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忍たま乱太郎 鉢屋×潮江

布教させていただきます。
日本ひきこもり協会にて放送中の忍びアニメより
鉢屋×潮江です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「それで、食満の奴がな、」

 苛々する。

「立花はそういう奴なんだよ」

 苛々する。
 この極端に鈍感な男は、滅多にない二人きりの時間でも、同学年の、俺からすれば
先輩に当たる奴らの話ばかりする。それも、笑って。時々わざとやっているのではな
いかと邪推することもあるのだが、この鈍感男にそんな知恵があるようにも思えない。
 それでも。我ながら本当に女々しいとは思うのだが。認めたくないなりに。狭量だ
と分かってはいても。そもそも、この超鈍感男が他の男を好くことはないと、自負し
ているのに。少しばかりとはいえ嫉妬に近い感情を向けている相手の名前を、この男
が口にするというのは、何というか。

 だからその、つまり。悔しいのだ。

「おい、聞いてるのか?」
「………う、わ!」

 醜い感情を持て余してぼんやりしていたところに、突然男の顔が至近距離で現れる。
怪訝そうな顔が不機嫌そうな顔になり、自分が後退ったことで離れていく。

「……聞いてますよ」
「………」

 返答の代わりに、男の眉がぴくりと上がる。あぁ、これは怒りだす直前の顔だ。そ
う考えると、また苛々した。
 何でアンタが苛つくんだよ。怒りたいのは、こっちの方だっていうのに。

「…なぁ、」

 重い声が、やけに響く。
 嫌な空気だ。せっかく。本当に久しぶりに、二人っきりになれたっていうのに。

「……止めましょうよ」
「…いや。後に回しても、仕方ないことだし、な」

 制止を聞くような男だとは思ったこともなかったが、この男にしては本当に珍しく、
言いづらそうに言葉を濁すところを見て、余計不安になった。別れ話でもはじめるん
じゃないだろうな、と。考えて、それだけで鼻の奥がツンとする。中々話し出そうと
しない男を見ていると、頭の中が落ち着かなくて、嫌な想像ばかりして。
 苛々しているのか、悲しいのか。それともそのどちらでもないのか。わからなくな
った頃にようやく、鈍感男は口を開いた。

「…その顔、止めろ」
「………は?」

 ぼそりと。低い声で告げられた言葉は、予想すらしていなかったものだった。

 開いた口が塞がらないという表現そのままに、間抜けに口が開く。何度反芻しても
言葉の意味が理解できず、結局間抜けな顔のまま聞き返すはめになった。

「顔って何、どの顔?」
「……不破の顔。腹立つから、止めろ」
「はぁ?」
「だから、……俺といる時ぐらいは、その顔じゃなくても構わんだろうが!」

 予想外、再び。さっきのそれを越える予想外っぷりに、今度こそ頭の中が凍り付い
て、役に立たなくなる。

「は、何、それ」

 ようやく絞り出せた言葉に、赤くなっていた鈍感男の顔が一瞬で不機嫌そうなもの
になる。視界から俺を締め出すように向こうを向いてしまった男の背中を見ながら、
情けなくも真っ赤になった顔を持て余して。俺は二言目にこいつにかける言葉と、顔
を選ぶことにした。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


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