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天国の口、終わりの楽園。

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                    |  映画「天国のロ、終わりの楽円。」ファンフィク。
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  povは蛙演じるフリ才で、旅が終わってからの設定。
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 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 文中の女性名は当時の彼女(別れかけ)の名前
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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奴は出て行く。無論振り返らない。
店を出る、俺の座る真横をガラス越しに通り過ぎる。少しも歩を緩めず。
「勘定を」と言った俺の声が震えていたのにも気づかずに。

決定的な瞬間の選択の連続、それがどれだけあの夏あったことか。
俺は気づかない振りをして、ただ与えられる一瞬に夢中にしがみついていた。
俺たちは彼女を挟んで対称だった。光と影にすらならない、自分自身の映し鏡だ。
互いに欲しあっているのが俺たちこそだと彼女が言い放った瞬間の、あいつの顔を見ておけばよかった。
どの道、彼女を失うかもしれない動揺でそんなことできやしなかったのだけども。

事実、予言はその通りになった、彼女に導かれ、俺はあいつを求めた。
最初に手を伸ばしたのは俺だったか、それともあいつだったのかもわからない。
多分、両方だったんだと思う。俺は止められなかったし、あいつも止めようとはしなかった。
むしろ、心のどこかで安心していた。これ以上の終わりはないとすら思った。
目覚めた時はすべてが夢だと思った、でも、目を覚ましたあいつと目が合った瞬間わかった。
認められっこない。あれが現実で、むしろ今が夢のつづきなんて。

彼女はそこで下りると言った。車から、そしてきっと人生そのものから。
それに気づけないほど俺たちは若く、浅はかで、傲慢なくらい生気に満ち溢れていた。
いつも次があると思っていた、人と別れるときさえ。
彼女のいない車は、その時の俺たちには手に余った。
いるはずの人はなく、あったはずの心地好い関係も壊れ、俺たちは完全に違う方向を向いていた。
すべてがどうしようもなく不調和で、救いがなかった。
そんな中で先に音を上げたのはあいつだった。

「本当にいいのか」
「何が」
「連れて帰らなくて」
「本人が決めたことだろ。それに、あんな旦那の元に帰った所で最悪なだけだ」
「お前…好きだったんじゃないのか」
「はぁ!?お前だって寝ただろ、何言ってんだ」
「それは、おまえがすごい目で彼女を見てたからだよ!今にも死にそうな顔で」

そうかもしれなかった。俺は助けてほしかった、この混乱から。
そしてそれはもちろん彼女の責任じゃない。
俺を救うことだけはあいつにはできない。確実に。
それを知っていたのに、俺は手を伸ばした。
期待なんてするつもりもなかったけど、我慢するにはあまりにも奴との距離は近すぎた。

「違うよ、俺が本当に思ってたのは…」

奴は答えを待っている。あの短気なお坊ちゃまが辛抱強く。
それに気づいた瞬間、俺は笑いたくなった。
こんな瞬間にもかかわらず。むしろ、こんな瞬間だからこそ。

「笑うなよ、どうやら俺が本当に好きなのはお前みたいだ」

笑ってくれればまだ救いもあったのに、奴は黙り込んでしまった。
そのままスピードを落として路肩に車を止める。なんで止めるんだ、と訊こうとした瞬間奴が爆発した。

「1回やったぐらいで、馬鹿にしてんのか!」
「馬鹿になんてしてない」
「昨日の今日で、なんか勘違いしてるんだよおまえは。そうでなかったら絶対」
「違う、嘘じゃない」
「セツリアは」

痛いところを衝かれた。でも、その時の俺には真実がわかっていた。
あいつの顔を見つめた。あいつは怒っているというより、どこか苦しそうだった。
その上、やはり混乱していた。まったく俺みたいに。
俺は思うより先に口が開いていた。

「おまえはどうなんだ」

奴は動かなかった。俺も息を詰めた。
ひょっとしたらそれは至極短い間だったのかもしれない。
灼けるようなメキシコの日差しの中で、俺たちだけが世界から取り残されていた。

「…おまえと一緒だ」

絞り出すようにそう言った奴の顔はやっぱり歪んでいて、
俺はどうしてこんなことになったんだろうという思いでいっぱいだった。
こんな顔させたくはなかったのに。肩を抱くと、奴は震えていた。
そうだ、俺らは怖かった、本当の感情と向き合うことが。
誰もそれは助けられない、自分で解決すべきものだ。
そして俺たちは同じように弱く、自分たちをコントロールできないことも知っていた。
知りながらここへ至ったのだ。どうしようもなかった。

「昨日、これが本物だって気づいたんだ…」

素面でも肌に触れる手が震えてしかたない。異様に緊張している。
俺たちは、自分たちで逃げ道を潰してしまった。
俺たちは正気で、今度こそ、2人だけで確かめようとしている。
これが現実だ。
汗でべたつくし、誰かに見られそうな上、絶望的なくらい2人とも不器用なのに、どうしても止められない。
終わりにふさわしい始まりだった。

そして、あれから季節はすぎて、奇跡は起こらなかった。
彼女は死に、俺たちの道は本来にふさわしく、永遠に分かたれた。そしてもう2度と交わることはない。
それでも俺は夢に見る、あのときの親友の素振り、すべてを知っていると思った次の瞬間にそれを裏切られる思いを。
だから俺はもう追いかけない。お互い生きて、生き残る。それが俺にできることだ。

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 | | □ STOP.       | |
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