海外俳優 手×芸
更新日: 2011-05-04 (水) 14:13:28
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| 眼鏡の魔法少年映画・3作目の頃
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ナマモノ注意 人狼教師と囚人の中の人
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| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ネタ古!
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
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薄暗いスタジオをスタッフ達が慌ただしく走り回る中、耳に入ってきた微かな音に違和感を感じた。
「ピアノを弾く場面なんてあったかな…」
ぐるりと見回し、音が発せられたであろう場所を探る。
舞台監督がセットを念入りに確認する脇を通り抜け、スタジオの片隅に向かってゆくと
そこにはコンパクトなグランドピアノと、細長い指で鍵盤をたどだとしく叩く教師の姿が見えた。
「何でこんな所にピアノが?」
鍵盤に向かう必死な背中に声を掛ける。彼は崩れそうになるリズムを保つことに必死なようで
手元を見つめたまま返事をした。
「ああ、これは『叫びの館』に置くつもりだったんだが、監督のお気に召さなかったらしい」
すらりと細長い指先が、少々おぼつかない動きで鍵盤を叩く様を見て思わずニヤついてしまう。
「危なっかしい手つきだな!」
「昔ピアニスト役の為に猛練習したのに…」
やっぱり俺はギター向きだ!と悔しそうに呟いた後、突然何かを思いだしたように振り返った。
「ここにベートーベンがいたじゃないか」
過去に楽聖を演じたのを覚えていてくれたのか…驚く自分に、彼は丁寧な仕草で椅子を譲る。
少し躊躇いながら腰掛け、指が覚えているだろうかと鍵盤を軽く叩いてみる。
しばらくすると滑らかに旋律が流れはじめ、忘れず身体に染みついていた感覚に少しほっとした。
「これは…君がピアノに耳を当てて弾いていた曲?」
「その通り。『月光』だ」
「囚人服着たベートーベンなんてなかなか見られるものじゃないね」
「珍しいだろう?」
手を止めずに教師を見上げた。ボロボロの囚人服をまとった男がピアノを奏でるという
アンバランスさを面白がっているようで、つられて自分も声を上げて笑う。
切ない曲調の『月光』が次第に浮かれたテンポに変わり、さらに加速した。
「こんな弾き方をしたらベートーベンファンに叱られてしまうな。
これはここだけの、君だけに贈る秘密の演奏だ」
唐突な贈り物にぽかんとした教師の表情が、次第に嬉しさをにじませたものになった。
我にかえり、何を言っているのかと少し照れくさくなり鍵盤に向き直ると、
背後で静かに気配が動くのを感じた。
笑い声まじりの「ありがとう」の言葉と、あたたかな吐息が耳をかすめる。
いや、吐息だけではない。彼の唇の柔らかさを感じ、じわりと体温が上がる。
こうした意味深な接触が自分の思い過ごしではない…そう確信を持ったのは最近の事だ。
少し前まで同じ英国俳優の知り合い程度だったのに、撮影で学生時代からの友人を演じるうち
彼とは長い時を共に過ごしてきたような錯覚に捕らわれた。
職業柄よくある事だったが、何となくこの不思議な感覚について、撮影の合間の話のネタにしてみた。
「俳優業を長年続けていても、未だに現実とフィクションを区別しきれないんだ」
役に没頭しすぎた為に現実の世界で何度失敗したか。
その時を思い出すと、君に感じる友情は「役柄」の上での事だと理性はブレーキをかけてくる。
けれどその理性に猛烈に反抗する自分がいるんだ、と。
すると彼ははあっさりと答えた。
「友情はささいなきっかけから始まるものだ。俺達の場合はちょっと特殊なケースなだけさ。
しかも何年も積み重ねて得られる信頼や思いやりを、短いけれど濃縮された時間で得られるんだ。
普通じゃなかなか体験できないと思わないか?」
何をそんなに悩むんだ、君らしくない!と笑い、ぎゅうっと抱きしめられた。
あまりに強い力で息苦しくなる。必死にもがいた事で少し腕が緩められ
無茶苦茶するなと叱るつもりで見上げると、彼の大きな鼻と優しく細められた瞳が間近に迫っていた。
「すまなかった。加減が分からずに力を入れてしまって…大丈夫かい?」
悪戯っぽく笑う彼の青い瞳が、一瞬いつもと違う強い揺らめきを見せる。
その光に絡め取られて、拘束は解かれたはずなのに動けなくなってしまった。
…何故これほどまで強烈な引力を感じてしまうのだろう。
「Gaz、どうかした?」
ピアノを奏でる手をすっかり止め、物思いに耽っていたようだ。教師の独特な声で現実に連れ戻された。
「ああ…すまない…少し考えごとを…」
本人を目の前にして、さすがに「君の事を考えていたよ」等と恥ずかしいセリフを吐けず口ごもる。
「ところで」
しどもどと訳の分からない言い訳をスッパリ遮った彼は、いつか見た悪戯っぽい笑みを浮かべていた。
「特別演奏はとても嬉しかったけれど…『月光』を人狼の俺に捧げて大丈夫かい?」
問いかけの内容をすぐには理解できず、思わず首を傾げる。そんな自分の反応を見た教師は更に笑みを深くし、
そっと耳元に口を寄せて囁いた。
「月の光で変身した狼に、喰われても構わないと考えていいのかな」
優しく耳朶を囓られた。
さっき年若い主役陣に「共演者はやめとけよ」と冗談まじりでアドバイスしたばかりだった。
特に、自分を尊敬している役者だと嬉しい事を言ってくれた眼鏡の少年の手前、
この展開は非常によろしくない………さて、困ったものだ…
純真な彼らの瞳を思い浮かべ、心の中で苦笑した。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 囚人が日本に来るかも!と
| | | | ピッ (´∀` ) 興奮したら抑えきれなくてつい…
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