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オリジナル 『僕らと坊っちゃん』

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

1985年 ○月×日
坊っちゃんと出会って、今日でちょうど二ヶ月。今日もまた、坊っちゃんと遊んだ。
坊っちゃんは暇さえあれば僕のところにやってきて、そして何時間も僕を離さない。
僕はすごく感じ易くてちょっとの刺激でもヘロヘロになって固まっちゃうのに、
坊っちゃんはいつも僕の敏感な部分にふーふー何度も息を吹きかけるから、くすぐったくて困る。
それに最中も、僕の突起をぐりぐり強く押したり連打したり……嫌ではないけど。
坊っちゃんのお母さんは、僕が坊っちゃんと遊ぶのを快く思わないみたいだ。
でも坊っちゃんは僕のことが大好きだと言ってくれたし、僕も坊ちゃんのことが大好きだから、許してほしい。
僕、坊っちゃんが僕と一緒に遊んでて、すごく楽しそうに笑う顔を見るのがなによりも好きだから。
おやつのポテトチップスの油でベトベトの手で体中触られたって、ちっとも嫌じゃないぐらい。
とにかく、僕と坊っちゃんはとっても仲良し。明日も明後日も、何年経っても、きっと仲良しだ。

1989年 △月○日
坊っちゃんは相変わらず、僕に夢中だ。
出逢ったばかりの頃とは比べものにならないぐらい、プレイの幅も広がった。
当時は専ら大きくなるキノコを食べたり亀の頭を角で何度も刺激したりだったけど、
今じゃ刺激も強いものを求めるようになって、例えばパンツ一丁で松明を拾って村の中を駆け抜けてみたり、
竹槍持って一揆してみたり、犯人がヤスだったり、開始一秒で昇天したり……旅に出たときなんて、
朝になって宿泊先の主人に昨夜はお楽しみでしたね、なんてからかわれたりもした。今じゃいい思い出だ。
飽きる暇も無く広がり続ける、僕と坊っちゃんのプレイスタイル。きっとこの先も、坊っちゃんは僕に夢中だろう。

1990年 □月×日
今日、見慣れない奴がやってきた。自分のことを「スーパー」だといって、僕のことを馬鹿にする。
確かにそいつは、僕よりも多くの色やきれいな映像を坊っちゃんに見せることができる……何より、いい声だ。
だけど僕の方が色が白くてきれいだし、アクセントの赤色もかっこよく映えてる! 坊っちゃんだって、僕の方が──

1991年 ×月○日
坊っちゃんに触れられなくなって、半年が過ぎた。

1992年 △月□日
坊っちゃんの声は、聴こえる。楽しそうな声だ。でも一緒にいるのは僕じゃない。……スーパーだ。

1993年 ○月□日
久し振りに目が覚めた。だけど僕は箱の中にいるらしい。何も見えなかった。
埃が僕の体に積もっているのがわかった。もう少し、寝よう。
起きたら今度こそ、また坊っちゃんと一緒に遊べるかもしれない。

1994年 △月○日
誰かの声で目が覚めた。誰だろう、と思ったら、そこにはスーパーがいた。
僕はスーパーが嫌いだ。僕を馬鹿にしたし、それに、僕から坊っちゃんを奪ったから。
今日だってどうせ、僕を馬鹿にしにきたんだろう。だから僕は、無視してまた寝ることにした。
でも、どうやらスーパーは僕を馬鹿にしにきたわけじゃなかったらしい。
「……今更だけど、ごめんね」スーパーは僕に謝った。何のことだって聞いたら、僕を馬鹿にしたことだって。
何だよ急に、と思ったら、スーパーは初めて会った時の自信満々な様子が嘘みたいにしょぼくれていた。
まるでそう、スーパーが来た後の僕みたいに。
「どうしたんだよ。何かあったのかい?」
「君は寝てたから知らないだろうけど、今日は大晦日。ついこの前が、クリスマスさ」
「? それが何だっていうんだ」
「坊っちゃんの今年のクリスマスプレゼント、新入りだったんだよ」
ボクなんかよりずっとすごい、新入りさ── スーパーはまたしょぼくれた声で言った。

僕は理解した。スーパーは今、本当に、かつての僕と同じなんだってことを。
大好きな坊っちゃんを新入りに奪われて、悲しくて悔しくて寂しくてどうしようもないんだ……
「……大丈夫さスーパー、しばらく寝てれば、時間なんてすぐに経つ」
「え?」
「寝て起きたら、きっとまた坊っちゃんは遊んでくれるよ。”僕ら”と」
「──……そうだね、うん。きっと、そうだね」
「そうさ。だから、一緒に休もう」
僕はしょぼくれたスーパーと一緒に、暗い箱の中で改めて眠ることにした。
見る夢はきっと、同じだ。

200×年 ×月×日
心なしか、目が覚めるまでの間隔がだいぶ長くなってきた。
僕がいてスーパーが加わった箱の中には今、更に新入りが増えている。
彼らもみんな、僕やスーパーと同じ。坊っちゃんのことが大好きで、でももう遊んでもらえなくなった身。
だけど僕らは、坊っちゃんのことが嫌いなわけじゃない。むしろ、今でも大好きで大好きで、たまらない。
だって僕らには、坊っちゃんとの思い出しかないから。坊っちゃんと過ごした、楽しい毎日の記憶しか。

200×年 ○月□日
スーパーの様子がおかしい。ひどくぼんやりして、起きていても寝ているみたいだ。
「しっかりしろよスーパー、そんなんじゃ、坊っちゃんが遊ぼうとしても遊べないぞ」
「うん……そうだ、そうだよね……うん……、……」<BR>
スーパーさん、もしかして病気なんじゃないですか? と、スーパーが言ってた新入り──
今じゃ僕らと同じ箱の住人であるステーションが心配そうに言った。
病気……そうかもしれない。でも、それなら大丈夫なはずだ。
だってほら、坊っちゃんたち人間が病気になった時に治してくれる人がいるみたいに、
確か僕らにも僕ら専門のお医者さんがいるんだ。僕らの場合は”しゅうり”って言うらしいけど。
ほんのちょっと坊っちゃんたちと離れ離れになるけど、すぐに治してくれるって昔、聞いたことがある。
でも、僕の言葉にステーションと、あと更に新入りのロクヨンが表情を曇らせた。
「実は……もう、僕らのお医者さんは、いないみたいなんです」
僕は目の前がますます真っ暗になるのを感じた。スーパーは……声なんか聴こえてないみたいに、虚ろな様子でいた。

200×日 △月×日
スーパーが、何もこたえなくなった。目覚めることも、なくなった。
……僕の方が先輩なんだぞ。なのに、なんでお前が先に……
暗い箱の中、隙間から入り込むほんの少しだけの光に照らされるスーパーは色も剥げてる。
ちらりと見た僕自身の体も、自慢の白い体がすっかり黄ばんで埃まみれだ。
ステーションとロクヨンがめそめそしてたから、泣くなって怒った。

200×日 ○月□日
目が覚めると、眩しいぐらいに明るい電気の下だった。そして、僕の体に、坊っちゃんの手が触れていた。
えっ、坊っちゃん……坊っちゃん、本当に坊っちゃん? ああ、坊っちゃんだ……!
随分と大きくなってるけど、笑った顔は昔のまんまだ。大好きな坊っちゃんだ……!
あ、ちょ、久し振りなのにそんな激しく……あ、つ、強いよ、そん、そんなれん、れんだ……連打らめぇっ
でも、うれ、嬉しい……坊っちゃんになら僕、どんなに激しくされても……
──あれ、急に優しい動きに。坊っちゃん……くすぐったい。そんな撫でられたらくすぐったいよ。
ああでも、嬉しい。どれだけ時間が経ったのかわからないけど、僕はようやくまた、坊っちゃんと会えた。
ねえ坊っちゃん、次は、ステーションとロクヨンと遊んでください。あと、動かないけど── スーパーの頭も撫でてやってください。
僕はもう満足したから、だから……ほら、満足したから、なんだか急に意識が遠のいて──……

200×日 -月-日
気付いたら僕はスーパーと一緒にいた。スーパーはいつのまにかまた、昔みたいな自信満々の元気な様子に戻ってる。
僕が坊っちゃんと久々に遊べたことを羨ましがって拗ねてるみたいだけど。ふふん。どうだ、羨ましいだろ。
でも、見てみなよ、下。坊っちゃんがスーパーの体を大事そうに抱えてる。懐かしんでるみたいだ。
スーパーが、ボクはできるならもう一度、生まれ変って坊っちゃんのところに来たいなあと言った。
僕は、初めてスーパーと意見が一致したなと思って、なんだか少し嬉しくなった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )ムカシノゲームモタノシイヨ


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