ナインティナイン 矢部×岡村
更新日: 2011-04-26 (火) 17:15:14
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「はぁ~…」
丘村は何度目かの溜息をついた。
部活の帰り道、今日も一人でこんな早い時間に歩いている。
いつもならいつも通りに谷部とお好み焼き食べて、だらだら二人して帰るはずだった。
それなのにアイツはそそくさと先に帰ってしまい、寄り道もせず一人で帰る日々が一週間ほど続いている。
まぁ一人で帰るくらい、たまには良いのだ。
ただ、理由が何となく嫌な感じだったのだ。
部活が終わり、じゃーお好み行こか~と口を開く前に、
谷部が制するように「僕、今日も用事あるんすわ。先帰ります」と言って、
声をかける間もなく次の瞬間には「お疲れっす!」と言って早々に部室を出ていってしまった。
「最近なんやアイツ~」
「また新しい女できたんちゃうん」
「やりよんなぁ~」
と部員が口々に言うのを聞きながら、丘村は何故か頭がぼうっとして嫌な気持ちになったのだ。
それですっかり元気がなくなって、他の友達の誘いも断って足取り重く帰路についているのだが。
「なんやねんアイツ…ちゅーか俺も何でモヤモヤしとんねん」
子供じゃあるまいし、と自嘲気味に笑って前をふっと見ると、ちょうど見慣れた後ろ姿が
背の低いセーラー服の子と角を曲がるのが見えた。
「あれ…アイツ」
谷部だ。
やっぱり誰かが言っていた様に、彼女が出来たのか。
そういえば谷部は『自分より背の小さい人がタイプです』って言うてたなぁと、思い出したが
そんな事より彼女が出来たら出来たで、それ以前に好きな子がいる事くらい教えてくれても良いじゃないか。
毎日一緒にいるのに何も言ってくれないなんて。
「なんやねんホンマ」
自分は谷部の事を何でも知っていると思っていた。
信頼もしていた。そして、信頼されていると思っていたのに。
一言も言わず、こそこそ女の子と会ってるなんて。
ますますつまらなくなって、丘村は家に着いた。
翌日、溜息の数は増えたまま昼休みになった。
食堂へ行くと大低部員がいて自然と集まっていたが、そこに谷部の姿はなかった。
今日会ったらうんと冷やかして、笑って自分のモヤモヤをごまかそうと思っていたがそれも出来ない。
昼食もそこそこに、食堂を出て教室に戻ろうと校舎の裏を通っていたら、
「あっ」と声がした。
見遣ると、昨日の女の子と谷部。
やましい理由などない筈なのに、谷部が見られた、という表情をしたのが気に入らなかった。
「…うっす」
「…おぅ」
取り敢えず挨拶の様なものをして、特別何も言わず、振り向きもせず、丘村は谷部に背を向けて足早に通り過ぎた。
後ろから、谷部と彼女に何か自分の事を話されている気がしたが、振り切る様に教室へ向かった。
すれ違い様に見えた谷部の目が縋るように揺れた様に見えたが、気のせいだろう。
それからの授業は全く頭に入らず、ぼーっと校庭ばかり眺めていた。
放課後、部活で谷部に会うのが何だか嫌だった。
思えば、昨日からずっと谷部の事ばかり考えている。
「何でホンマにアイツの事ばっかり」
考えているのだろう。
「もーむかつくわ…」
最後の授業の鐘が鳴った。
部活が始まってからも丘村はイライラしたままだった。
いつもならムードメーカーの丘村が、今日は誰より調子が悪いのを心配して他の部員が声をかけるが、
その間も谷部は一言も丘村に声をかけなかった。
そんな丘村と一番仲の良い谷部の態度を見て、部員達は二人が喧嘩でもしたのだろうと流していたが
部活が終わっても変な空気のままその日は皆静かに学校を出た。
皆でぞろぞろ歩いていると、谷部がすっと丘村の隣に来て、
「ちょっと付き合って下さい」
と小声で言った。
自分が谷部に思う事もあったし、谷部の言い方に意志が感じ取れて
「えーよ」と答え、皆と別れて公園に向かった。
夕飯時の公園は人もおらず、本当の二人きりだった。
ちら、と谷部を見ると眉間に皺を寄せて悩んでいる様子だったが、
その表情が男前やなぁ…と丘村はぼんやり思った。
暫く沈黙が続いたが、耐え切れなくて丘村から口を開いた。
「…で、何やねん」
「いや、あの…」
久しぶりの会話。
「昨日見たで、女の子と歩いてんの」
自分でも驚くほど、言い方に刺がある。
これではまるで、その女の子に嫉妬しているみたいだ。
「昼間と同じ子やった」
「丘村さん」
「言えよなぁ、そーゆーことは」
「違うんです、丘村さん」
「何が違うねん。背ぇ小っちゃーて可愛らしい子やん」
「違うんです!」
声を荒げて谷部が反対した。
「…違うんです、聞いて下さい」
思い詰めた表情で、谷部が続ける。
「あれね、あの子は僕の相談に乗ってもらってだだけなんです」
「え、そうなん……でも」
じゃあ、何で昼間会った時あんな態度を取ったのか。何故いまそんな苦々しい顔をしているのか。
しかしそれを聞いて、どうだというのだろう。
聞きたいと思う半面、自分が何故そこまで知りたがるのか分からなかったし、それこそ女の嫉妬の様で嫌だった。
こんな感情を持っている自分を谷部に晒すのは恥ずかしかった。気持ちを隠す様に、谷部に問う。
「何の相談してたん…まぁ言いたなかったらええけどやぁ」
結局拗ねた様な口ぶりになってしまったが、谷部は気にしていないようだった。
「…好きな人の事です」
「…ふーん」
あぁ、やっぱりか。
あの女の子が彼女じゃないと聞いて少しは感情が和らいだが、
他に好きな子がいるなら同じようなもんだ。
「どんな子なん」
「……」
「俺の知ってる子?」
「……」
余程言いたくないのだろう、谷部は黙り込んだまま地面を見つめている。
あまりに固く口を閉ざすので、問い詰めた自分が悪い様な気がしてきた。
「…えーよ、言いたないなら言わんで。…すまんかったな」
あんなに何でも話してくれた谷部に…可愛いがっていた後輩に隠し事をされるのは辛かった。
「また…話しても良いと思ったら聞かしてくれな。恋愛の事じゃなくても」
本当に、自分は谷部の事を大事にしていたのだ。
学年の枠を越えて、気がつくと常に一緒にいたし、何でも話せるのは同期の誰でもなく谷部だった。
それをいま、失ってしまったに等しかった。
「じゃあ…また明日な」
谷部からも話があったのだろうが、聞けそうになかった。
いたたまれなくなって丘村は腰を上げた。
「待って下さい!!」
ハッと顔を上げ、谷部は立ち去ろうとする丘村の腕を掴んだ。
「…何やねん」
「すいません…」
もう手を離してくれ、泣きたいんはこっちの方やねんぞ…とばかりに、丘村は谷部から目を逸らした。
気まずい空気が流れる中、意を決した様に矢部が口を開いた。
「僕の好きな人、丘村さんなんです」
「…はぁ?」
意味が分からない。
思わず谷部の顔を見上げる。
「さぁから、僕は丘村さんの事が好きなんです」
「何を…」
「ずっと…好きやったんです」
「あほか…っ!俺男やで?!」
「分かってます」
頭が混乱する中、谷部が少しずつ話し始めた。
「僕、丘村さんを初めて見た時、なんかええな~って思ったんです。輝いてるなぁって」
「……」
「そっから丘村さんと仲良うなって、他の女の子と付き合う事もあったんですけど何か違って。
やっぱり岡村さんとおる時が一番楽しくて、落ち着いたんです」
考えてみると、それは丘村も同じだった。
だが、まだ谷部が自分をそういう風に見ていた事が信じられなかった。
「最初は気付かんかったんです。
丘村さんの事は…先輩として好きやったけど、だんだんそうじゃないんかなぁってなって…
その話をあの女の子にしたら、それは恋やでって言われて…」
「……」
「丘村さんは男やし、そんな事有り得へんと思ってたけど…なんぼ考えても好きやったんです」
「谷部…」
「急にこんな事言われたら困りますよね…すいません」
谷部の目が、昼間の様に揺れた。
「そんな…」
そんな顔すんなよ、と言った声が風に紛れる。
「一番仲良くしてもらってたし、関係が壊れてまうのも分かってたから言えずにいたんですけど
…気持ち言うたら何かスッキリしました」
そう笑う顔が哀しくて。
「僕、もう丘村さんに会わんようにします…サッカー部も辞めますね」
ずっと掴んでいた丘村の腕を、谷部が離した。
それが二人の繋いでいたものが切れるイメージと重なって、丘村は何か言わなくては、と慌てて言った。
「おまえ、自分の気持ち言うたら終いか?」
「丘村さん…」
「一方的に自分の気持ち言うて、俺の気持ちも聞かんと……勝手に離れようとすんな」
「……」
確かに、男に突然告白されて驚いている。
谷部をそういう恋愛対象として見るなんて発想すらなかった。
しかし谷部が自分から離れていくのは堪え難かった。
自分は谷部を好きなのか…?男女の枠をとっぱらったら、どうだろう?
きっと自分は、多分。
「おまえを…」
手放したくない。
「…おまえがおらんくなるなんて、考えられへん」
「丘村さん」
「さぁから…どこにも行くな…」
自分の気持ちの正体は、分からない。
でも、谷部とずっと一緒にいたいのは確かだった。
「丘村さん…好きです」
「うん」
「…抱きしめても良いですか」
「…うん」
谷部は、丘村をそっと抱きしめた。
谷部の胸は思った以上に心地よくて、安心した。
いまのこの感情は、多分、好きって言うんやろうな。
丘村は泣きだしそうな谷部の頬にそっと手を寄せ、撫でてみた。
丘村の行動に谷部は少し驚いた顔をしたが、その顔が何だか愛おしく見えて、
「おまえ…あほやなぁ」
と、丘村は笑いながら大きく息を吐いた。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ハツトウカデキンチョウシマスタ
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