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岩窟王2 伯爵×アルベール前提のフランツ×アルベール

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                    | がんクツ王パロ、>>491-495の続きです。
                    | 今回は伯爵×子爵前提の男爵×子爵だったり…
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 | __________  |     ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 別名「男爵、ついにキレる」の巻だモナ 
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 | | |> PLAY.       | |                ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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「風邪を……引いた?」
 モノレセール邸の入口から続く大広間に立ち尽くし、フラソツは茫然と呟いた。
「ええ。昨夜は、モン〒・クリス卜伯爵の所へ遊びに行って、今日の昼過ぎに戻ったの
だけど……帰るなり『具合が悪い』って」
 来客を告げられて、二階からゆったりとした動作で降りてきたメノレセデスが、ころころと
鈴の音のような笑い声を立てた。
「あの子、自分が楽しいと我を忘れてはしゃいでしまうから…。伯爵にご迷惑をお掛けして
いないと良いのだけれど」
 昨夜は仲間がいつも集まる場所に顔を出さなかった親友を心配してやってきたフラソツは、
メノレセデスの言葉を聞いて、後頭部を鈍器で殴り付けられたような気分になった。
(アノレベール……よりによって、あの怪しげな男の元へ行っていたとは!)
 せっかく訪ねて下さったのにごめんなさいね、と告げるメノレセデスを信じられないという
ような面持ちで眺めていたフラソツは、やがて黙礼すると彼女の脇をするりと抜けて
モノレセール邸の廊下を渡ろうとした。
 そんなフラソツの思惑を悟ったメノレセデスが、慌てた様子で彼の背中に声を掛ける。
「いけませんわ、デヒ゜ネー男爵。貴方にまでアノレベールの病気が伝染したら、私、ご両親
に面目が立ちませんもの」
 しかし、結果的には彼女のこの言葉が、却ってフラソツを煽ることとなった。
 フラソツはマダム・モノレセールの言葉を耳に聞き咎め、勢い良く振り返ると彼女に迫った。
「誰か他に、アノレベールから風邪を伝染されたのですか?!」
「え、ええ…。新しく入ったメイドが、あの子から風邪を貰って本邸へ帰ってきましたわ」
 フラソツの勢いに気圧されて、メノレセデスが答える。
(新しいメイド──あの盗賊団の子供か!!)

 ルナからアノレベールを追ってやってきた、今はこのモノレセール家のメイドとして仕えている
少女──本当は少年、なのだが──の顔を思い出した途端、フラソツは頭にカッと血が上る
のを感じた。忌ま忌ましいノレイジ・ヴァソパーの一味め、風邪を伝染されるような至近距離で
アノレベールに何をしたというのだ!
 フラソツは再び身体の向きを変えると、メノレセデスが尚も引き留めようとするのを
断ち切るように、アノレベールの部屋のある別館へと足早に向かった。
 メノレセデスからは見て取れなかったが、いつも冷静沈着な態度を崩さない彼の端整な顔は、
怒りと嫉妬心で歪みきっていた。

 フラソツが部屋に行くと、アノレベールは天蓋を降ろしたベッドに横たわって眠っていた。
 ベッド脇のキャビネットの上には、水差しとグラス、それに薬が置いてある。
 薄手の青い生地の前で立ち尽くしていたフラソツだったが、両手で天蓋を分けると、
そっとアノレベールの寝顔を覗き見た。
「……っ」
 熱が高いのか、アノレベールのまだあどけなさが残る顔は頬がうっすらと上気し、淡く
開かれた花弁のような唇からは幾分苦しげな息遣いが漏れている。
 フラソツは、何だか見てはいけないものを見てしまったような気がして、横たわるアノレ
ベールから目を反らした。
 だが、その視線もやがて、再びアノレベールの寝姿に注がれる。
 意を決したように、フラソツは天蓋の内に滑り込んだ。アノレベールの額に汗が滲んでいる
のを見ると、彼はポケットからハンカチを取り出して、それで汗を押さえるように拭って
やった。そうしてから、ベッドの上に身を屈めて、熱を計るようにアノレベールの額に自分の
額を乗せた。──かなり高い熱が出ているようだ。

 額を離して、友の顔を近くから眺める。
 愛しいアノレベール。この手で守ってきた、大切な人。
 皮膚の上に影を落としている長い睫毛や閉じられた瞼の円やかな曲線、すっと通った
鼻筋の上を、まるで愛撫するかのようにフラソツの視線は動いていった。
 そして、更に視線を下げていき、熟した果実を思わせる赤い唇に目を留めると、甘い蜜を
求めるようにフラソツはアノレベールの唇に自らの唇を重ねた。
 二度、三度と、柔らかく吸い上げて、高熱でかさついた粘膜に潤いを与える。
 蕩けそうな唇の感触に、フラソツは夢中になった。
(親友が眠っている隙に、何てことを!)
 だが、内から聞こえてきた声に瞬時に理性が本来の働きを取り戻し、はっと我に返った
フラソツは慌てて身を引き剥がそうとした。
 その時、眠りの世界の住人だったはずのアノレベールの目が、ぱっと開いた。

「……フラソツ……?」

 ふわふわと視線の定まらないアノレベールの瞳が親友の姿を捉え、掠れた声がもう一度
フラソツの名を呼んだ。
「アノレ……」
「フラソツ──今、何をしてた?」
「!!」
 気付かれた。
 焦ったフラソツはその場を取り繕おうとしたが、謝るよりも先に、刺々しい言葉が彼の口を
割って出ていた。
「昨日…、伯爵の所へ行ったんだってな」
「…………行ったら駄目なのかよ」
「それで、風邪を引いて帰ってきたって訳だ。友達も婚約者も皆、放っぽり出しておいて」
「…………」
 不貞腐れたように、アノレベールは真一文字に口を閉じて答えようとしない。
「伯爵と寝たのか?」
 遠慮を知らないフラソツの物言いに、アノレベールはカッとなって彼を思わず睨み付けた。
「そんなことっ、関係ないだろ! 放っておいてくれよ!」
「──『関係ない』?」
 今度はフラソツがアノレベールを睨む番だった。
「関係ないだと? よくそんなことが言えたものだな。俺が今までお前に関係なかった
ことが一度でもあったか? この前の誘拐事件、俺が助けなきゃお前は、今頃カタコンベの
片隅で冷たくなっているところだ!!」
「お前が来てくれなくたって、伯爵が必ず助けに来て下さったはずだ!」
 むきになって言い返したアノレベールの口から伯爵の名が出たことで、フラソツの苛立ちは
更に増した。

「いいかアノレベール。お前が盗賊団に誘拐されたことを伯爵に教えたのは俺だ。
気は進まなかったが……俺はお前を救いたい一心で、あの胡散臭い伯爵の元へ赴き、そして
彼に助けを求めた。伯爵は俺が工面できなかった身代金をすぐさま用意し、盗賊団から
お前を守ってくれた。その点は、俺も感謝している」
 アノレベールはムスッとしたまま、フラソツの言葉に聴き入っている。
「──だが、お前の伯爵への入れ込みようは異常だよ。何故そこまで彼を信用する?
あんな素性の知れない田舎貴族……いや、彼が語った経歴だって地位だって、信用できた
ものじゃない。俺にはお前が、あの人にいいように利用されているだけのような気がして
ならない。そろそろ目を覚ましたらどうだ、アノレベール」
 フラソツの言葉に、アノレベールはキッと視線を上げた。
「そうやって…っ、いつまでも子供扱いするなよな! 俺はお前の物じゃない! いちいち
指図したりするのはやめてくれないか!!」
「──なら、お前はあの伯爵の物だって言うんだな」
 表情をなくしたフラソツは、低く冷たい声色でそう言った。急激に周囲の気温が下がった
ようで、アノレベールは心底ぞっとした。
「お前は、あの伯爵の言うことには素直に従うんだから。……そういうことだろう?」
「フラソツ……?」
 アノレベールが恐る恐る名を呼ぶと、それを合図としてフラソツは彼の唇を無理矢理奪った。
「ん…っ…………ぁ…やめろ……っ!」
 重くのし掛かる身体を押し戻し、フラソツの唇から逃れようとするが、上から手首を
押さえ込まれてしまって身動きが取れない。アノレベールは焦った。
「伯爵とは口吻け以上のことをした癖に、昔からお前のことをずっと守ってきた俺が口吻け
たら拒絶するのか」
「フラソツ…っ!」
 アノレベールは豹変した親友の姿に言い知れぬ恐怖を覚えた。熱で霞む思考の片隅で必死に
考えるが、フラソツの行為がどういう意味を持つのか、彼には理解できなかった。

「あの男にお前は渡さない。お前が傷付くのが分かっていながら、みすみすこの手を離す
なんて……ッ」
「フラソツ…もう……止めよう…こんなこと……」
「お前が好きだ、アノレベール。誰よりもお前を愛している」
 嫉妬に狂うフラソツには、アノレベールの嘆願は耳に入らなかった。更に、彼にはモン〒・
クリス卜伯が己の不甲斐なさを嘲笑っているように思えた。
 傍にいて悶々としながら日々を過ごし、他の男に奪われてから焦りを隠そうともせず、
堂々と間抜けな告白する。──告白なんて品の良いものではない。これはアノレベールの意思を
尊重しない、ただの蹂躙行為だ。
 だが、フラソツには自分のしていることを止める理性が残ってはいなかった。突然の告白に
驚いているアノレベールに構わず、彼は目の前の唇に荒々しく口吻けた。
「アノレベール……」
 愛しい者の名を囁いて、その首筋に顔を埋める。体温の高い位置からほのかに立ち上る
柔らかい体臭を鼻腔の奥で感じ、満足げに息を吐いたフラソツは続いてアノレベールの耳朶を
優しく噛み、再び口吻けをしようとしたところで、アノレベールの頬を伝う涙に気付いた。
「あ……」
 茫然自失とするフラソツの脳裏に、アノレベールをまた泣かせてしまったことに対する
罪悪感が閃いた。──彼に、こんな顔をさせたい訳じゃないのに。
 ようやく我に返ったフラソツの耳に、アノレベールのすすり泣くような声が聞こえた。
「お前が…伯爵のことを良く思っていないのは分かってる……でも、だからって、こんな……」
「アノレベール……」
 涙で濡れた瞳を、アノレベールは両の腕で覆った。
「アノレベール、俺は……」
「お前のことは好きだし、何だかんだ言ってもやっぱり一番信頼してる。でも……お前の
気持ちには、応えられそうにない」

 それは、ルナのカーニバルの夜に、不思議な魅力を持ったあの人と出会って心惹かれて
しまったから。

 孤独と悲しみ、その奥に渦巻く激情を湛えた瞳に捕われてしまったアノレベールの心を、
かのモン〒・クリス卜伯はもはや完全に掌握、支配していた。
 アノレベールの告白を聞いたフラソツは、その表情に暗い影を落とした。
「…どうしても、伯爵と会うのを止めるつもりはないんだな?」
「……うん」
「そんなに伯爵のことが好きなのか」
「…………」
 愛を告白された相手に改めてそう問われると、非常に答えづらい。だが、アノレベールの
沈黙はフラソツの問いを肯定したも同然だった。
「……分かった。手荒なことをしてすまなかった。許してくれ」
 フラソツは硬い表情のまま言うと、アノレベールの上から退いた。彼がベッドを降りる時に
スプリングがしなって、横たわるアノレベールの身体を軽く揺すったが、アノレベールは
ぴくりとも動かなかった。
 フラソツは天蓋を掻き分けて外に出ると乱れた格好を整え、アノレベールに背を向けたまま
部屋から立ち去ろうとした。だが、足を止めて肩越しにベッドの方を振り返った。
「──もし、伯爵がこの先お前を利用し、苦しめるようなことがあれば、俺はあの人を
只では済まさない」
 それだけは覚えておいてくれ、と言ってフラソツは足早に出て行った。
 部屋には、静寂だけが残った。
 アノレベールはベッドの上で寝返りを打った。思い出すのは、肌を辿ったフラソツの唇の
感触。熱で火照った身体でも彼の体温は心地良く感じられたが、アノレベールが今欲している
ものは、ひんやりとした冷たさを持ったモン〒・クリス卜伯その人だった。
(伯爵に会いたい)
 アノレベールはぎゅっと目をつぶった。

 フラソツはあの性格だし、同い年のアノレベールよりずっと大人だから、次回会った時には
今まで通り振舞うのだろう。──自身の想いを心の奥底に押し遣って、何ごともなかった
ように見ない振りをする。今までも、そしてこれからも。
 アノレベールは、枕元の懐中時計に手を伸ばして身近に引き寄せた。そして、掌で包み込み
静かに目を閉じた。
 このまま眠ってしまおう。そうすれば、嫌な夢を見ずに済むかもしれない。
 遠くで馬車の車輪と蹄の音、馬のいななく声が聞こえていたが、早くも夢うつつの狭間を
彷徨い始めていたアノレベールには、それすらも夢見の一部であった。
 既に陽が傾き始めた部屋で深い眠りに落ちていたアノレベールは、その後、彼の元を訪れた
者──涙の跡が残る頬をそっと撫でる冷たい手の存在に気付くことはなかった。
 闇よりも暗い漆黒を纏った男は、アノレベールが胸に抱いたままの懐中時計を見て薄い唇を
弧を描くように歪ませ、ひっそりと嗤った。

 もうすぐ、復讐鬼の願いが成就される。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヤッパリヘボンダターヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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フラソツがんばれフラソツ。
もしアニメが原作通りの展開ならまだチャンスはあるはず…ダヨネ?


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