目を真ん丸に見開いてぼくを
見たあと、一瞬、顔を青くして、次に一気に頬を染めて見せた。
「…………。」
師匠は、何も言わなかった。暴れたり、泣き喚いたり、怒ることもまして照れる
こともせずにただぼくの顔をばかみたいに見据えている。その視線に先にいたた
まれなくなったのはぼくの方で、これ以上押すことも引き下がることも出来なく
なって、ただ
「おやすみなさい。」
師匠を引き倒すように布団に倒れ込んだ。

 その後芭蕉さんにキスされる夢を見たのは覚えているが、目が覚めるとぼくは
自分の布団で一人で眠っていたものだから、実際、どこからが夢だったのかは終
に判然としないままだった。それなりに幸せな夢だったことは言い切れる。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

ひとつめおかしな改行になってしまった……orz
「かたかた」は「かたえ」とか「片思い、片思い」をかけたつもりでした。
スペースお借りしました。


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