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世の終わりまで

二次元で干物。リバーシブル設定。
罰当たり注意。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

世の終わりまで

 その指が指し示した水瓶の中の水は、瞬時にして、芳醇な葡萄酒に変じたという。
 それと同じ奇跡の指が、今、正に俺を高みに上りつめさせようとしている。
 昂る。昂る。下腹からぐぐぅぅっと歓喜がせり上がって来る。もう少し、主の指に絡みつかれる感覚を楽しんでいたかったが、辛抱しきれず、深い息をついて精を放った。神の力で癒しを為し、悪霊を祓う、その気高い掌に。
 普段はガリラヤ湖のように清らかで涼しげな主の瞳が、今は信じられないほど淫らな情欲の火に燃えている。主はその目で俺の恍惚とした顔を見つめながら、生ミルクに塗れた指を旨そうに舐めた。屁理屈捏ね回すファリサイ派の爺い連中をやりこめ、より高邁な真理について雄弁に語る、その類稀な舌で。
 「おまえのきれいな顔をもっとよく見せてくれ」
 ありとあらゆる者を納得させてしまう深い響きを持つ声で、主が囁く。俺の顔にかかった前髪を、大きな手がそっと払いのける。少しだけ恥ずかしそうな素振りはしてみせるものの、俺には一片の畏れもない。ただ、澄んだ目で主を見返すだけだ。
 骨太ではあるが骨張ったお体に両腕を回し、その胸に頭を凭せかけた。心臓の鼓動に耳を澄ます。
 この人こそ神の子であり、救い主であることを疑ったことはない。だが、神の子といえど、やはり物質世界に生を受けた生身の人間であることに間違いはない。この若々しい肢体には赤い血が巡っている。囚われ、痛めつけられ、大量の血が失われれば、死ぬだろう。
 折しも政情不安定な時世だ。主のように強烈な個性と大きな人望を持つ人物は、幾ら用心してもしすぎるということはない。本当はあまり派手な活動はなさらない方がいいと思うのだが(神殿で暴れるとか)、そのようなことを大人しく聞き入れる方ではあるまい。何があろうと、誰が何と言おうと、この苦しみに満ちた大地を歩き続け、孤独な人々を救い続けるだろう。
 我らの主はそういうお方なのだ。
 そんな俺の思いを知ってか知らずか。主はよく整えられた長い指で、安心させるかのように髪を梳いて下さる。俺の髪は主のお気に入りなのだ。夕暮れの空にただ一時棚引く薄雲の色だ、と愛でて下さる。
 「・・・・先生」
 呟くように呼んだ。「うん?」主は無邪気ささえ感じさせる仕草で小首を傾げ、やさしく俺を見下ろす。
 姿勢を変え、主の逞しい胸の上で両腕を組み、これに顎を載せた。お顔を覗きこむ。
 「俺があなたを神にしてあげます。千年経ち、二千年経っても、何十億という人間があなたの名によって生き、あなたの名によって死ぬでしょう」
 不意の情熱に衝き動かされ、さほど考えもせず、口をついて出た言葉だった。今まで数えきれないほど交わしてきた、他愛ない睦言の一つに過ぎない。
 主は黙っておられた。ただじっと、何やらひどく切なげな眼差しで俺を見つめておられた。
 その時俺は、生まれて初めての、そして短い生涯で最後の預言をしたのかも知れない。

 その日の昼間も、いつもの青空説教に耳を傾けていた。またぞろ暇な祭司や律法学者が妨害をしに来るのではないかと、それとなく見張りながらではあったが。
 集まった群衆に向かって、主は神の御心と魂の自由について、わかりやすく噛み砕いた表現で説き明かしておられた。俺はいつものように群衆の後ろで、腕を組んで木の幹に凭れ、主の言葉を自分なりに解釈しようと努力していた。そうしながら、ついついその前の晩のことを思い出し、あろうことか、下腹部の疼きを覚えていた。
 今彼らにありがたい福音を告げ知らせているその唇が、どんな卑猥で冒涜的な言葉を言うよう、命じたことか。どんなきわどい、恥ずかしい姿態を取るよう、強いたことか。
 今彼らの前に超然と佇んでおられる、慈愛と誠実に満ちた方が、どんな風に俺を四つん這いにさせ、背後から貫き、涙を流して許しを乞うまで責め立てたことか。
 夜だった。いつも夜だった。他の弟子を寄せつけぬ夜の底、火影の揺らめく闇の中で、主は俺を抱き、また、俺に抱かれる。
 絡まりあった二匹の蛇のように、いつ果てるともなく愛しあい、頭の先から爪先までお互いの体液に塗れ、それでも尚飽き足らず、明け方近くまでひたすら求めあった。いつ、どうやって眠りに落ちたかも定かではない。
 俺のこの全身を覆い隠す衣の下には、主の唇がつけた愛のみ印が無数に残っている。居並ぶ男女の内誰一人として、それを知る者はない。最も古く、最も主に近い高弟たちでさえもだ。
 あの獣のような主を知っているのは、俺だけだ。主の閨に呼ばれ、主の褥に招かれる光栄に与かれるのは、俺一人だ。そう思うと、密かな優越感に、知らず頬が緩みそうになる。
 背の高い主の姿はここからでもよく見える。それにしても、あの方は元気だ。溌剌としておられる。俺はさっきから欠伸を噛み殺してばかりいるのに。さすがは神の子か。
 乙女より生まれたあの聖なる方を、最初に誘惑したのは俺だった。星と天使によって誕生を告げられたあの選ばれし方を、俺が狂わせてしまったのだ。
 だが、俺は、あの方を穢してしまったなどとは一度も思ったことがない。
 きれいも汚いも、いいも悪いも、男も女もない。俺はあの方を愛し、あの方も俺を愛した。
 ただそれだけのことだ。

 主の瞳に俺の顔が映る。こうして肌を重ねる時にはいつも、主は俺のことを美しいと褒めちぎって下さる。女たちからもたまにそう言われるが、主は俺などよりも遥かに美しい。
 肩までまっすぐ伸びた、艶やかな茶色の髪に指を絡ませた。
 「先生、俺はあなたを愛しています」
 主は視線を逸らさず、お答えになる。
 「知っている。私もおまえを愛している」
 意地悪く尋ね返した。
 「ペトロよりも?ヨハネよりも?マグダラのマリアよりも?」
 「誰よりも愛している」
 ――あなたの父である、神よりも?
 素早く俺の心を読んだのか。その言葉を封じるかのように、主は俺の髪を掴んで引き寄せ、唇を吸った。問いを諦め、代わりに舌を差し入れて、主の口腔を柔らかく舐め回す。
 ――俺があなたを神にしてあげます。
 主の指が首筋から肩、そして乳首に触れる。甘い声を上げて身を捩り、主の尖った乳首を両手で摘まんだ。指先で擦り、そのまま、舌先で代わる代わるちろちろといたぶる。主は俺のこの行為によく反応される。
 ――千年経ち、二千年経っても、何十億という人間があなたの名によって生き、あなたの名によって死ぬでしょう。
 主の猛り立った部分を掌に包みこみ、やさしく揉み、撫でさする。先端から滴る透明な雫が、俺の指を温かく濡らす。亀頭を軽く咥えながら、俺自身の先走り液と混ぜ合わせ、後ろの秘めやかな部分に丹念に塗りこんだ。
 ――もしもそれが実現するのなら、たとえこの身が、一点の救いの光もない絶望の内に破滅を迎えても構わない。
 主の足を開かせ、一息に押し入った。主の体が跳ね、あの方の洩らすわずかな苦痛の声が、俺の快楽の呻きに掻き消される。
 ――構わない。地獄の最も奥深くにある氷の沼で、永遠に悪魔に貪り喰われても。
 充分に満足するまで埋没させ、主の熱く狭い肉壁に包まれている感触を心ゆくまで味わう。
 ――この世の終わりまで、全ての人間に忌み嫌われ、蔑まれても。
 主の腰を掴む。ありとあらゆる角度から、引き寄せ、突き上げ、叩きつける。頭の奥で金の火花が散る。
 ――たとえこの名が、不吉で不名誉な裏切り者を象徴するものとなったとしても!
 「ああ、ユダ・・・・ユダ・・・・!!」
 主の両手が俺の背中を掻き毟り、爪を喰いこませる。もう何も考えられない。火明かりに照らされた主の肌と、乱れに乱れた敷布しか見えない。泣き喚き俺の名を叫び続ける主の声と、壊れそうに軋る寝台の音しか聞こえない。
 主と繋がっている体の芯が沸騰し、白く融け出し、いつしか身も心も、主と一つになっている。

 あどけない子供のような寝顔を見せて、先に微睡み始めたのは主の方だった。
 大切な大切なその方の、哀しいほど色白の頬に、そっと口づけを落とす。
 やがてあの最後の夜、永訣の時、ゲッセマネの園でそうするように。

 夜だった。

Fin.

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

みんなの聖書 マンガシリーズ①
「新約聖書Ⅰ 救世主(メシア)~人類を救いし者~」
赤髪ピアスのユダ×男前イエス様


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