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専脳 九嶋×破瑠

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

R/D/潜/脳/調/査/室 九嶋×破瑠 と言うより変態九嶋→破瑠。
まだ世界設定がなかなかわからん状況なのでかなり想像+捏造。

 私はこのメ夕リアル・ネットワークのそもそもの開発者であり、現在でもその責任者を務めている。だからその中枢は私の一存で様々な管理がなされている。
 単にメ夕ルに接続するだけならば、ダイブする必要はない。使い易い自分を模した(別に自分の姿そのままでなくとも構わないが)アバターで、まるでリアルワールドのように自らの足で歩き回る事が出来る。
 私は普段の自分の姿のまま、白衣のままでこのメ夕ル内の書庫を散策している。
 ここはオペレーター達には公開されている区画であり、付近にも見慣れたアバター達が書籍状のデータファイルを目視検索したり閲覧したりしていた。私はそんな彼らの中、目的の書架に辿り着き、手を伸ばして1冊の青表紙のファイルを取り出した。
 それを持ったまま、書庫の奥に進んでいく。変哲もない、書架が並ぶ光景。その一角の、一見普通の書架に、まるでファイルを返却するように手にしたファイルを差し込んだ。
 一瞬、空間が歪む。私はそこに体を滑り込ませた。
 膨大なファイルの中に偽装して紛れ込ませたパス、それと私自身の脳波パターン。それを厳密に決められたアドレスに送り込む事でしかマスキングが解除されない。そう言う場所を私は作り上げていた。
 中枢である以上元々のセキュリティは最高レベルであるし、パスやアドレスも定期的に変更している。別個に新規で隠し場所を作るよりも公開スペース内で偽装する方が安全だと私は認識していた。

 泡の壁を突き抜けたようなイメージの向こうには、無骨に鉄板を打ち付けた殺風景な壁を四方に持つ空間がある。その中央にはそれなりの大きさの培養層めいた水槽が設置されていた。これもまた見慣れたいつもの光景だ。但し、私しか見慣れていないはずの隠された光景。
 私はその水槽に向かって足を進め、併設されている階段を昇る。階段はその水面を眺める事が出来る位置まで続いており、私はそこまで昇りつめた。手を伸ばし、私の手が水槽の天井に触れると、光を発し幾何学模様を残しつつ徐々に透明な天井が消失していった。
 まるで水のような透明な液体には、ダイバ-スーツに包まれた男が仰向けに浮かんでいる。私は中空に手をかざすと、掌の上に光球が現れる。その手を下に向け、光球を放った。
 ぼんやりと輝く光球はゆっくりと下に落ちて行き、水面に浮かぶダイバ-に当たる。するとダイバ-は淡く輝き、そしてその光も消えた。
 私は屈み込む。腕を伸ばし、ダイバ-の肩を掴んだ。自分の方に彼の体を引き寄せる。頭部を覆うヘルメットに手を当てると、それも淡い光に包まれて消失していった。
 包み込んでいた物体が消滅した事で、中身が露になる。おもむろにふわりと、黒髪が水面に広がった。後ろで纏められているが男にしては長い髪を、私は一房摘み上げる。水に濡れたそれを私は指に絡めた。

 人体として持ち合わせている浮力に頼ったまま仰向けに浮かび、顔で言うと耳の辺りまで水に浸かっている男は一向に自らの意思で動く様子を見せない。当たり前だ。私がそう言う設定にしている――擬似意思のプログラムまでは組み込んでいないのだから。
 リアルの彼がダイブしたデータを確認して以来、私はそのデータを元にしてこのアバターを製作している。今回の事件で彼の秘書を務めるホ口ンが提出した報告書データを解析し、今この時点で、更にこのアバターに上書きした訳だ。
 外部の端末からソースコード形式でプログラムするのではなくメ夕ル内で直に作業するのは、これもまた隠匿のためである。
 実在する人物のアバターを当人の許可なく作り上げるのは、あまり趣味が宜しくない行為だからだ。もっとも、そう言う趣味が良くない人間がたくさん居るのがこの世の中だが。
 だから今ここに浮かんでいる彼は、抜け殻に過ぎない。意識を失っているような状態で瞼を伏せ無表情で、水面を漂っている。まるで50年前を思い起こさせる光景だ。
 私は絡めた髪を指から解く。両腕を水面に浮かぶ彼に伸ばした。水の中に手を差し入れ、彼の首の後ろを支えて抱き上げる。体に含んでいた水が一緒に引き上げられ、落ち、ざばんと音を立てて水面で弾ける。力なく両腕が垂れ下がり、水中に浸かったままの指が揺らめいた。
 私は濡れるのも気にせず、彼を水槽から引き摺り揚げようとした。
 ここはメ夕ルであり、ここに存在する彼も私もリアルの人間ではなくアバターなので、その重量や筋力は自在に操作出来る。そのため、リアルではあまり力があるとは言えない私でも、どうにか出来る程度に設定していた。
 それでもあまりにもリアルと違えては現実的質感に欠けてしまうから、その辺りの設定は微妙なものがある。

 ともかくこの私でも、一苦労する程度で彼の全身を引き揚げる事が出来た。水を滴らせている彼の体を段上に横たえる。そして私は片膝を立て、彼の後頭部を支え上げ、膝の上に乗せた。上手い具合に安定させる。
 私は彼の首筋に触れた。人間の体温を保つようには設定しているので、今まで水に冷やされていたものの体には若干の温かみは感じられる。しかし脈拍までは感じられない。そこまでは設定していないからだ。
 ソースコードに存在しないものは、事象として起こり得ない。それがこの、私が作り上げたメ夕ルの絶対原則だ。
 彼の顔を覗き込む。血色は良くはないが死人のような状態ではない。今まで頭を動かされてきた事で口元は半開きになっているが、そこから息が漏れてくるかと言うと、そう言う事はない。前髪から滴った水が彼の頬や唇を濡らし、肌を伝う。
 弾かれたように、私は動いた。勢い良く彼の上体に覆い被さる。片膝で彼の頭を支えた体勢のまま、私は片手で彼の顔を掴んだ。そのまま支え、私は自らの顔を近づけ、そして彼の唇を自分のそれで奪った。
 唇が冷たい。舌先で彼の歯列は容易く押し割る事が出来、そのまま私は侵入する。動かない彼の舌を絡め取り、甘く噛む。それを押しやり口腔内を舐め上げる。
 互いの顔の角度を変えて何度でも味わう。湿った音が私の聴力を支配する。口を吸い上げても彼は反応を返す事もない。それでも私は彼の唇を執拗に貪った。
 彼の頭を支える手に力が入り、そのままに彼の髪を梳り掻き回す。もう片方の手を彷徨わせ、彼の片手に行き着いた。私はその手を取り、指と指を絡ませて組み合わせて重ね合わせる。
 一旦、息をついた。舌を引き抜き、唇を剥がす。微かに唾液が糸を引き、そして途切れた。半開きのままの彼の口元は濡れて光を反射している。ちらちらと覗く舌が怪しく紅く感じられた。

 ぐったりと私に支えられるままで反り上がった喉元のラインが美しい。私はその首筋に、今度は唇を落とした。軽く噛み付き、吸い付く。そして舌先で舐め上げる。そんな事をしても彼は何の反応を返さないと判ってはいる。
 それが厭ならば、そう言うプログラムを作り上げて上乗せすればいい。完全な人格プログラムや一個人の人格のコピーは難しいが、こんな行為に対するだけの反応ならば色々なもので流用出来る――それこそ、違法合法を問わず一般庶民の間で流行っているようなもので。
 しかし、それは「彼」ではない。私にはそれも判っていた。
 只でさえ、今でさえ、現実に生きる彼にとっての冒涜を行っているのだ。これ以上、「彼」でない「彼」を作り上げて自分の欲望の捌け口にするなど、侮辱も良い所だ。
 では今のこの状態は侮辱ではないのかと問われれば、充分に侮辱だろう。私は勝手にラインを引いて、そのぎりぎりの所で踏み止まっているつもりに過ぎない。
 50年だ。50年、ずっと恋焦がれて来たのだ。
 私のせいで彼は事故に遭い、目覚める事はなかった。最初の1年2年はまだいい。それから先は永遠とも等しい時間だった。眠り続ける彼を私は訪問し続けたが、このまま眠ったまま老いて死んでいくのかと覚悟した。
 脳核自体にダメージがあると推測された以上、全身義体化に踏み切っても意味はない。電脳経由で働きかけを行っても目覚める事はなかった。それが50年積み重なって、今がある。
 彼が目覚め、色々あった末にメ夕ルにダイブしてくれた時、どんなに嬉しかったか。それと共に、何を感じたか。義体化してあの頃の容貌を保ったままの私に対し、メ夕ルの彼もまたあの頃の容貌に戻っていた。丁度、ここにあるアバターのように。

 それは、50年前を思い起こさせた。あの時失った彼と私の時間を。50年間思い焦がれた私の感情は、そこで爆発した。ああ、私は彼をそう言う意味で愛しているのだと。
 これは独りよがりの感情だと私は理解していたし、互いの実年齢を考えるとリアルでそれを吐露する気にはなれなかった。
 しかし、これ以上思い焦がれるのは厭だった。だから、あの時から報告書データを流用して彼のアバターを内密に開発し、このような不適切な行為に至っている。
 メ夕ル内で様々なセックスに勤しむ一般庶民に較べたらまだマシか――いや、実在する一個人の幻覚を勝手に犯している時点で逆なのだろうか。
 どちらにせよ、これが私のぎりぎりのラインだ。単なる肉体的な幻のみであり、そこに擬似人格を上乗せしないのは。受動的な人形でしかないのは。
 私は彼を段上に寝かせ、その上に被さっていた。私が彼に手を触れプログラムに干渉すれば、淡い光と共にその箇所を覆っているダイバ-スーツが消失する。
 そうやって私は彼の肌を一部を露にさせていく。そうやって現れた首筋や鎖骨に吸い付き紅い痕を残してやる。
 仮に人格があれば、実在の彼ならば、こうしてやったらどんな表情をするのだろう、どんな声で鳴くのだろうと思う。思うが、妄想に留めておく。そうしないと今の我々では駄目なのだ。
 ――ならば50年前なら許されたのだろうか。互いが男である以上、これもまた、勝手なラインではないだろうか。しかしもう昔には戻れない以上、どうしようもない事だ。

 実年齢は年老いても肉体の年齢から解放されていれば、脳から性欲が失せる事はない。全身義体となれば生殖機能は失われるが、換装した義体の性能によっては快楽目的としてのセックスは可能である。
 リアルでもそうなのだから、ましてやメ夕ル内ではその可能性は何処までも広がる。
 張り詰めた筋肉を均等に纏った体を露にさせ、そのあちこちに痕を残していた。そして私は今、彼の腰を抱き足を抱え上げ、圧し掛かっている。
 自らの腰を動かす事によって突き入れたものを抽送する。そこから伝わる感覚すらリアルだ。セクサロイドとしてのプログラムも導入していないのに、目も眩むような快楽が私を襲い続ける。
 体を私に揺すられるままの彼の顔に手を伸ばし、頬に口付けた。そしてそのまま唇を奪う。丹念に吸い上げ、舌を絡める。口元が唾液で濡れ、漏れて零れてくる。
 その瞬間が来る。私はそれを悟り、体を引き剥がした。ずるりと引き抜かれる感覚すら快楽へと変換される。握り締めた先端から勢い良く白濁がぶちまけられ、彼の顔に飛び散った。

 ここでの全てはデータに過ぎない。
 行為が終わり、私は生身の脳から快感が過ぎ去っていくのを感じていた。どうしようもない寂寥感がその後にやってくる事も事前に判っていたが、だからと言って抑え切れないのが性欲と言うものである。
 溜息ともつかない息を整えつつ、アバターとは言え、私は自らの乱れた衣服を整えた。
 そして私は視線を落とした。自らの欲望の残骸を見やる。白い液体を顔に纏わりつかせたままの彼は、無表情に瞼を伏せていた。後れ毛をうなじに張り付かせ、そこには紅い痕も残されている。陵辱にも程があると思わないでもない。
 私は屈み込み、両腕を彼の肩に置いた。ゆっくりと力を入れ、押し出す。水槽から引き揚げるよりも数倍楽な労力で、彼を水槽の中に落とし込んだ。
 ざぶりと音を立て、水飛沫が若干上がる。白い泡を巻き立てながら、彼の体が水槽の半ばまで沈み込み、そしてまた浮力によって上がってくる。水の動きに揺らめく纏められた長髪がなまめかしく思えるのは、まさかまだ発散しきれていないと言うことなのだろうか?
 ともかく私は再び浮かんできた彼の顔を見やり、手をかざした。光球状のデータを送信し、彼の全身を再びダイバ-スーツで覆う。全ては分厚いスーツに覆われた。行為によるデータの変動はいずれ再生する。次に私がここに接続するまでには。

 水槽の透明な天井も再び構築する。仮に発見されても、現実に存在する人間のアバターを秘密裏に作成していた、それだけだ――と言い逃れ出来る状況にしておく。
 ここに辿り着ける人間は居ないはずだった。
 研究所自体のセキュリティを突破し、その上で私が構築しているセキュリティも突破する――そんなメ夕ルダイバ-がそう何人も居てもらっては、メ夕ルの治安としても困る。
 しかし、これを発見すると一番まずい人間こそが、その可能性を大きく秘めている事に私は気付いている。
 委託ダイバ-だから研究所内のメ夕ルにもある程度の深度まで侵入出来る許可を出しているし、彼の実力自体もメ夕ルが海を模したものである以上、素晴らしいものであるはずだった。
 露見してしまえば、私も覚悟を決め、全て、黒い欲望を彼にぶちまける事が出来るのだろうか?しかしそれはおそらくまだ先の話であり、不可避の話と決まった訳でもない。
 メ夕ル内の秘め事をリアルに持ち込まないようにするのが、メ夕ル利用の鉄則だ。私は落ち着くように溜息をつき髪を掻き上げ、そのままログアウトした。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
九嶋がかなり変態で破瑠本人は全く出せなかったが、後悔はしていない。


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