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恐怖神話 クトニャル

くとるー神話の炎の邪神×這い寄る混沌で擬人化です
混沌神の家放火事件の後にこの二人(二柱?)が会話の様なものをしていたらどうなるんだろう、と言うよく分からない妄想です

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「――君、まだ此処に居たの?」

低くも高くも大きくも小さくも無い音が其れの周りの空気を鳴らし、
物が焼ける臭いばかりで満たされたその場所に唯一存在している生き
(ているが如く動く)物へと届いた。(届いたのだろう、恐らく。そ
の生き物には聴覚と言う概念を有するが為に性能として耳と評するの
が似つかわしいだろう何らかの器官がある、と言う前提を信じるなら
ば。)
「ああ、此処に居る」
「まぁ、君が此処に居ようが居まいが、どうでもいいんだけどね。
…例えば、白い影に縛られた玉座の足元だろうと、焼け踏む為にある
樹木の集合体の跡地だろうと、腐臭のする緑蝕の都市の底だろうと。
君が何処に居ようが居まいが、その事実が僕に何かを与える訳でも無
い。――まあ、どうやら、今は此処に居るみたいだけども」
「その様だ、…ならば、お前は?」
「へぇ?…僕が此処に居ては不味いのかな、君は?」

人間らしき姿をした男は、仮に君と僕とが二足歩行を行う哺乳類の一
種であったならば、僕は今君を臆病な生き物だと感じたのだろうね、
と、如何にも人間らしい言葉を破棄出して、必要も無い動作をしなが
ら口を閉じた。(僅かに相手を馬鹿にしているかの様な口調も、わざ
とらしく引き攣らせた唇の皮膚の緩みも、全ては男を見詰めている生
き物の為だけに捻り出された無意味な表現だった。無意味な表現の表
層化だった。)(そして、黒い生き物もまた、喉の奥を灼く熱を孕ん
だ空気の中に在りながら、嘲笑を表す造りの顔を頭部の表面に貼り付
けて、人間の様な男に対して其れを晒し、嗤っている。)

「お前が居て、私が居る。若しくは居ない。――ならば、焼けた住み
処に意味は在るか?」
「きっとその答えは君や僕が居る意味の有無と一緒だよ、…君が此処
に決めた意味も何も無いとするなら、ね。」
肩を竦める、首を傾げる、目を細める。全ての動作に何故を問うのが
焼けた肌色の塊にしか出来ぬと言うならば、その理由は確かに何処か
に在るのだろう。(何せ、黒い生き物は、知る事が可能であった。そ
して、黒い生き物には其れが可能だと言う事実こそが、其れが男には
出来ないと言う嘘の証明に成り得るのだろう。)
「お前に意味を問う事こそ意味が無かったか、――私が行う事を、お
前達は見詰める事しか考えない。若しくは、私を介して解せぬ代わり
に、私が解する事を考える。」
「そうだよ。そうだよ、何せ――何せ、僕や僕や僕達は、君と違って
個を有さないし持っていないし保てもしない。だから、個である君が
必要になるけど、君こそが僕と僕と僕と僕の――」
地は緩やかに燃えていた。踏みにじられた場所に生え揃うのは、植え
られたばかりの赤々とした炎色で、焼かれていたのは黒々とした人影
だった。(燃えていた。燃えている。目を眩ませ四肢を焦がし、肉塊
を嬲ってばかりの赤に包まれ、黒い神は燃えている。)
「――きっと、僕は器用では無いのだろうね。僕がヒトを知っていた
ならば、僕は僕を不器用な性質の何かであると判断するだろう。…ま
あ、君を器用な何かでは無いと考える事もするだろうから、構わない
けどね。」
「――…どの道、お前は私を焼くだろう、…どうせ。其れならば、お
前は、気味が悪いだけの何かであると判断するだろう、…私がお前の
表する意味の内側にあるヒトと言うものを知っていたならば。」
嘲笑(わら)いの表現を男の形に投げ付けたまま、焼かれて行くばか
りの誰かは、自らの顔の輪郭をなぞりながら焼き切って行く男の掌の
温度に、灼かれていた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


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