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ぼくのわたしの勇者学 豚盾

週刊飛翔 勇/者学 豚盾
無理矢理・首絞め・尻切れ蜻蛉

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 なんだかんだで馴染みつつある部活が終わり、鍵を返しに職員室へ。鍵はゲームに負けた奴が返しに行くから大体まさゆきか俺、でもまぁ冷房のきいた職員室は嫌いじゃない。
「失礼しましたー」
 殆ど人のいない職員室に挨拶をしてドアを出れば、あっという間に汗が流れ出す、これじゃ学校を出るまでに脱水起こして死ぬ。
「あっちー」
 流れる汗を拭おうとした手が真後ろに引かれた、咄嗟に浮かぶのは先に帰った筈の自称勇者、道端で襲われるのも随分慣れて叫び声一つあげる気にならない、引っ張り込まれたのは男子トイレ。
「お疲れ様」
 声を聞いたのと姿を見たのは殆ど同時で、違和感とか以前に軽く思考が飛んだ。そう言えば俺を引いた手はじっとり汗ばんでいたし未だに掴まれている手首にやたらと肉々しい感触が伝わる。
「…………あー豚、お疲れ」
 腕を軽く引いたのも気にしない風でがっしり俺の腕を握っている、豚は変な奴で気持ちは悪いがそんなに悪い奴でもない、でもって俺はなんでその豚にトイレに引っ張り込まれたんだろう。
「何か用?」
 廊下と比べても籠っている分湿気も気温も高いトイレ、学校だから掃除も適当だし臭いしであんまり長居したくない、用事がないなら帰ろうと一瞬豚から目を離した瞬間、思いきり身体を突き飛ばされた。
「いって!!」
 汚いタイルの床に尻餅をついた上壁に目一杯頭を打ち付けた、痛いし汚い、そして豚は未だに手を離さない。

「……どけよ」
 トイレに座っているのも十分に不愉快だけど、豚のボンレスハムみたいな腕の方がずっと気持ち悪い、ふざけてプロレス技をかけてくる鋼野が正常に思えるくらいだ。
「河野はさ……」
「ん?」
「正直……留年して同じクラスとは言え……僕の方が年上な訳であって…やっぱり年上や目上は敬うべきだと考えないと将来的に………」
 半笑いの豚がブツブツと呟く、半分位しか聞き取れないし聞こえている部分もろくな事じゃない。
「わかったから、どけっての」
「……」
 豚はやれやれと無駄なポーズをとってやっと俺の手を解放した、自由になった手首を見れば今迄見た事がないくらい赤い、我ながら不憫だ。つーかこんな異常事態を大しておかしいと思わない事が何より不憫だ、いくらなんでも。
「え」
 俺の腕を離した豚の手が俺の首に張り付いた。汗をかいた豚の手の平と、同じように汗ばんでいる俺の首はピッタリ密着している、ブヨブヨの親指が喉に添えられて下を向いたら息が出来なくなる。下を向かなければ苦しくはない、ただひたすら恐い。
「何……お前」
 気持ち悪い笑い方、足元から冷えて行くような気がした、恐い。
 何をされるんだかわからない、そもそもなんで?豚?鋼野じゃなくて?俺コイツとほとんど話さねーよ。
「河野ってちょっと女顔だよな……ブヒヒ……」
「別に女顔、って事は…………ないな」
 嘘じゃない、まだ男も女も変わんないような年ならいざ知らずこの年になってそんなん言われた事はない。
「ほら、でもなぁ、ブヒ、ブヒヒ」

 でもなんなんだよ。マヨネーズやドレッシングでもかけられて頭からバリバリ食われるんだろうか、それとも会話の流れとしては、もっと酷い、ことをされる、か。俺の首に触れていない手が制服の上から腹を撫でた。

「っかしーな」

 聞き慣れた声がして豚の手が止まった。先に帰った筈のその声がすぐ近く、トイレの数メートル手前辺りで聞こえて怖いだけだったところに少しだけ希望が見えた、トイレに寄るかもしれない、俺に気が付くかもしれない、叫べば声が届く筈。
「じゅーん」
 トイレの目の前で大きく俺の名前を呼ぶ声、『せんせい』なんてらしくない叫び声を上げようとした瞬間に両手で強く首を絞められ、程なく俺は意識を失った。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

最初タイトルなくてすみませんでした。


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