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地に堕ちた果実

映画スレ14の441です。
昔あったダ・○ィンチ・コー○スレで見かけた数レスが、
頭に焼きついて離れなくなるくらい萌えたので作品化したものです。
司教様のあまりのヘタレっぷりに笑えますが、どうぞ暫しの間おつきあい下さい。

「天使は月の下に眠る」「シラスの法悦」とは別次元です。

小説&映画 ダ・○ィンチ・コー○
シラス輪姦@オビエド

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地に堕ちた果実

Aringarosa

 白刃が閃き、シラスの法衣を縦一直線に切り裂いた。男の手が法衣を左右に引き裂き、シラスの真っ白な肌を露にした。
 男はじっくりとその肌を鑑賞し、息を弾ませながら言う。
 「相変わらず色っぽいな。また会えて嬉しいよ、エスペクトロ」
 そして尚もナイフを振るって、シラスの体を覆っている残りの布切れを取り除いた。最後に腰布が剥ぎ取られると、シラスの身に着けているものは太腿に巻かれたシリス一つになった。
 男はナイフの切っ先で、挨拶でもするようにシラスの乳首を軽くつついた。「あ・・・・」シラスがぴくんと体を震わせ、羞恥に顔を赤らめる。
 男は身を屈め、シラスの白い髪を掻き上げた。片頬に触れてこう囁く。
 「アンドラじゃ楽しかったな。随分と世話になったっけ。今日もまた、いい思いさせてくれよ」
 シラスは寝台の上で仰向けにされ、カーテンの切れ端で両手首を枕元の柵に結わえつけられている。拘束され、裸にされても、その美しい青い目には反抗的な光が煌めいている。今にも噛みつきそうな顔で、男をきっと睨みつけた。
 「おっと、妙な真似はするなよ。さもないと、おまえの大好きな神父さまとやらの喉を掻っ切るぜ」
 私はソファの上で体の自由を奪われ、為す術もなく見守っている。もう一人の男が持っているナイフの刃が首筋に押し当てられる。冷たい。
 シラスは悲しげな瞳でこちらを見遣り、私と目が合うとすぐに視線を逸らした。受難に甘んじる決意を固めた表情で、息をつき、上を向いて目を閉じる。
 その諦念に満ちた静かな態度は、過去、彼が何度もこの苦痛と屈辱に耐え抜いてきたことを思い出させるものだった。多くの人から愛され、庇護され、ぬくぬくと生きてきた私などが想像もできない凄絶な経験を、彼は積んできたのだ。
 「そうそう。昔みたく、じっとして大人しくしてりゃいいんだよ、かわい子ちゃん・・・・」
 男が我が物顔にシラスを抱き竦め、その唇を乱暴に奪うのを、無力な私はただじっと見つめていた。

 最初は、またしても賽銭泥棒が入ったのだと思った。
 いや、確かにそれには違いなかった。しかし、ただの賊ではなかったのだ。
 まさか彼らが、シラスと同じく地震で脱獄してきたアンドラの囚人たちだったとは。三人の男たちは、シラスがいるのを見て驚いた。そして、世にもおぞましく、禍々しいことを思いついたのだ。
 「やめてくれ!それだけは・・・・」
 私を人質に取られ、二人がかりで寝台に組み敷かれながら、シラスは叫んだ。法衣の裾が乱れ、痛々しいほど白い足が剥き出しになる。
 「つれねえこと言うなよ。あんなにかわいがってやったじゃねえか、エスペクトロ」
 男は淫靡に笑いながら、シラスの頭を枕に押しつけた。シラスはその手を撥ね除け、男を振り仰いで毅然と言い返した。
 「私はもう昔の私じゃない。神父さまからシラスという名前を付けて頂いたんだ。幽霊(エスペクトロ)とは呼ばないでくれ」
 「何だい、お高くとまりやがって」
 男はナイフの刃を抜き、その切っ先をシラスの頬から顎、喉にかけてゆっくりと滑らせた。
 「だったら俺たちが思い出させてやるし、そこの神父さまにも教えてやるよ。おまえがどんなに淫乱な女かってことをな」
 彼らが思いついたこと――。それは、曾て獄中で毎晩のように繰り広げられた、シラスを犠牲の子羊とする性の狂宴を、あろうことか、この神の家で――司祭たる私の目の前で、再現してみせることだった。

 「神父さま、お願いです!目を瞑っていて下さい!」
 囚人の体の下で、裸のシラスが叫ぶ。囚人が身を起こし、その頬を張る。
 「余計なこと言うんじゃねえよ。いいか、今度つまんねえこと喋ったら、奴の瞼を切り取るからな」
 私にナイフを突きつけている男が、私の首を親しげに抱く。
 「だめだよぉ、神父さん。ちゃんと見てないと。でないと白い子がもっとひどい目に遭うかもよ。殺されちゃうかも?」
 言われなくても、私は目を閉じることも、顔を背けることもできなかった。
 雪原に咲く、二つの可憐なピンク色の花のようなシラスの乳首。それを、二人の男が片方ずつ、吸ったり舐めたりしている。一人は下半身に手を伸ばし、シラスの性器や陰嚢をまさぐっている。シラスの半開きにした唇から、時折苦しげな呻きや吐息が洩れる。
 シラスに対しても神に対しても大いなる罪を犯していると思いつつ、私は彼の美しくも妖しげな苦悩の表情に、汗に濡れた白い肢体が悶える様に魅せられる。囚人たちに対し、焼けつくような嫉妬を覚えている自分を認めざるを得ない。何の良心の呵責も、自らを律する掟もなく、ただ欲望の赴くままにシラスの若々しい肉体を貪っている――これまでにも何度となくそうしてきた――囚人たちに。
 シラスの願いと相反するとわかっている。私自身、見ているのが苦しくて切なくてたまらない。それなのに、悪魔に首根っこを掴まれたかのように、この残酷にして甘美な余興から片時も目を離すことができないでいる。
 「なあ、神父さん。あんただってちょっとは興奮してるんじゃないの?」
 思いがけず、私を見張っている男が話しかけてきた。内心の動揺を読み取られまいと必死に平静を装ったが、或いは、既に呼吸と脈拍の乱れをこの男に悟られたのかも知れなかった。
 「神父さんはやっぱり、男とも女ともやったことないんだよな?」
 男の質問に、感情の昂りが声に表れないよう、苦労して応じる。
 「答える必要はありません」
 「でも、あんたのシラスか何だか知らないけど、あの白いのは、アンドラにいた頃毎日ああやって俺たちに抱かれてたんだぜ」
 したり顔で言うのを聞くまでもない。私の目には、今寝台の上で二人の男に嬲られるシラスが、名前さえなかった監獄時代の彼と重なって見える。私たちがまだ互いの存在すら知らないでいた頃、彼は夜毎、ああして囚人たちの肉欲の餌食となっていたのだ。こんなにも白く美しく、儚げに生まれついたばかりに。
 「そりゃー気持ちいいなんてもんじゃなかったぜ。ケツの締まり具合は最高だし、フェラは巧いし、それにあいつの体、不思議な質感なんだ。女みたいにすべすべしてて柔らかくってな。まあ、神父さんは女にも触ったことねえだろうからわかんねえだろうけど。あんたの前じゃ清純ぶって坊さんのカッコなんかしてても、あいつは根っからの男娼よ。
 神父さん、ほんとのこと言えよ。あんただって、こうして見たり聞いたりしてたらあいつのこと抱きてえと思うだろ?」
 絶句していること自体、何よりも雄弁な回答になっていることに気づいて絶望する私に、彼は更に言い募る。
 「神様がそう言ったのか知らねえけど、欲望押し殺して生きることに何の意味があるのかわかんねえな、俺には。あんたらの崇めるイエス・キリストだって、絶対エッチしてたに決まってるし」
 私は息も止まるほど驚いた。犯罪者とはいえ、畏れ多くも我らが救い主に対して、そんな罰当たりな妄想を抱く人間がいようとは。そのあまりにも不敬な発言を咎めようとしたが、彼は二人の仲間に向かって大声で呼ばわっていたので、こっちに関心を払ってはいなかった。
 「おい、おまえら。どっちかそろそろ俺と代われよ。さっきから勃ちっぱなしだぜ」

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

結構長い&構成上の特徴があるので、異例ですが三夜に分けさせて下さい。
アク禁にならなければ、また明日と明後日の晩に出て来ます。


無断借用&二年以上も経ってからの間抜けな投下、誠に申し訳ない。
あのネタ書いた姐さんたち、もう忘れてるだろうな・・・・。

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Silas

 私の上で、男の浅黒い体が律動している。彼の腰の動きにつれて、私の体も規則正しく揺れる。男の肩越しに、あの苔むした天井の薄闇が見えるような気がする。アンドラ。我が魂の暗黒の迷宮。忘れようとて忘れ得ぬ、幾千の夜の記憶。
 男が熊のような唸り声を発する。と同時に、生温かい、不快な感触が胎内に広がる。男は動きを止めて私の上に覆い被さり、荒い息をついている。その汗ばんだ肉体の重さも馴染みのものだ。暫くして起き上がり、彼は、寝台の足元に座って待ちかねた様子で自分の性器を握っていたもう一人と交代する。
 蛞蝓のような舌が全身を這いずり回る。耳朶を、首筋を、両の乳首を、無防備に曝け出された腋窩を特に執拗に舐められて、私の体は私の意思とは無関係に反応してしまう。その瞬間、その日装着したままだったシリスが太腿に喰いこむ。
 男はそんなことはお構いなしに、私の陰嚢を揉みしだきながら、充血してわなないている罪深い部分を口に含む。長い間、自らに禁じてきた刺激。イヴを堕落に誘う蛇のように、舌は私に絡みつき、歓楽の淵へ引きずりこもうとする。私は呆気なく蛇の誘惑に屈する。シリスがますます深く肉を抉り、理性を失うほどの快楽と苦痛の両極端に引き裂かれる。仰け反り、絶叫し、夥しく出血しながら夥しく射精する。
 一瞬の恍惚の後、すぐに激しい後悔と自己嫌悪に塗れる。こんな私を見て、神父さまはどうお思いになるだろうか?
 最前まで私を犯していた男が煙草をふかしている。テーブルの上に座り、ニヤニヤ笑ってこっちを眺めている。私が神父さまからスペイン語の読み書きの手ほどきを受け、神の教えを説いて頂いたあのテーブルに。今も時々、一緒に聖書を読んで神の御心について考えたり、お茶を飲んで語らったりしているあのテーブルに。
 その向こうに神父さまがいらっしゃる。ソファの上で縛めを受け、凶刃を突きつけられて。呆然とした表情で私をご覧になっている。眼差しを交わしたのは一瞬だった。またもや私の方から、すぐに目を背けた。
 私の精液で白く汚れた口元を拭い、男が私の上に伸し掛かってくる。両足が大きく開かれる。血の滴る腿の痛みにも耐えつつ、貫通時の苦痛を和らげようと力を抜いた。水に浮かぶ時を思い出すのだ。
 最初の内は毎度の如く、ありったけの力で抵抗した。あまりの激痛に大声で泣き叫び、思いつく限りの罵詈雑言、呪詛の言葉を喚き散らした。そんなことをしてもどうにもならない、寧ろ彼らを喜ばせるだけだとわかってからは、自分の肉体的精神的ダメージを最小限に抑えることに専念するようになった。そして、心も体も何とか壊れずに、生き延びてきた。
 こんなことは何でもない。確かに今日、彼らと再会してしまったことは不運だったが、曾て数えきれないほど経験したことだ。抗わなければ恐らく、いのちまで取ることはすまい。辛抱していればいつかは終わる。いつもの苦行の方がよほど辛いくらいだ。元より不幸や暴力には慣れている身、このくらい平気だ。耐えてみせる・・・・。
 苦痛は善だ。
 そう自分に言い聞かせても、今私のほんの数メートル先で、固唾を呑んで事態を見守っている人の存在を忘れることはできない。私一人なら耐えられた。しかし、神父さまには・・・・神父さまにだけは見られたくなかった。この恥ずかしい、浅ましい姿を。
 これは神父さまとは無縁の世界だ。こんな世界を、いや、こんな世界が存在することすら、神父さまは知ってはならない。こんな気違いじみた光景で、神父さまの気高いお目を穢してはならない。無垢なお心を傷つけてはならない。
 それなのに、私のせいで・・・・。私なんかを拾ったせいで・・・・。
 二人目の男に貫かれた時、ついに、見開いたままの目から涙が一筋流れ出した。彼らの前では決して泣くまいと決めていたのに。

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「なんで教会に男三人も乗れるようなでかいベッドがあるねん」
なんてツッコミはなしです。


地図で見ると、アンドラとオビエドって結構離れてるんですね。
原作だとシラスたんも電車に乗ったりしてますし。
たとえ他に生き残りがいたとしても、出会う確率は極めて低いと思うのですが、
まあいいか。どうせ捏造なんだし。

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Aringarosa

 囚人に犯されながら、シラスの淡い空色の目から零れ落ちる涙が、私にも見えた。どんなに苦しいだろう。どんなに無念だろうか。胸が詰まり、私の鼻の奥も熱くなる。敵を愛することが神の道だとわかっていても、この男たちが憎くてたまらない。八つ裂きにしても足りないくらいだ。
 それ以上に、まるで子兎のように非力な自分が恨めしい。シラスが、私の天使が、ほんの数メートル先で痛めつけられ、辱められているというのに、助けてやることもできない。私が不甲斐ないばかりに、大事なシラスをあんな惨い目に遭わせてしまった。
 必死で神に祈った。今すぐこの男たちを罰し、シラスをこの苦難から救い出して下さいと。祈る以外に何もできなかった。
 しかし、いかなる雷光も、彼らを打たなかった。

 長い時間が経った。
 私は生まれて初めて、神を呪った。
 何度となく噛まれ、吸われ、捻り回されて赤く腫れたシラスの乳首に、たっぷりと精液が塗りたくられる。左、そして右と、囚人が指で丹念に擦りこむ。
 「手首の、外してやれよ」
 囚人の一人が言い、もう一人が、シラスの両手を縛っていた布切れをナイフで断ち切った。三人の男に代わる代わる何度も犯され、シラスは既に意識が朦朧としているらしい。乱れたシーツの上にぐったりと横たわったまま、身動きしない。
 ああ、このままシラスが冷たくなってしまったらどうしようか。自殺は大罪だが、そんなことは構わない。私も死のう。
 男がシラスの体を裏返した。白い背中一面に刻まれた赤黒い条痕が彼の目に入る。
 「何だ?さっきから気になってたが、太腿のこの変なのといい、おまえ、やっぱりあの神父をたらしこんだんじゃねえのか?どういうプレイがあの人の好みなんだ?」
 驚いたことに、それまでまるきり無反応だったシラスが俄に顔を上げ、男を睨みつけた。強く、しっかりとした口調でこう言う。
 「貴様たちみたいな変態と一緒にするな!神父さまを侮辱すると許さないぞ!」
 男は唇を歪めた。
 「ほうっ。まだそんな生意気な口を利く元気が残ってたか」
 そう言うと、いきなりシラスの髪を乱暴に掴み、逆手をも使って両頬を打った。シラスはか弱い乙女のように寝台に倒れこんだ。不意打ちに口の中でも切ったのか、唇の端から血が流れている。
 「笑わせるぜ、毎晩俺らや他の奴らにやられてひいひい泣いてた薄汚え淫売が聖職者様とはな!」
 男は再び、シラスの髪を掴んで無理やり引き起こした。涙と精液でしとどに濡れた顔を私の方に向けさせる。
 「おら!清らかで気高い神父さまに本当のおまえをしっかり見てもらえ!」
 私と彼の視線が、初めて正面から絡みあった。血塗れのシリス以外には何も身に着けていない、生まれたままの姿のシラスは、許しを乞うような目で私を見つめ、澄んだ涙をぽろぽろと流し続けた。
 シラス。名前を呼んだつもりだが、声にならなかった。どうしてそんな目をするんだ。謝らなくてはならないのは私の方なのに。手を差し伸べられるものなら差し伸べたかった。駆け寄って抱きしめたかった。私の目からも、堰を切ったように涙が溢れた。
 心を通わせる時間は長くは続かなかった。 
 男はシラスの背中を突き飛ばすようにして四つん這いにさせると、無数の条痕の上に手を掛け、背後から一息に貫いた。シラスの体が電撃を受けたように戦慄する。もう一人の男がシラスの顔の前に膝を突く。彼の頭を抱えこみ、屹立した凶暴な男根で口をこじ開け、そのまま喉の奥まで埋没させる。
 二人の男が律動を開始した。シラスの体が激しく前後に揺れる。寝台が軋る。天使の涙が、汗の雫が、真珠のように顔や体の周りに飛び散る。
 「ああっ、はあっ、いいぜ、エスペクトロ、最高だ!」
 「おおおおっ、イクッ・・・・出るっ・・・・たまんねえよ、エスペクトロ!」
 涙に霞む視界の中で、二人の男が同時に達した。
 私は生まれて初めて、神の存在を疑った。

 「俺たち、これから船で外国に行こうと思ってるんだ。今日、おまえに会えてよかった。おかげでスペインにいい思い出ができたよ」
 「エスペクトロ、じゃない、シラスだっけ。よかったぜ。アンドラでも、ここでもな。もう会うこともねえだろうけど、神父さんと幸せに暮らせよ」
 そう口々に言って、殆ど気を失っているように見えるシラスの体にタオルケットを被せて行ったのは、彼らが気紛れに見せた唯一のやさしさだったのか。
 「元気でな。おまえのことは忘れねえよ。愛してるぜ、シラス」
 囚人の一人はそう言って、シラスの血の気を失った唇にキスして行った。歪みきっているとはいえ、案外彼の本心だったのかも知れない。
 暫くして、何とか自力で拘束を解いた私は、寝台の上に身を起こして裸のまま泣きじゃくるシラスをひしと抱きしめていた。私の愛しい、いたいけな天使を。
 「神父さま、私はここを出て行きます」
 私の腕の中でまだ恐慌を起こして震えながら、彼は思いがけない言葉を口にした。
 「何を言うんだ、シラス」
 驚いて問い返した私を見上げて、彼は叫ぶように言った。
 「本当の私をご覧になったでしょう!?私のせいでこの教会が穢されてしまった。私はもうここにいることはできません。いいえ、元々ここにいてはいけない人間だったのです」
 「やめなさい!」
 両手で彼の湿った顔を挟み、涙をいっぱい溜めた空色の目を覗きこんだ。
 「おまえ一人なら逃げることも、抵抗することもできた。そうしなかったのは私を人質に取られていたせいだ。おまえは私の為に、私を助ける為に、あの苦しみに耐えてくれたのだろう?おまえのその行いは、その心は、十字架に架かられた主イエスと同じものだ」
 シラスは今初めて、そのことに気づいたような顔をした。その目から、また新しい涙がするすると頬を伝い落ちて私の手を濡らす。
 「すまなかった。私の力が足りないばかりに、おまえにそんな思いをさせて」
 目を伏せ、シラスに詫びる。そうとも。仮に彼のせいでこの場が穢されたというのが本当だとすれば、色々な意味で私も同罪だ。寧ろ、彼以上に罪深いのはこの私だ。
 だが、二人で建てたこの教会が真の意味で冒されることは、未来永劫、あり得ない。私たちの心が離れ離れにならない限り。
 シラスは首を振り、私の手におずおずと自分の手を重ねてくる。血のこびりついた唇が普段よりももっと掠れた声で、「よかった、神父さまにお怪我がなくて」と呟くように言った。彼が私の見こんだ通り、優秀な神の僕たるに相応しい、素晴らしい心の持ち主であることを改めて確認して、愛おしさと誇らしさで胸がいっぱいになる。
 「おまえは穢されてなどいない。過去がどうあろうと、あの男たちがおまえに何をしようと、おまえは白く、美しく、清らかだ。天使のように。
 誰にもおまえを穢すことなどできない。おまえは天使なのだから。それが本当のおまえなのだから」
 いいや、主の御使いでさえ、今のシラスの美しさには及ぶまい。傷つき、疲労し、獣欲の白い液に塗れていても。寧ろ、だからこそ、今のシラスは譬えようもなく美しい。
 「神父さま・・・・」
 シラスは口を開き、やっとそれだけを言った。それ以上は嗚咽で言葉にならない。
 もう一度、私の勇敢な、犠牲の精神に満ち溢れた息子を抱きしめた。長いこと、彼の傷だらけの背中をさすり、乱れた髪を撫でてやっていた。
 一緒にこの試練を、シラスの過去を乗り越えて行こう。どんな嵐も、どんな闇夜も私たちを引き裂くことはできない。私たち二人はずっと寄り添い、手に手を取って生きていくのだ。
 やがて、私は言う。
 「さあ、熱いシャワーを浴びておいで。それから傷の手当てをしよう、シラス」

Fin.

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

これと「アリマタヤの薔薇」とは、映画のサントラに入っている曲名からタイトルを取っています。
ちなみに、書いたのはこっちが先です。

レス下さった姐さん方ありがとう。特に>>479嬢、本当に嬉しかったです。


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