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試練:新訳

試練:新訳の学者と医者の会話から。1/2
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「もう屍人にもあんたにも懲り懲りだ。」
目の前の男は怪訝な顔をする。それもその筈だ、彼には日本語が通じない。
日本語も喋れない癖に、この石油危機のご時勢で呪われた村に観光とは
何て呑気な奴なんだろう。全く、厄介なお荷物を背負い込んだものだ。
こんなにトロくて鈍い奴がいたら、ますます死に難くなっちまう。
俺は勘付かれない様に心の中で悪態を吐いた。

『お疲れのようだ……少しお休みになられた方が良いですね』
『いや…』『しかし息も荒い、熱が有るかもしれません。』
それは元からだ、と口に出す前に彼は予告無しに近づき、熱を測ろうと額に手をやった。
いきなりの事に心臓が跳ね上がる。至近距離で彼を見るのは初めてだ。
彼の蟲惑的な美貌は薄暗い照明に良く映えていた。
彫像の様な整った顔立ちとアジア系特有のきめ細やかな肌、
その顔が快楽に喜び、また苦しみ歪んだりする時も有るのだろうか、
このすべらかで冷たい皮膚の下に、私達と同じ暖かい血が通っているのだろうか、
―学者の潜在的本能かも知れないが、私は徐にそれを暴いてみたいと思った。
『熱は無いみたいですが…ん?私の顔に何か付いていますか。』
『いや』
私は慌てて視線を逸らす、変に思われていなければ良いが…
そして彼は、無理はしないほうが良いと言い元の場所に戻ってしまった。
…"しまった"?これでは彼が離れた事を惜しんでいるみたいじゃないか!
同性愛者じゃ有るまいし、こんな事を考えるなんて常軌を逸している。
一応私は妻子持ち(2ヶ月前に離婚)のダディだ…きっと悪い夢でも見てるのさ。
別の話題にでも集中すればこの悪い夢は覚めるに違いない。

『そういえば、君の後ろに飾ってある絵はどういう絵なんだい?』
『これは昔から飾ってあったので私にも…近くで見ても良いですよ。』
『ありがとう』
私は席を立ち、あの奇妙な絵画に近づくと、運とタイミングが悪いのか、
連続のくしゃみが始まってしまった。バランスを失った私はよろけて
椅子の足に引っかかり、倒れこんだ拍子に体を打ってしまった。
『くそっ!相変わらず運だけは悪い…』
『大丈夫ですか。』『ああ、すまない。大丈…!!』
全身の血が逆流する。
すぐ下で彼が私を見上げていたのだ、どうやら彼の椅子の上に倒れこんだらしい。
憎らしくなる程の無表情で彼は、緊張の余り硬直してしまった私を冷ややかに見ていた。
『さっきから動きませんが、ぎっくり腰ですか?』『いや…まさか!まだ37だぞ。はは…』
『ならその重い体を退けてくれ。』
皮肉めいた突っ込みと冷たい視線に焦って、返す言葉を見つけられない。
怪しい男と思われたろうか…彼は不機嫌そうな表情で何やら(日本語で)呟くと、
いつまでも戻らない私を嗜める様に、私の体を押し上げようとしていた。

何故か、私はこの感覚に覚えが有った。この村へ来たのは初めての筈なのに、
遠い昔からこの男と、村で起きた一連の現象を知っていた様な気がするのだ。
黒電話のベルも鳴る気がしていた。が、鳴る筈のベルは鳴らなかった。
―何故私は電話のベルが鳴る事を確信していたんだ?
この時の彼は、ベルが鳴らなかった事を深く考えようとはしなかった。

しかし、彼の知らない所で"輪"が一定で変化している事は確かだ。
そして"輪"の存続が自身に委ねられている事を、彼はまだ知らない。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
初投稿です。オチは皆さんの妄想に任せます。


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