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野球 阪神タイガース0625

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  某在阪王求団、兄×弟
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  長文、お目汚しスマソ。

 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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……一足踏み出す事に、腰から足にかけピリピリとした痛みが走り、俺は眉をし
かめる。

23日、3位決定戦。対アメリカ。

俺……荒い/貴浩と、全日本代表は銅メダルを賭けて戦った。……が、結果はごら
んの通りだ。

負けた原因は、怪我人が多かったからとか、準備期間が少なかったからとか、
いろいろ言ってる人もいるけど、俺はそんなの全部言い訳だと思う。

負けた原因は簡単……。俺達の力が足りなかっただけだ。

球場までの道のり、ホテルまでは皆一様に暗く、無口だったが、空港などに着
くころには、多少明るい顔も戻ってきた。だけど、敗戦のショックが色濃く残る

あの時、なぜ打てなかったのか……。

機内から荷物を待っている間、俺は思わず思考にとりつかれる。と、
「荒い」
肩を叩かれ、振り向くとヤノさんがいた。
「お前、何を暗い顔をしてるんや。笑わな、福が逃げてまうで」
笑顔で俺にそう言うヤノさんに、「そうですね」と答えると、
「北京じゃ辛い想いもしたけどな。明日以降に絶対生きてくるんや。だから、切
り替えていこ、な?」

自分にも言い聞かせているのか、笑顔の中にも少しの苦しみが見える顔で。
そういうヤノさんに、俺は頷くと、
「荒いは素直でええ子や」
手を伸ばし、俺の頭をヤノさんは撫でた。
その行為をくすぐったく思いながら、思わず目を細めると、
「お前はこのまま帰るんか?」
ヤノさんが尋ねるので、俺は一呼吸置いた後、
「……神宮に行きます」
とだけ答えると、
「そっか。でも、腰があるんやから、早く病院行くんやで。あまり無理すんな」
ヤノさんは言い、俺は頷きながらも、
「ヤノさんは、……神宮行かないんですか?……会わないんですか?」
と尋ねると、彼は苦笑した。
「せやかて、大阪帰ればすぐに会えるしなあ。……それに、今、会っても、絶対
に迷惑がかかる。あいつの顔見たら、……恥ずかしい話、平静でおれんからな」
苦笑いするヤノさんに、俺も思わず笑う。と、
「でも、荒いは別やで。いっぱい甘えてこい」
ヤノさんが言うので、俺は首を降った。
「別に、そういうわけじゃないですよ。……ただ、バッターボックスに立ってる
カネさんが見たいだけなんです。……俺も会うとどうなるかわからないから、そ
れは自重します」

俺が答えると「そっか」とヤノさんは軽く答え、カートを引きながら、自動扉を出る。
最後に背中越しに、「お疲れさん」と手を振りながら。
見送りながら、俺も手を振る。そして、いつの間にか荷物引き取り場に俺一人
になった事に気がつくと、慌ててそこを後にしたのだった。

成田空港から慌ててタクシーをチャーターし、神宮球場へ向かったものの、す
でに雨天中止が決定したあとだった。
意気消沈した俺に、同行してくれたトレーナーが「赤坂に行きますか?」と声
をかける。だが、俺は断り、
「一人でゆっくりしたいんで」
と告げると別のホテルを用意してくれた。
本来の仕事とはまったく異なるのに、俺の為に走ってくれた彼に、俺は丁重に
お礼を言うと、素直に好意に甘えることにした。

ホテルに着き、荷物も身につけた衣服もそのままにベッドに身を投げ出す。
鎮痛剤のおかげで、だいぶやらわいでいるが、腰は相変わらず鈍痛を訴える。
薬がきれると激痛になるこの痛みを受けながら、俺はあえて「罰」として受け取
っていた。

 ペナントレースの大事な時に打てなかった罪、北京でのふがいない自分に対す
る罪。そして、自分のあさましい欲望の為に、大事な人々を裏切った罪……。

 目を閉じると、闇の中、鉢さんの顔が浮かんでは消えた。
「……会いたい」
思わずこぼれ落ちた言葉と同時に、扉をノックする音が響いた。

『誰だろ』
俺は腰を捻らないように身体を起こすと、扉を開き、思わず声をあげた。
「カネさん!」
そこにはぶぜんとした顔で俺を見上げる鉢さんの姿。
俺は信じられないものを見たように、あんぐりと口を開いたまま彼を見つめる
と、鉢さんは俺の許可もなくズカズカと部屋へと足を踏み入れた。
「……腰、大丈夫か?」
部屋の中央までたどり着いてから、俺に背中を向けたまま尋ねる。その言葉に
「はい」と答えると、間発いれずに、
「嘘つけ」
と返ってきた。
その言葉に俺が何て答えようか迷っていると、いつの間にか鉢さんは俺をま
っすぐ見つめ、
「見てたらわかるわ。全日本の時は、ブッサイクなスイングしよって」
と笑う。
だが、よく見ると目が笑っていない。
俺はそんな鉢さんを見ながら、なんて話を反らそうかと考える。と、思わず
疑問が口をついてでた。
「……そういえば、なんでこのホテルがわかったんですか?」
「宿舎であいつに会うたんでな。そしたら教えてくれたわ」
同行していたトレーナーの名前を出し、俺は思わずうなだれる。

『そういえば、口止めしてなかったな……。いや、カネさん相手に黙っていられ
るはずもないか……』
俺が心の中呟くと、
「なんじゃ?来たらあかんかったんか」
と鉢さんは言う。その言葉に、
「いいえ!そんな事は」
と咄嗟に俺は答えていた。
瞬間、みるみる顔が火照ってくる。結局、この人の前では、取り繕ったりする
ことはできない。

あんなに会いたくて、焦がれた鉢さんなのに、ちょっと手を伸ばせば触れら
れるのに、出来ない。
怖いのだ。
周囲の反対をおしきって、北京に行き、醜態を晒したこと。
それにも関わらず、致命的な怪我を負ってしまい、もしかしたら俺は野球がで
きなくなるかもしれない事。

俺の野球は鉢さんが教えてくれた。
野球と鉢さんは俺の中で同じくらい大切な物だ。……なのに、俺は野球を自
分のエゴで汚してしまった。
そんな俺を鉢さんは軽蔑するのではないかと。

 俺は固まり動けなくなる。と、鉢さんは突然俺を抱きよせると、背中を何度
も叩いた。
優しく、そしてゆっくりと。
鉢さんが俺の背中を叩く度、鉢さんの想いが流れこんでくる。
『よく頑張った。お疲れさん』
鉢さんの手のひらから伝わる優しさ。
それを受けながら。俺の頬を一筋の涙が伝う。刹那、それを止めようとしたが
無駄で、涙は粒から流れへと変わった。
「カネさん……!カネさん、カネさん!」
いろいろと伝えたい言葉はあるはずなのに、俺は鉢さんの名前を呼ぶことしか
できず、ただひたすら子供のように泣き続けた。
 ……鉢さんの優しい腕の中で。 俺が嗚咽をあげる間中、ずっと彼は抱きしめ
てくれていたのだった……。

「落ち着いたか」
 それからしばらく後。
 泣きやまない俺を鉢さんはあやすように、ベッドサイドへ連れて行き、そこで
ずっと傍にいてくれた。
 平静を取り戻してから、俺は自分の演じた醜態に恥ずかしくて穴でも掘って逃げ込み
たくなる。が、鉢さんは、
「荒いさんがワシに迷惑かけるのはしょっちゅうじゃけんのう。慣れたわ」
と笑っている。

それを見ながら、
「……すいません」
と俺が言うと、
「謝らんでもええ。謝るならまず怪我を治せ。そんで、グラウンドに戻って来い」
と鉢さんは俺を見、言った。
 それに俺は頷くと、
「ええ子じゃ」
と鉢さんは俺の頭を撫でてくれた。
 その心地よさに俺が目を細める。そして、
「俺、カネさんのこと大好きです」
と俺は思わず彼の顔を見呟くと、
「知ってるわ」
と鉢さんは苦笑いしながら俺に答えた。
 それを見、俺は微笑む。
 ちなみに、鉢さんの俺に対する気持ちは、握った手の熱さから伝わってくるのだ。だか
らあえて尋ねることはない。
 腰の痛みは絶えず俺の苛み、不安に落とす。
 だが、傍らに鉢さんがいてくれる限り、そんな闇はすぐに消えていくと俺は信じて

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 | |                | |     ピッ   (・∀・;)タイトル番号間違えたりでもう何がなにやら
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