オカ板 ナナ藤
更新日: 2011-05-04 (水) 12:36:02
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
もういいのだと、言う声がしている。
寝乱れたシーツはその儘に、藤はずり落ちた上掛けを羽織り直す。
だらだらと、微睡み続けて居たかった。
休日の朝、入浴の為主が消えたこの部屋では物音一つしない。
喧騒は遠く、自分の体は倦み疲れている。
明け方まで留め続けた意識は泥のような眠りを欲していた。
窓辺に架けられた学生服が部屋に影を落とす。
長く着られていないそれはこの部屋の主人の物だ。
彼は病気を理由に長く学校を休んでいる。
だから藤は見舞いと称してこの部屋に上がり込むのだ。
そして昨日の様に無言の儘肌を合わせる。
行為には慣れない、何時まで経っても。
夜に蠢くものを恐れ続ける心のように。
自分を抱く彼が怖ろしくて仕方が無いのだ。
けれど、こうやって又のこのこと近付いてしまう。
初めての夜、血走った目をしてナナシは「逃げろ」と藤に告げた。
逃がしたくない、逃がさないだから逃げろと。
しかしその苦悩にこそ藤は引き留められた。
骨ばった手が自分を寝台へと縫い付けたのは次の瞬間だった。
その日からこの行為を繰り返し続けている。
全く幸福な交わりではなかった。
病んだ者特有の熱を孕んだ眼差しをしたナナシは見知らぬ男のように藤の体を弄った。
体を合わせれば違和感が容赦なく恐怖として肌を震えさせた。
結局の所自分はノーマルで、体より精神が同性を受け入れなかったのだ。
けれどそれでも藤はナナシを求めた。
抱かれた嫌悪感が薄れた頃合いを見計らっては彼の家を訪れた。
日に日に不健康さを増していく級友に、教室で笑い合えていた頃の面影はない。
それでもナナシはナナシで。
彼を救う手立てを持たない藤は、それ以上を望んではいけなかった。
そしてその度に打ちのめされる藤を彼は貪欲に求めた。
快楽と嫌悪に振り回される中で藤はボロボロと涙を零し続けた。
それに対してナナシは何も言わなかった。
そして何度目かの朝、藤は唐突に気付く。
自分は彼を愛している訳では無い。
ただ、居なくならないで欲しかった。
藤は彼に纏わる忌まわしいもの全てを呪った。
避けられない別離が鼻先まで来ていることに気がついてしまった。
それだけを望んでいないのに抗いようも無く恐怖は実感を伴う。
ナナシが完全に奪われてしまうその時。
自分は自分の儘でその後を居れるだろうか。
未だ訪れぬ己の中の虚ろに藤は想像を馳せる。
それはとても忌まわしい未来だった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
最新作を読んで萌えの儘書きました。
もう一回読もう…。
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