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陸上リレー 次男→パパ 長男→犬

昨日引退したパパに片想いの次男、犬に片想いの長男です

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

終わってしまった
今までこれほど終わってほしくない大会があっただろうか

浅原さんの引退試合

俺がリレーメンバーとして傍にいられた時間も、もう終わり
彼は、大切な家族のパパに戻ってしまった

何度も想いを伝えようと、この気持ちを口に出そうと思ったことか、わからない
ただ、毎回言おうとする瞬間、彼の子供たちの顔が浮かんだ
俺はあの無垢な笑顔を壊したくはなかった
せめて家族ができる前に自分の気持ちに気付いていたかった
そうすれば、こんなに悩むこともなかったかもしれないのに

部屋の扉をノックする音が聞こえた
扉を開けに行くと末次さんだった
「どうしたんですか?もう休んでると思いましたよ」
「風呂は入ったんだが一人は落ち着かなくてさ」
ああ、そうだった
昨日まで浅原さんが末次さんと同じ部屋だったから、今夜は末次さん一人なんだっけ
俺と同室のツカポンは俺と入れ代わりで風呂に入ったばかりだった
「ツカポンはもすこしかかると思いますよ?」
末次さんが顔を見たかったのはツカポンだとわかっているから、末次さんを部屋の中に招き入れながら俺は言った
「別にいいよ。高比良とも話したかったし…わるかったな、昨日」

「なにがですか?」
思い当たることがない
「部屋変わってやれなくてさ」
ホテルに着いたときには浅原さんと同室は末次さんと決まっていたから、しかたがないことなのに
「同じ部屋じゃなくて、よかったですよ」
そう、よかったのだ
昨夜の俺はツカポンがいたから、ふつうでいられた
浅原さんの傍にいたら何するかわかったもんじゃなかった
「今までの関係も努力も打ち壊さずにすみましたから」
俺がそう言って笑うと、ベッドに腰を下ろしていた末次さんはつらそうな顔をした
俺が浅原さんを好きなことに気付いても、それまで同様の付き合いをしてくれた末次さん
俺が浅原さんのことで泣きたくなったとき、一晩中口を聞いてくれたのも末次さんだった
「今までの迷惑かけました。わざわざ俺を浅原さんの隣にしてくれたりとかいろいろしてくれてありがとうございました」

俺が頭を下げると末次さんは苦笑いだけを浮かべた

「ねえ、末次さん?」
「なんだ?」
「末次さんは告白してくださいね」
「……」
「あいつは軽蔑したりとかはたぶんしませんよ。今ならまだ結婚してないし…」
枯れていたはずの涙が再びあふれてきた
末次さんが俺の気持ちに気付いたように、俺も末次さんの気持ちに気付いてしまったのだ
同じような苦しみを持った気持ちに
「…俺みたいになってほしくないですよ。俺は伝えたかった……本当は…」
伝えたかった、けど伝えられなかった
いや、伝えてはいけなかったんだ
それでも自分の想いを伝えたいという気持ちが強すぎて
「…きだ……って、つたぇ…」
嗚咽でうまく話せない

「頑張ってたよ、おまえは」
抱き締められ頭をポンポンと叩かれる
「あの浅原さんが決勝で思いっきり出れたのは高比良のおかげだろ。それだけ信頼されるようになれたんだから」
選手として役に立てば強くなれば傍にいられると頑張ったのは確かだ
それも金同メダルという信じられない結果に繋がった
でも、俺は虚しかった
メダルより浅原さんは遠いのかと打ちのめされた
「末次さん…」
「ん?」
「話かえようとしても無理ですよ」
「へ?」
俺は末次さんの手から鍵を取ると、靴を履き隣の部屋の移る支度をした
「高比良?…まさか」
「末次さん、こっちの部屋で寝てくださいね。あとで携帯だけ持ってきます」

そう言って扉を閉めた俺の背中に末次さんの悲鳴のような声が聞こえてきた
こんな話をした直後だからきっと意識してしまうだろうなと、このあとの末次さんを想像して吹き出してしまった

涙はどこかに消えていた

自分は叶わない恋をした

けれど叶う恋だってあるんだから

末次さんには叶う恋をしてほしい

せめて幸せになってもらいたい

俺の幸せを願ってくれた人だから

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
パパ引退でSS少なくなるなと淋しく思ってたり
また書きたいです


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