魔王 刑事×弁護士
更新日: 2011-01-12 (水) 00:12:41
最終話前に、どうしても吐き出したいと思ってしまった。
初なので、読みにくい箇所などあったらご容赦を。糖度低め。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
典義が笠井を殺していたという事実は、直斗を打ちのめした。沿道のトンネルの中で、遂に精神力も限界に達し、声も無く崩れ落ちる。
雨音が、過去の記憶を呼び起こし、直斗の心の中を塗り潰していく。
深く頭を垂れ、様々な激情の波を耐えてやり過ごそうと蹲る。明日には、尊敬していた、いつでも優しかった兄を、自分の手で捕らえなければならない。証拠を集め、あの男を捕まえる為に奔走しなければならない。だが・・・。
動き出せない直斗の耳に、几帳面な靴音が近づいてくる。聞き違う筈も無く、しかしその思わぬ近さに驚いて顔を上げる。
閉じた雨傘を手にした鳴瀬が、目の前に立っていた。
殆ど会話も交わさぬまま、鳴瀬の自室に通され、引き落とされるように寝台に横たえられた。直斗の腹に重心を掛けて鳴瀬は直斗を見下ろしている。表情から感情は汲み取れなくて、それが恐ろしかった。
ほんの一昨日までの、鳴瀬の正体を知らなかった頃の自分なら、鳴瀬の部屋に招かれた時点で大いに戸惑いながらも、どこかで喜びが湧き上がっていただろうが・・・。
今は違う。苦しいばかりだ。
シャツの裾に入り込んでくる鳴瀬の手に、雨で冷えた自分の手を、重ねて。震える唇で、直斗は名を紡いだ。
「智雄さ・・・」
「鳴瀬で良いです」
どこか苛立たしげに唇を塞がれる。ぬるりと入り込んできた舌に、ぞくりと戦慄が走った。
鳴瀬の唇が、手が、確実に直斗を追い詰める。頭の芯が痺れそうになり、脳裏に警鐘が響く。
「どうして・・・っ」直斗が喘ぎ喘ぎ問うと、
「散々私を抱いておいて、今更『どうして』ですか・・・」と鳴瀬が返し。そこで初めて無表情が崩れて、微笑った。口の端に、皮肉を乗せて。目の際に、薄く涙の膜を張って。
その表情に、直斗の冷たく冷え切った心の奥に、小さいが強く、炎が灯った。
殺されるかもしれないという危惧も、憎しみも一瞬忘れ、長年自分を恨む一心で執着してきただろう目の前の男をーー愛しいと、思った。
躊躇いがちに、手を伸ばす。鳴瀬の背に手を回して、引き寄せた。
鳴瀬の瞳から、涙が一つ、雫となり毀れ落ちる。ひた、と直斗の胸に頬を付けた鳴瀬を、激情のままに、寝台に沈めた。鳴瀬の僅かな囁きが、届く。
(私が貴方に抱かれたのは、貴方が生きている事が感じられて、嬉しかったからです)
その告白の真意は、果たしてどちらにーー。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
・・・自分の技量では、これが限界。
最終話までの悶々とした気分を発散させていただきました。
お付き合い下さり、ありがとうございましたm(__)m
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