F1 No.20と22 『キミハトモダチ』
更新日: 2011-05-03 (火) 12:20:02
※ナマモノ注意 工/フ/ワ/ソ №20と22
同ジャンルの連続投入になってまことに申し訳ない
あんなにテレビに№20が映ってるのがとにかく嬉しかったンダヨ
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
"モ/ナ/コでの一勝は他のグランプリの三勝に値する。"
やった!ボクはあのモ/ナ/コで勝ったんだ!もちろん勝つことは嬉しいけれど、ここでの勝利は特別だ。
ポールは獲れなかったしミスはあったけど、勝てたことは本当に大きい。チームの皆も喜んでくれた。
チームの打ち上げを「疲れたから先に休ませてもらうね」と断ってひとり部屋に戻ってきた時、いつもなら電話を寄越してくれる友達の顔が浮かんだ。
不運なレースアクシデントだった、そうとしか言えない。
レース途中のリタイアなんてこの最上位カテゴリーに来るまでそして来てからも、ボクも彼も今まで何度も経験してる。
彼はこれぐらいでへこたれる程度のドライバーではないはずだ。レース後コメントを出していたし、しっかりインタビューも受けていたようだった。
たださっきパーティー会場で耳にした話が急に気になって仕方なかった。
「ヌーティルが黄色旗中に3台追い越しして、ス/チ/ュ/ワ/ー/ドに呼ばれた」これはプレカンで既に聞いた話だ。
信号やフラッグを見落とすことはボクたちドライバーのミスだ。レース中にペナルティが出ればチームから無線で入ってくる。ドライバーはそれに従うだけだ。
言い訳すればあの天候だったし、話ではレース序盤のイエローだったという話だ。ペナルティは結局出されずにレース後に警告という形で伝えられたらしい。
「じゃあ結局ポイントは獲れなかったわけだ、あのドイツ人は」「まぁ、うちのチームには関係ない話だがな」
そんな意地の悪いことを話していた人もいたようだった。
ポイント圏内での完走をあと数周で失い、さらにそんな話を聞かされた彼はどんな気持ちだったか。ボクは携帯を手にして彼に電話を掛けた。
「…はい、もしもし」「スゥ?ノレイスだけど、もしかしてもう休んでた?」
「ああ、ノレイス…いや、まだ起きてた」声はいつも通りだった。
「そう…あ、あのさ今から部屋行ってもいいかな?」「いいけど…パーティーはどうしたの」
「先に休むって言って抜けてきた」「ふぅん…じゃあなんで僕のところに来るのさ」
いつもなら突っかかってこないのに…
「なんとなくだよ、迷惑だったら行かないよ」ややあってから返事が返ってきた。
「…いいよ迷惑じゃない、来てよ」わかったじゃあ後で、と電話を切ったボクは、手ぶらでは行けないと思い何本かのビールを持って部屋を出た。
ノックして出てきた顔はいつもと同じに見えた、けどよく見ると違った。目が充血してた。
「入ってよ」
ボクより背が高いはずなのに、一回り縮んでしまったようだ。
ボクが持ってきたビールを2人で飲み始めた。
様子を伺いつつ、他愛もないおしゃべりから始めた。彼はいつもと同じように相槌を打って話を聞いてくれた。
話が一段落したあと思い切って聞いてみた。
「リタイアした後泣いてたなんて聞いたけど、落ち着いたの?」
「うん…、Dr.マ/ル/ヤもコ/リ/ンもマ/イ/クも富士子も良い走りだったって誉めてくれたよ…。これまで不甲斐ない結果しか出していなかったから嬉しかった
…だから、だからあのままチェッカー受けたかったんだけど」
重たい溜め息にノレイスが顔を向けると、スゥは両手で顔を覆って下を向いていた。
「ヘアピンでフェノレナンドが肉にぶつかった後、何台かが詰まって混乱してた時だよ。気づくべきだったよ…たとえス/チ/ュ/ワ/ー/ドに言われなくても
あの時にポジションを確かめるべきだった」
おいおい、しっかりしろよ。黙って聞いているつもりだったノレイスは思わず声を上げた。
「どうして過ぎたことをそんなに責めるんだよ、また頑張ったらいいじゃないか!」
肩に回していた手に思わず力が入った。
「だって…僕は…君とは違う、恵まれている君とは」ぼそりと言葉がこぼれた。
顔を上げてこちらを向いたスゥの目はぼんやりとしてただ疲れている、そんな感じだった。ノレイスは目を合わせているのが辛かったが、
逸らしたのはスゥの方だった。ノレイスは名前を呼んで疲れた横顔を向かせた。なにげなく向いたスゥの唇に自分の唇を重ねた。
反射的に体を引いたスゥを逃がさないよう腕に力を入れた。スゥが驚いているのはもちろん分かった。
ノレイスはそれを無視して一旦唇を離し、無言で覆い被さるようにしてスゥの体をソファに押し倒した。
「…ノレ、ノレイス?」びっくりしたスゥはやっと絞り出すように声を出した。
「何す、」「いい?そんなに弱気なことが言いたいなら気の済むまで言ったらいい。ボクが聞いてあげるよ、その代わり今日のことは忘れるんだ、
君には次のレースがある、チームの信頼もある。それはとっても恵まれてることだ。そうでしょ?君にはよーく分かるはずだ」
年下の自分が年上のスゥにこんな風に言うなんて可笑しいな、と思いいつつノレイスは一気にまくし立てた。
しばらくぽかんとしていたが、まっすぐ見つめてくるノレイスにスゥの顔がふっと緩んだ。
ノレイスはまた唇を重ねた。さっきより少し長く。ノレイスは唇を離してスゥの返事を待った。
「わかった、ノレイスの言う通りだよ」弱々しく笑った。
それを見たノレイスはいじわるっぽそうに口元を上げ、「そういえばまだ言ってもらってないんだけど」と唐突に言った。
「えっ…と、何のこと」「もぅ、今日のこと忘れたの?…優勝祝いだよ」ああ、とスゥは一息吐いて「おめでとうノレイス」と言った。
「ありがとうスゥ」ノレイスは笑って返した。
「今日のこと忘れろって言ったのは君じゃないか」「あれ、そうだっけ」
とぼけて答えたノレイスは友達の脇をくすぐった。スゥはやめろと言いつつ、笑いながら体を捻じるだけで抵抗はしない。
ボクなりに彼のことは分かってるし、分かってるつもりだ。
彼はきっと大丈夫だ。今回のことを糧にして彼はきっと良いドライバーになる、ノレイスはそう思った。
友達のボクが思うんだから間違いないよ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
あー書いてて楽しかったw
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