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バトルもの的な妄想

そろそろ次スレ立てたほうがいいだろうか?

バトルもの的な妄想。間接的に若干グロかも
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 外壁を、雨が打つ音がする。
 どうにも気が晴れないのはそのせいだろうか。雨音は彼の浴びているシャワーよりよほど激しい。
彼は放水を止めて顔を拭った。冷たくないだけ雨よりはましだ。組み手の汗は流れても、出の悪い
シャワーと温い湯は彼の気鬱を払うには至らなかった。
「俺、いつまでここにいるんだろうな」
 身を整えた彼は居間へと戻る。対する男はそっけない。
「ファイトマネーが尽きるか試合でしくじるかして死ぬまでだ。お前、死なないように寝技の対策を
してたんじゃないのか」
「それは…そうだけどよ。何年もやってられるような稼業じゃねえだろ、地下ファイトなんて」
 男は彼を横目で眺め、呆れたように鼻を鳴らした。
「余裕が出てきたらしいな。羨ましいことだ。闇に葬られるはずだった人間が、将来の心配か? 
どうせお前は墓穴から逃げ延びた身なんだろう。心配するなら明日の命にしておけ。それとも、
いまさら堅気に戻りたいとでも?」
「…おまえは、不安になったりしないのか?」
「俺は性根が性根だからな。真っ当に日の下で暮らしても、いつか限界が来ただろうよ。
金を貰ってきれいな体を切り開けるんだ、俺には似合いの生き方だ」
「……そうか」

 彼の口は重い。男は小さく息を吐いた。
「手っ取り早く死にたくなったなら言え。俺が知り合いのムービーメーカーに売り払ってやる。
知人のよしみだ、特別に俺の手で捌いてやろう。世界中の解剖マニアがお前の死体に欲情するぞ」
「オーケイ、間違ってもおまえの前では死なねえ」
 げっそりと鼻白んだ彼をせせら笑って、男は彼に背を向ける。
「わかればいい。組み手を続ける気がないなら、下らんことを呟いてないでとっとと帰れ」
「へいへい」
 椅子から立ち上がった彼は上着をはおり、ドアへと向かう。戸棚の取っ手に掛かっていた傘を
無断で借りるべく手にとって、彼は雨音の激しさを思い出す。傘の一つや二つでは濡れ鼠は
避けられまい。ねぐらに着いたら風邪を引く前に体を拭かなければ。帰ったらとりあえず湯を
沸かそう。屑茶でもないよりはましだ。
「ドクター」
「何だ」
 浴室を使うべくシャツを脱ぐ男は、彼を見向きもしない。
「さっきの悪趣味なジョークについてだけどな。…激励だとしたら礼を言っとく。ありがとよ」
「とっとと帰れ」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

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