Top/38-63

ドラゴノーツ -ザ・レゾナンス- ハウリングスター×ライナ

               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < ドラゴンゾの
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ハウリングスター×ライナです
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ~
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < スレも進まないけど投下!
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"

「俺!ライナ!レゾナンス!」
ハウリングスターはライナの部屋に飛び込むなりそう叫んだ。部屋の中央にあるソファに座っていたラ

イナは慣れたように表情を崩すことなく、淹れたばかりの珈琲を啜って窘めるように言う。
「ハウリングスター、この部屋の扉は確かに君なら指紋認証すら無しで入れるよう設定しているけれど

、あまり突飛な行動は慎んだほうがいいと毎回言っているだろう。せめて言葉は明確にしてくれないと

こっちも行動できない。主語述語は当然だけど、できれば助詞も欲しいな」
「ライナ、」
「さっきの言葉は敵が来たからレゾナンスするぞって意味にしか捉えられないけど警音は鳴ってない

よ」
「違うんだって!だから、俺とライナの初レゾナンス時の話だよ!」
「……ハウリングスター、おいで」
ライナはどうも要領を得ないハウリングスターを手を振って傍へ呼ぶ。ソファーがコの形に並べてある

にも関わらず、ハウリングスターは当然のようにライナの隣にどすんと座った。ライナはすっと立ち上

がりカップに珈琲を注ぐ。砂糖一つとミルクを一つ入れ、ハウリングスターの前に差し出した。
「どうぞ」
また元の位置へと座りなおしたライナと淹れてもらった珈琲を見比べ、ハウリングスターは少し拗ねた

ように唇を尖らせつつも大人しく珈琲を口に含む。甘めのそれはハウリングスターの体を温めるように

染み渡った。ハウリングスターは甘党というわけでもなかったが肉体派の彼はブラックのままで飲む

ことを好まない。ライナが用意してくれた珈琲はちゃんとそのことを踏まえていてどこかこそばゆいよう

な感覚をハウリングスターに与えた。
「落ち着いた?」

隆々とした筋肉を惜しげもなく晒した格好で珈琲カップを両手で支えながら飲む姿はどこか可愛らしく、ライナは自分のドラゴン贔屓も中々のものだと一人ごちた。
元々ドラゴンは自分の憧れを投影したものであるからして、贔屓になるのは当然だったがこれは度が過ぎているな、と度々感じることがあるからもう末期である。
ハウリングスターは上目でライナを見たかと思うとそのまま顎を上げ珈琲を飲み干す。宴会じゃないんだけどな、とライナはそれを見ながら思う。カップをソーサーに戻したハウリングスターはライナを窺うように見、謝罪を口にした。
「……悪かった」
「いいよ。それで、どうしたんだい」
「俺とライナの」
「うん」
「レゾナンスの時の」
「うん」
「――映像データ」
ライナはギクリと固まった。しかしそれは一瞬のことであり、誰が見てもその動揺は読み取ることはできないだろう。そう、ハウリングスター以外は。
いついかなる出撃時にも備えられるようにマスターとドラゴンはペアで行動するよう決められている。
しかし男の親友同士が一緒の部屋で生活し行動するわけではないように、ライナとハウリングスターもまた、常に共にいるわけではなかった。
女同士であるアキラとマキナは同じ部屋で生活していたが、それは「見苦しくない」という世間一般の観点によって許されるのであって、
どこからどう見ても成人男性のライナとハウリングスターが同居しているなんてあまりにも寒い冗談だった。
またジークリンデとアマデウスは流石に同じ部屋で生活はしていないだろうが、家族のような関係であり
そもそも自分の部屋で過ごす率の少ないお嬢様であるから殆ど共にいると言っても過言ではないだろう。
ライナの秘密主義傾向からしてもこのペアが一番一緒にいる率が低い。
しかしそれを補って余りある実力がライナの隊長という位置を支えているのも事実。

ハウリングスターはライナの一挙手一投足も見逃さないようにじっと見つめた。ライナはそれに気付かないはずがない。
が、あえてその突き刺さるような視線を無視して「それがどうしたんだ」と返す。
「さっきアキラとマキナに会ったんだんだ。自分たちのレゾナンスデータを一緒に見たんだって話をしてたんで、俺にも見せてって頼んだんだけどな」
「断られたんだろう」
「そうそう」
「当たり前だよハウリングスター。アキラは女性だ。胎児のドラゴンがマスターとなる人間のDNAを把握するためにアキラは裸になる必要がある。
そんなもの、研究者や同性ならともかく君に見せられるはずがない」
「……そう言われた」
「だろう?それにカズキとギオのを見たじゃないか」
「あんなん遠くから撮ったのしか見れてないじゃねーか」
「それも仕方ないだろう、あの場にはアキラもマキナもジークリンデもいたんだ。彼女らにも酷だしカズキにも酷だろう?」
理路整然としたライナの説明にハウリングスターはぐっと詰まる。
「じゃあカズキとギオの、ちゃんとカメラワークを駆使した映像が見たい」と言えば
「カズキの許可を取れ」と変態を見る目つきで言われるだろう。
これ以上カズキとギオのレゾナンスについて語ることは不利と言えた。
と、いうかそもそもカズキとギオのレゾナンスシーンが見たいわけではない。
「俺とライナの」
「断るよ」
「何でだよ!」
「君こそ何で拘るんだ。アキラとマキナが羨ましいか?」
ライナは皮肉のように言う。カーテン越しに入り込む日光が霞みのようにライナの白い右頬を暈した。
影となった左側の目が絢爛と光る。領域を間違えるなと釘を刺すようなそれにハウリングスターは一瞬体を強張らせた。
ライナは肝心なところまで踏み込ませてくれない。隠し事の苦手なハウリングスターに対して、ライナには小さなことから大きなことまで秘密が多すぎた。
理論を完全に武装してハウリングスターの追随を逃れるのに長けていた。いや、ライナならば他の人間からのどんな追従をも逃れることができるだろう。
ハウリングスターはそれが悔しい。
その他大勢と自分が一緒くたにされているその事実が悔しい。
「羨ましい」」

言葉は思っていたよりもずっとすんなりと出た。ライナの目が僅か見開かれ、青色の両眼にハウリングスターが映る。
ハウリングスターはライナのシャツの首元を掴んで引き寄せた。いつも眇められているとこの多いその瞳が自分の顔で埋め尽くされているのを見て少しだけ安心する。
「っ、ハウリングスター」
「羨ましいに決まってんだろ。ライナは俺のマスターだ。ライナのことなら何でも知っておきたいと思うのは俺の我が儘か?違うだろ」
「……ハウリングスター」
ライナは掴まれた首元を外そうとすることもせず、ただハウリングスターを見つめていた。暫くしてそっと目が伏せられる。長い睫毛がそっと白い頬に影を残す。
「何か、言えよ」
「見たいのか」
「へ!?お、おう」
「でも許可しない」
「ええ!?」
じゃあ何なんだよこの流れは、と突っ込むハウリングスターに、ライナはしかし目を合わせることなく「許可はしない」と繰り返した。
「どういうこった、それは……」
ハウリングスターがまたライナに詰め寄ると、ライナの頬が僅かに、ほんの僅かに染まっているような気がした。それを見定めるためにじっと観察していると、それに気付いたライナが渾身の力でハウリングスターを振り解く。
「な、何だよー!」
「この話はこれで終わりだハウリングスター。いいか、僕は許可しない」
ライナは屹然と立り上がり、不満そうな顔でクエスチョンマークを飛ばしているハウリングスターを置いて部屋を出ようと歩を進める。自動扉はライナに反応して硬質な音を立てて開いた。そこに。
「よ!」
「アキラ、マキナ」
「な、ハウリングスターいるか?」
「……いるが」
「なぁ、ハウリングスター!」
「ん、ああ何だ?」
「何だじゃねーよ、お前レゾナンス見たいって言ってたろ」
アキラはずけずけとライナの部屋に入り込み、ソファで呆然としたままのハウリングスターに話しかける。
マキナが「アキラちゃん、人の部屋に勝手に入っちゃだめよ」と嗜めるが「ライナの部屋だし見られて困るもんを置いておくはずないだろ、綺麗だし問題ないって」と取り合わない。
一方ライナはそれどころじゃなかった。嫌な予感が彼を征服していた。もしかしてアキラは――
「持ってきてやったよ、お前のレゾナンス!」

にっこりとアキラが健康的に微笑み、その腕の中にあったパソコンをハウリングスターに渡す。
「バッカだなお前、俺らのデータは流石に見せられないけど自分のデータを見れないはずないだろ。指紋認証になってるぜ、それ」
「本当か!?」
「ああホント……」
「っっ、ハウリングスター!」
ライナは珍しく荒い声でパートナーの名前を呼ぶ。表情にも焦りの感情が滲んでいた。アキラが驚いたようにライナを見た。
「ど、どしたのライナ」
このままでは見せてもらえない。そう野生の勘で感じ取ったハウリングスターはアキラに借りたパソコンを片手でひょいと持ち上げ、リビングとなっているこの部屋から更に奥の部屋へと逃げる。
「ハウリングスター!」
それを追ってライナが奥の部屋へと消える。残されたアキラとマキナはぽかんとそれを見ていた。
「俺のパソコンなんだけど……」
「アキラちゃん、流石にこれ以上殿方の部屋に入り込んでは駄目よ」
「分かってるよ、……でもあんなライナ珍しいな」
「そうね。でも何となく予想付いたわ」
「……?」
「だってアキラちゃん、可愛かったもの」
「はぁ?」
訳が分からないとばかりに顔を崩すアキラの隣でマキナはしっとりと笑み、「後で返しに来てくれるわ」とアキラを促して退出した。
それにこれ以上ここにいたらドラゴノーツ部隊の軋轢を生むことになるわきっと、というのは口には出さなかった。

「ハウリングスター……それをこっちへ寄越すんだ」
「断る!」
ここは譲れないとばかりにハウリングスターも強気で返す。
書斎である部屋は古い紙独特の甘い香りが充満している。殆どの書籍が今やデジタル化されているというのに、ライナはわざわざ本を買って読むことが多かった。
古い学術書はそれこそハウリングスターの読める単語が並ばないほどで何だかライナが自分とは違う世界に住んでいるような気がしてしまう。
ハウリングスターはちっと軽く舌打ちをした。
本を読む人間だとは思っていたが、四方の壁に置かれた本たちはとんでもない量で、その分ハウリングスターの知らないライナがあるのだと誇示されているようだ。
全く、気に喰わない。
「ハウリングスター」
ならこれくらい知ったっていいだろ。

ハウリングスターはじりじりと迫ってくるライナから逃れるように下がる。そして開いている右手で更に奥の扉を開けた。
「っ、ハ……」
ライナの虚をついて扉の向こうへ逃げ、素早く鍵を掛ける。パスワードを勝手に設定しなおしてライナの侵入を塞ぐようにした。ほっとしてよくよく目を部屋に当てれば、そこは寝室だった。
「ハウリングスター、開けろ!」
「開けてみろよ」
ドンドンと叩かれていた扉は静まり、その代わりに向こう側で電子音が聞こえる。
ライナが自分のパソコンを持っていればコードで繋いで認証させパスワードを解除し、簡単に部屋に入れるはずだったが残念ながらライナのパソコンはこの部屋にないことは知っていた。
(ライナは解けるだろうか)
ハウリングスターはゆったりとした大きなベッドに腰掛け、パソコンを置き起動させる。
どうやらセーフモードに設定してあったらしく、立ち上がりは早かった。その上ご丁寧にデータが指紋認証のところで保存してある。
「サンキューアキラ」
至れり尽くせり。右手の人差し指をポンとタッチすれば認証しましたという字が浮かび上がる。動画再生のソフトが認証を受けて動き出した。
「うんうん、カズキと同じこの場所だな」
着物のような服を着ていたライナがそれを脱ぐ。白い服の下はやはり白い肌で、ハウリングスターが同性ながら綺麗だと思った。
暗い部屋。青白い人工光。部屋の中央にあるドラゴンの卵。これが自分だと分かってはいても信じがたいほど生々しい。ライナはこれを見て何か思っただろうか。
恐ろしいと、毒々しいと、思ったのだろうか。
「ハウリングスター!」
「今見てる」
「……!」
忙しなく電子音が聞こえる。やはり解けないのだろうかとハウリングスターはどこか冷静な頭で思った。
ライナだからな。仕方ないか。いや、仕方なく思えないから俺は今これを見てるんだろうが。
そうだライナ、俺はお前にも理解してほしいから小さな謀反を起こしているのだ。
画面の中のライナは長い足でドラゴンへと近付く。現代の科学の進化によって鍛える必要のない足の裏がペタペタと音を立てているのが可愛らしかった。
何となくそんな音はライナに似合わない。
『これが……』
画面の中のライナが喋る。ハウリングスターは次に来る言葉に備え、身を堅くした。
『いや、……君が、僕の』

ハウリングスターは思わず飛び上がり、画面をまじまじと見つめた。画面の中でライナが笑っていた。いつもの飄々とした笑みではなく、思わず感情が零れ出たような――
『パートナーか』
「らいな、」
「っハウリングスター!」
「ライナ!?」
明らかにパソコンからではない声にビクっとして後ろを振り向けば、開け放たれた扉と緑に光るランプ。そして凄惨なオーラを漂わせるマスターが一人。
「今すぐそれを止めろ」
「……ライナ」
「だから、」
「ライナ!」
近付いてきたライナの腕を引き寄せ、ベッドに一緒に倒れ込む。しっぽがあったら千切れそうなほどに振られているに違いないほどの上機嫌で、ハウリングスターはライナを抱きしめた。
「……え、?は?」
ハウリングスターの胸元に頬を付けるような状態で抱きしめられ髪をぐしゃぐしゃに掻き回され、ライナは怒りもどこへやら、毒気を抜かれたような顔で困惑した。
「ライナ、好きだぜ!」
「は、へ!?」
「パスワード、当てたんだな」
「っ!」
瞬間ライナの白い頬に朱が走る。ハウリングスターの腕の中でもがく珍しいライナに更に上機嫌となってハウリングスターが抱きしめる。
その力強い腕はライナの望み投影したもので、振り解けないことは明白だったがそれで大人しく抱かれているほどライナは割り切れなかった。
精一杯の抵抗は児戯にも等しい弱小さだったがそれでも抗戦しつつ毒を吐く。
「僕は君の考えそうなことを入れただけでっ」
「ん!でも俺ちゃんと耳でも聞いたから」
へ、と掻き乱される頭を抑え、ハウリングスターの指先を追えばベッドに座しているアキラのパソコン。さっと、ライナの顔色が変わる。
パスワードを当てたことを純粋に喜ばれ照れていた頬が青く染まる。その変化にハウリングスターは何だ何だとパソコンのほうに顔を向けようとした。
「っ、ハウリングスター!」
その制止も既に遅く、動画は無情にも再生を進める。
「パートナー」というパスワードを当て、画面の中でも言葉にしてくれたライナにハウリングスターがじゃれついている間、パソコン内ではドラゴンの卵の核から出た数本の糸がライナの情報を得ようと蠢いていた。

太い血管のようなそれはマスターとなる相手のDNAから自分の姿となるべきイメージを探し出す。
卵は主に、相手が差し出した腕に血管のような管を数本突き刺して検索を始めるはずだった。
カズキの時もそうだったし、アキラとマキナもそう言っていた。数本で、腕のはず。しかし、何か、多い。
目の良いハウリングスターが見間違えるはずはない。多い。そして目標が明らかに腕だけじゃないような。
『……っん、』
「っわああああああぁっ!」
「へっ」
画面の中の自分の声を誤魔化ためか、はたまた恥ずかしさ故か。
ライナはこれも滅多にないほどの慌て方で画面の前で腕を振りながら大声を上げる。
「ライナ、今の」
「っ!違う、違うんだハウリングスター!」
『ぅ、……く、』
「だっ、え、だって、これ」
「許可しないと言ったはずだ!」
ライナは真っ赤になりながらパソコンを抱きかかえ体全体で画面を隠すが、音までは隠せない。
結果、ハウリングスターの耳にはライナのあられもない声がしっかりと届く。
あられもない声とは言っても無理矢理声を押し殺し殺し殺してそれでも洩れ出た声、と言ったところであったが、逆にそれがライナらしさを際立たせていた。
ポカンとしていたハウリングスターも、ライナの身体を弄るような動きの管とライナの殺した声の雄を擽るような響きに徐々に顔を赤らめる。
「れ、レゾナンスって……あれ?」
「っ!」
頭の回らないハウリングスターの隙を見つけ、ライナはプレイヤー自体を乱暴に閉じた。
動画データまで削除したかったが許可には少々手間がかかる。舌打ちしたい気分だった。まさかこんなことになるとは。
「何かいっぱい…え、何で?」
「……ハウリングスター」
「腹とか脚まで、いや、変なところだけ触ってなかったのが残、違う、幸い…」
「落ち着くんだ」
声と映像が頭の中で反芻される。生唾さえ飲み込めず、ハウリングスターは視線を彷徨わせる。動悸が激しく、ライナの顔を見れなかった。
が、直接目には入れずともライナの白い肌が視界に入る。そう、白い……
白くなかった。ハウリングスターは思わずライナの顔を凝視してしまう。
ライナはやや伏せ目がちに、その白い肌を赤く染めてもごもごと舌の上で言葉を探しているようだった。落ち着けていないのはライナも一緒だった。

「ラ、ライナ」
「珍しい、例、らしい」
訥弁は動揺の証。ライナはこれ以上ないまでに言いにくそうに言葉を紡ぐ。
「波長が合いすぎたのだろうと言うのが結論だった。でないと説明がつかないと……
最初僕らが監視されていたのは実験体だったからだけじゃなくて、そういう意味もあったんだよ」
「つまり、ええと。……俺はライナが好きすぎて、……ライナも俺を好きすぎたってことか?」
「っ!」
ストレートな物言いにライナは更に頬を染め上げる。「合ってる?」と問いかけてくるドラゴンには自分が告白にも似た言葉を発しているという考えは微塵もないのだろう。
さっきから自分だけが振り回されている気がして、ライナはハウリングスターを睨んだ。
「な、何だよ」
「そうだよ。ハウリングスターの言う通りだ。僕が君を好きすぎただけだ」
負けじと言い返したそれが、ハウリングスターにどのような影響を及ぼすか、ライナは理解していなかった。
ぼっと灼熱のごとく燃え上がったその顔は髪の毛と同じくらい鮮やかに染まっている。
「ハウリ、」
「らいなが」
ハウリングスターは顔を固まらせたまま呆然と呟く。
「らいなが!」
顔が動かないだけでなく舌も回らなくなったようだ。衝撃の大きさが伺える。ハウリングスターは呆気に取られるライナの前でロボットのように立ち上がった。
「らいながおれをすきだって!」
ライナからすれば今更な話だ。言葉にしたことこそなかったが、好きでなければ組んでもいないし創造すらしていまい。
だがその言葉こそが重要なのだということをライナは知らなかった。そしてハウリングスターの舞い上がった姿に自分の言葉の重さを自覚し、こちらもまた真っ赤に染まる。
「は、ハウリングスター、」
「ライナ!俺!好きだって!」
「あ、ああ」
何だか冒頭で聞いたような語感に思わずライナは頷く。ハウリングスターは無表情に固定されていた顔を満面の笑みに変え、ライナに詰め寄った。
「俺も、ライナが好きだ!」
そう言うや否や、ハウリングスターはライナに口付ける。表面を触れ合わすだけのそれは児戯にも等しいものであったが、ライナはあまりのことに頭が白く染まる。

目の前に濃い肌色があり、瞑った目の上には長い睫毛が揺れていた。
おそらく数秒のことであったろうそれは永遠のように長く、ライナが目を回すには充分な時間だった。
「ごちそうさま!」
良い返事を残して、ハウリングスターは喜色を零しつつ部屋を去る。ベッドの上、パソコンとライナだけが取り残された。
ライナは白く長い指を唇に添えて、さっき自分の身に何が起こったのかを反芻しようとする、が、頭が働かない。
「な、な、な」
嵐のように現れたドラゴンは嵐をライナの中に置いて帰った。
だけではなく、自分とライナが両思いだと施設中に言いふらし、また別の嵐を巻き起こすのはまた別の話。
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < アニメも漫画も終わったけど
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < やはりゴンゾだったけど
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ~
         | |      /  , |           (・∀・; )、 <好きしょ!なのだ!
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"                 ミスばっかりですみませんでした!


このページのURL:

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP