Top/40-11

櫻井翔(嵐)×冨田洋之(体操選手)

乱れた息が堪えようもなく溢れ出す。
立てた膝が崩れそうになって、腰を貫く痛いほどの快感に思わず指を噛んだ。
「っ……んぅ……ッ」きり……と、歯に力が乗る。自ら銜えた指すら、快楽の前
に形を失いそうな錯覚。
「さ…く……ッ」
「……指は駄目ですよ」
労るような優しい声。下肢を揉みしだいていた手が、そっと冨田の唇から指を奪
う。
「大切な……体操のための指でしょ」
「あッ、…!!」
歯形のついた右手の人差し指を、口腔に含まれる。丁寧に舌が這う感触。脳が焼
けるようだった。背を反らせて冨田は、甘い声を張り上げた。
再びゆっくりと動き始める両手の感触。かり首をキツく締められて、先端に爪を
立てられる。がくがくと、震える腰。裸の背筋に、汗が伝う。
先端からじわじわと、先走りが溢れる。ぽたりと、膝にたわんだズボンに滴った
。ひっそりと櫻井が笑う。濡れた指先で根本から、やわな皮膚を擦り上げられる
。「……っん、さ、く……」
「……辛くない?」
優しい声が囁く。咄嗟に大きく首を振った。煽るように、胸元を舐め上げられる
。濡れた、生暖かい感触が、しこった乳首を丁寧に辿る。押しつけられた舌の感
触。軽く歯を立てられて、支配された下肢がびくびくと震える。櫻井の手の中で
、……誇張を始めた下肢。燃え上がりそうな熱を帯びて、息が詰まる。関節の浮
いた櫻井の指。絡まり付き、擦り、爪を立てて、丁寧に愛撫する。跳ね上がった
鼓動が限界まで来る。身体中を支配し吹き荒れる快感にもう、唇を噛むことも出
来ない。「ぁッ、……く……ッ、ぁ……ッ!!」
手が……呟いた。櫻井は、笑っただけだった。更に激しく擦り上げる動きに翻弄
されて、腰が抜ける。咄嗟にしがみついた櫻井の首。無我夢中でその頭を胸に抱
き込んで──果てる瞬間、声をあげていた。
力の抜けた身体を、櫻井が支えてくれる。へたりこんだ尻に、櫻井の膝が触れた
。限界まで燃え上がった身体が、じりじりと疼きを放つ。大きく身震いして、潤
んだ目をゆっくりと開いた。

「……櫻井くん」
掠れた声が、愛撫の激しさを物語る。はしたないほど乱れた自分に気付き、冨田
は櫻井の首筋に埋めた頬を赤く染めた。抱かれたいと思う自分を恥じたりしない
……考えて、息をのむ。夢中になって脱ぎ捨てたTシャツとインナーは、テーブル
から半ばずれ落ちたまま、手を伸ばせば届く距離に未だ鎮座している。
伸びてしまった前髪が、額からこめかみへ滑り落ちる。明るいままの照明を、落
として欲しいと乞うことはなかった。脳裏に焼き付けるのだ。櫻井の姿を。考え
ながら、覆い被さるように身体を寄せた櫻井から視線をそらす。
「……顔、熱い……」照れ隠しのように呟いて、両手で顔を覆った。その手に、
櫻井の唇が降ってくる。指の隙間越し、櫻井の優しい微笑を見つめて、余計体温
が跳ね上がる。けれど、ヤメロなんて死んだって言いたくはない。
裸の肌に、櫻井の掌が伝う。乳首に絡まった指が、やわやわと刺激を加えて蠢く
。触られるだけで神経が其処に集中して、背筋がびりびりと痙攣する。開いた唇
から吐息が零れた。じれったいほど丁寧に、執拗に乳首を責められて、その敏感
さに驚く。気恥ずかしくなるほど容易く、果てたばかりの下肢が反応を始めた。
「……ッ、あっ……!」
快感に、腰が跳ねる。咄嗟に踏みしめようとした足は、絡んだズボンが邪魔をし
て、ままならない。珍しく焦る冨田に、櫻井が笑ったのが分かった。乳首を責め
る手はそのまま、空いた片手が、ゆっくりと内股を滑る。
「……脱がせて良いですか」
「……」
「嫌なら止めます」
「……大丈夫だから」

顔を隠したまま、冨田はその羞恥を必死で堪えた。こんなとき、感情が表情にで
にくくて良かったと思う。櫻井の体温が離れてゆく感触。膝に添えられた手が、
布を払ってふくらはぎを滑る。徐々に下ろされてゆく圧迫感に、思わず嘆息を零
せば、立てた膝頭にそっとキスされた。下着ごと、そうやって拘束を解かれて、
床に落ちる衣擦れの音を聞く。「本当に……駄目なら、そう言って下さい」情動
が隠しきれない声。少し掠れているのに気付いて、冨田はそっと、指の隙間から
櫻井を伺った。上着を、手早く脱ぎ捨てて。櫻井が、立てた膝を押し開きその間
に、身体を押しつけてくる。本能的な恐怖と発作的な衝動を、寸前で冨田は押し
とどめた。貫かれる衝撃を、思い出す前にシーツを掴む。コットンの生地に爪が
ひっかかるような感触。目を閉じて、思わず息をのむ。
「……冨田さん」
「……いいから」
言葉を封じるように静かに言う。これ以上何かを問われれば、間違いなく泣き言
になりそうな気がした。閉じた瞼のした、櫻井の面影を思い出す。目を閉じても
開いても。櫻井が此処にいるのは間違いない。内股に触れた、堅い筋肉の感触。
熱を帯びたままの下肢に、櫻井の指が絡まる。軽く上下に擦られただけで、声が
出た。瞼に涙が滲みそうになる……息を詰めて、奥歯を食いしばって。
「……指だけは、噛まないで下さい」
囁きが、……内股に触れた。
何をされるのか分からなくて顔を上げた冨田は、自分の下肢に顔を埋める櫻井を
見て、え、と呟いた。

「……さくら……」口腔に含まれた瞬間、それ以上言葉が続かなくなる。がくん
とシーツに沈んだ身体が、いきなりの生々しい悦楽に一瞬で硬直した。ねっとり
と絡んでくる舌。触れた歯がいたぶるような曖昧さで上下する。一番敏感で弱い
箇所を責め立てる直接的な快感。一気に燃え上がった身体がシーツの上で、陸に
打ち上げられた魚のようにびくびくと戦慄く。シーツを握りしめて、下肢から響
いてくる刺激を堪えた。指を噛むなと封じられれば、声を塞ぐことも出来ない。
肩を反らせて腰をひくつかせながら、必死で、その衝撃を受け止める。
キツく吸い上げられて、眼球が爆発しそうなほどの熱を覚えた。
「……ッ、ん……はッ」
「……かわいい、冨田さん」
「ッ、ぁ、……っ…」
蹴った踵が、不意にシーツから浮く。捕まれた足首はそのまま、櫻井の肩に乗せ
られた。ふくらはぎに触れた肩胛骨の感触。下肢を支配されたままの格好で、腰
が大きく浮くのが分かった。こんな格好……混乱で思考が上手く働かない。腰を
折られて、開いた内股に櫻井の右手が伝う。
下肢を吸う濡れそぼった音。より近くで聞いて、冨田はたまらず両手で唇を覆っ
た。自ら封じた吐息が熱い。指を焦がすような息に、今更脳天を突き抜ける羞恥
を知る。「……声、聞かせてください」乞われた瞬間、首を振っていた。額に浮
いた汗がこめかみへ伝い落ちる。
「なんで」
「……だって……」
「だってなに」
「……年上なのに」
押し殺した声で冨田のつぶやきを笑って、櫻井は冨田の先端に強く歯を立てた。

「ん……ッ、んぅ……」
「そこが気になるんだ、冨田さん的には」
くつくつと笑う櫻井。揶揄に聞こえるのに。……優しいと感じてしまうのは何故
だろう……。
思わず弛緩した尻を、櫻井の右手が撫で上げた。じわり、とその指先が、双丘の
割れ目を伝う。最奥の入り口に、触れた指先の感触。咄嗟に息をのんで、瞼に力
を込める。
「……まだこれからだから……」
含まれたまま囁かれて、息がこすれる感触に、腰が震えた。……柔らかな箇所を
擦るように蠢く指先。簡単に熱くなった皮膚を、指の腹がやわやわと押す。それ
だけで内股が痙攣するほど突っ張った。櫻井の背中で、踵が空を蹴る。
「アッ、アアッ!!」指の先を入れられただけで、全身が燃え上がるかと思うほ
ど、感じた。下肢を愛撫する動きが、尻を責める動きと連動する。舐め上げられ
噛まれて弛緩するたび、少しずつ少しずつ櫻井が内側を侵略する。肉がこすれる
感触に、冨田は堪えきれなくなって喘ぎ悶えた。頭の中身を泡立て器で手荒くか
き混ぜられたような感触。意識が明滅する。強く吸い上げたまま激しく上下する
櫻井の唇。根本まで飲み込んだ指が、……やがて抜き差しを始める。丁寧に内壁
を擦る律動。悪戯に爪で抉られた箇所は、下腹部が弾けるほどの刺激で冨田を翻
弄させた。一気に高まった熱を、もう自力ではどうすることも出来ない。爆発す
る……感じる全身から熱い血が、一カ所に集中して弾け飛びそうで。
其処に這わされる舌の感触が、狂おしいほどに、気持ち良い。「口……はな…」
これ以上我慢できない……咄嗟に飛び出た声は、懇願を帯びて震えていた。腰を
揺らめかせて今にも果てそうになる衝撃を堪えながら、無意識に櫻井の髪に両手
を絡ませる。強く髪を引いて抗議して、それでも櫻井は赦してくれない。もっと
激しく責め立てられて、下肢と、粘膜を激しく擦るリアルな快感に、もう、どう
しようもなくなる。

「はッ、く……ッ」
それだけは駄目だと。叫ぶことも出来なかった。容易く翻弄され支配されて、…
…櫻井の思うままになる。
達する瞬間、冨田は全身を強ばらせて声にならない悲鳴を上げた。射精する瞬間
、腰から先端に突き抜けたうだるような激しい快感に、意識が吹っ飛びそうにな
った。果てて、びくびく戦慄いた腹が、開放感にゆるゆると力を失う。ぎりぎり
寸前まで堅く強ばっていた身体が、軟体動物になったように脱力して、シーツに
落ちた。
うっすら開いた目で、果てた残滓を櫻井が飲み干すのを見た。そこまで赦せるの
か。考えて、冨田はうだるように熱を帯びた頬を、ゆっくりと背けた。目を閉じ
て、乱れてしまった息を整える。
恐怖も何も感じないのに。羞恥を忘れることだけ出来ない自分は、相変わらず堅
物なのだと少し、笑った。


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