DMC 佐治×根岸
更新日: 2011-05-04 (水) 11:29:58
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└──────│前スレ>>450の続きでDMC佐治×根岸
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どうしてだろう
どうしてこんな事になってしまったのだろう
僕はただ先輩が、根岸先輩が好きだっただけなのに
”好き”なだけで留めておこうと思っていたのに
それ以上を望んじゃいけないって分かっていた筈なのに
気付いたらその、大好きな先輩を組み敷いていた
ある日の下北沢であの人を見つけた。
「あっ……」
懐かしい歌声とギターの音、それに大学の時と変わらない笑顔がそこにあった。
「根岸先輩!」
気づけば僕は小走りであの人の元へ駆けていた。
先輩が音楽を続けていてくれた事、何も変わらずにいてくれた事
もう再会は果たせないと思っていたのにまた逢えた事
全てが本当に嬉しくてしょうがなかった。
「やっぱり根岸先輩だ!お久しぶりです!」
「さ、佐治君?!」
僕が後ろから声を掛けると根岸先輩の肩がビクッと震えた。
声も裏返ってるけど……そんなに驚かなくてもいいのに。
「大学の時以来ですね」
「う、うん。そうだね。佐治君も元気にしてた?」
「はい!」
面と向かって話をするのはひさしぶり。
懐かしさと照れくささで最初はぎこちなかった会話も、時間が経つにつれてすぐにいつもの調子を取り戻していた。
「佐治君もバンド組んでるんだって?テトラポット・メロン・ティだよね」
「えっ知っててくれたんですか?!嬉しいなぁ」
「う、うん。サリーマイラブでしょ?あれは本当にいい歌だね」
「ふふっ先輩にはまだ敵いませんよ」
「そんなことないよ……」
急に先輩は少し沈んだ声でぽつりと言ってため息をついた。
「こんな人通りの多い道で演っても僕の歌は誰一人引き留められない」
「根岸先輩?」
「でも君は、君の歌で大勢の人に認められてるじゃない」
「僕は……」
先輩の言う通り、街を行き交う人達は足を止めることなく通り過ぎていく。
だけどあなたにはそんな悲しそうな顔してほしくない。
「でも、僕は根岸先輩の歌が大好きです。」
昔から音楽が大好きだった。
だけどあなたに出会わなければ、この世界に来ようとは思わなかった。
先輩が僕の歌を好きだと言ってくれたから。
大好きなこの音楽を続けていればいつか会えるかもしれないって思ったから。
だから僕はどんな困難にぶつかっても諦めずに続けてこれたんだ。
「佐治君、ありがとう」
根岸先輩は昔と変わらない、いつもの顔で笑ってくれた。
ずっと見たくてたまらなかった、僕の一番好きな笑顔。
あの頃と同じ
あの頃から根岸先輩はギターで、僕はタンバリン。
昔を思い出した
根岸先輩といるだけで全てがキラキラに輝いていたあの頃の
届かないと知っていても恋い焦がれて狂おしくて切なくてたまらなかったあの胸の痛みを。
―僕はまだ、諦めきれない。
「あ、もうこんな時間」
気がつくと空が赤く染まっていて、随分と長い時間が経っていた事を知る。
「先輩といると楽しいから、時間が経つの早く感じますね」
「僕も同じ事思ったよ」
「あ、今日はこれから予定とかありますか?」
あくまで平然を装って、僕は勇気を出して切り出した。
「僕の家ここの近くだから、良かったら一緒に夕飯でも。話したい事、まだ沢山あるんです」
これが事の始まりだった。
「えっ……と、あの、その……」
根岸先輩が仰向けになって僕を見上げている。
「さ、佐治君、どうしたの……?重いよ……」
困惑した表情。
テーブルの上には空のビール缶が2,3本と、先輩の飲みかけのグレープフルーツ味の酎ハイ。
最初から下心があって誘ったんじゃない。
身の回りの事や大好きな音楽の事を飲みながら語り合ううちに、抑えきれなくなった。
「も、もしかして……酔ってる?」
「ビール2,3本程度じゃ酔いませんよ」
頭は正常。否、いつもよりよく回る。
「先輩、僕ね結構もててたんですよ?大学の時…今もだけど可愛いって結構言われていたんですよ」
「なに……?」
「でも一度も彼女、作った事ないんですよ。これからもその気は無いです。何故か判りますか?」
「……」
根岸先輩は何も言わず首を横に振る。
僕は構わずに一人で話を進める。
「こないだ、雑誌の取材で相川先輩に会いました。根岸先輩は携帯もメールもアドレス変わってないって言ってた。
僕が何度かけても出てくれなかったのに。それに、遊園地で会った時も……」
あの時を思い出す。
「どれだけ僕が、根岸先輩に会いたかったか分かりますか?」
どんなに望んでも届かなかった声を今、聞いている。
どんなに伸ばしても届かなかった手を今、掴んでいる。
「その間、僕がどんな思いでいたか分かりますか?」
伝えずにいようって思っていた。
そうでなければ今の関係が壊れてしまうから。
でも、溢れる思いを止められなかった。
叶わない願いだと諦める気持ち以上に、声が枯れるほど愛を叫びたかった。
我慢しながら”いい後輩”をこの先も続けるくらいなら、終わってしまってもいいと思えた。
根岸先輩が好きで好きでたまらなかった。
「ずっとあなたがっ……!」
胸一杯に詰まってて、ずっと言えなかった言葉が、涙と共に溢れ出した。
「あなたが、好きでした」
ぼろぼろと泣き崩れる今の僕は、きっと凄く無様で情けない姿をしているだろう。
「わかった……もう、わかったから……泣かないで、佐治君」
今まで黙っていた根岸先輩が口を開いた。
涙で濡れる僕の頬を拭う手が、とても温かくて優しい。
結局僕はそのまま思う存分泣き続け、気付かないうちに眠りについていた。
「ずっと、あなたが好きでした」
その告白と共に泣き崩れた佐治君。
あのままじゃお互いに姿勢が辛いから、今はとりあえず2人揃って床に横になってるんだけど……
佐治君、泣き疲れて寝ちゃったみたいだし、これからどうしよう?
いきなり押し倒されて最初は凄くビックリしたけど、今はそれ以上に驚いてるよ。
ごめんね佐治君。連絡取らなくて。
君には合わす顔が無かったんだ。
僕がやっているのは自分のしたい事と違う音楽だから。
しかも好きでもないのにやりたくもないのに売れてるなんて、本当に最低だよね。
そして、思いに気付かなくてごめんね。
”僕の歌が好き”って言ってくれる君が僕も大好きだよ。
だけど、僕から音楽を取ると君はもう振り向いてくれないのかなって思うと不安だった。
君が好きなのは、”ミュージシャンとして尊敬できる先輩”である僕だと思ってたから。
僕が知らなかっただけで、ずっと君は音楽込みでこんな僕を想っていてくれたんだね。
本当にありがとう。
さっきから謝ってばっかりだけど、それしか言えないよ。
明日、朝起きたらどんな顔して佐治君に会ったらいいんだろう?
……あ、メールが来てる。
和田君からだ……あっ、明日福岡に遠征だった!
で、集合が……朝の5時?!打ち合わせもしたいからって、早すぎだよ!
こんな事があった後で何も言わずに居なくなるなんて、逃げるみたいで格好悪いよ。
でも、こんな朝早くに僕の都合で佐治君に迷惑掛けるわけにはいかないし。
あぁごめんね。せめて机の上は片付けて帰るからね。
じゃぁ、おやすみ。佐治君。
根岸視点 終
次の日、目が覚めると根岸先輩はもういなかった。
どんな顔で会ったらいいか分からなかったから、ホッとしたような気もしたけど、悲しかった。
いきなり押し倒して、泣いて、一人で勝手に盛り上がって……
もう、なんか僕って最低だ。
2日酔いと自己嫌悪で痛む頭を抱えて、僕はのろのろと立ち上がった。
「あれ?」
テーブルの上がいつの間にか片付いていて、ラップのかかったお皿がその上にのせてあった。
ガラスの小鉢にはレタスとトマトとシーチキンのサラダ。
白いお皿の上にはハート型にケチャップが掛けられたオムレツ。
そして小さく折りたたんだ手紙。
「これ、根岸先輩が……」
手紙はやはり昔と変わらない丸っこい文字で書いてあった。
”ごめん。用事があるから先に帰るよ。また今度、ゆっくり会おうね”
あぁやっぱり先輩は優しい。
ひどい事してしまったのに、もう終わりだと諦めかけていたのに
やっぱり僕は根岸先輩が好きだよ。
「また、会えるかな」
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|│ロ stop. │|
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ピッ ∧_∧
◇,,(∀・ ) 押し倒といてキスもなしかよ
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何か続きそうな感じですがこれで終了です。
中途半端でごめんなさい。
- 続きが読みたいです…。ううう気になる…。 -- 2010-01-28 (木) 16:55:15
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