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糸色望 木野×久藤

さよなら糸色望先生より、負けず嫌い図書委員×本好き。
クド受というマイナーにどはまりした。サイトあるかな…

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )初携帯からで、投下下手だったらゴメソ!

 一体どんな言葉を尽くしたら、

「上に乗れよ」
「え?」
「上に乗って動けって言ってんの」

 僕たちのこの思いは交わるのだろう。

――no way to say.

「、っん」

 息苦しい体で無理矢理体勢を入れ替えた。しかし彼の望む形を果たして、待っていたのは思いがけないほどの快感で。

「重くない?」
「別に、ヘーキ。…どうよ?」
「…ゾクゾクする」

 いつもの箇所に自然と彼の当たる感触。もっと、と思うまでもなく腰を振っていた。

「っぁ、あぁっ、あっ」
「…っ…久藤」

 どうしよう、声が。

 奥にスイッチでもあるように、リズミカルに口から飛び出すのを抑えられない。
 予想外なことはしたくないのに。木野が思っていた「久藤准」の枠から出たくなどないのに、全く。

「やぁ、あ、木野、きのっ」

 気持ちいい。キモチイイよ、木野。木野――
 こうすれば木野ももっと喜んでくれるだろうか?
 これで木野の言葉通りになっているだろうか。
 語りかけたいことも、問いかけたいことも沢山あるのに、喉は甲高い嬌声で埋まってしまっている。

「ぁん、あっあ」
「っ…そんな動くな」

 不意に腰を掴んで止められ、理由がわからず不安のこもった目をうっかり下に向けてしまった。
薄い青のシーツの中に、普段きっちりセットしているだろう木野の髪がばらばらに乱れている。
順調に高まっていた快楽も急に途絶えて、はしたなくも彼の抑えの下で蠢きそうになる下肢。

「そんなんされたら、持たねえ」
「…いいよ、中でいって」
「ふざけんな」

 反動をつけて木野の上体がはね上がってきた。苦もなくそんなことのできる腹筋が僕の腹部に沿わされ、
ごく間近にその顔があるのを認めたと同時に、低い声で囁かれれば背筋が粟立つ。

「もっと楽しませろよ」

 ああ。
 その声が好きだ。
 僕をいいようにするその指先も。僕を支配したくてしょうがないくせにその実いつも切羽詰まっている
その目も。僕の目をまっすぐに見れずに伏せられた睫毛の長さも。
 ああ、木野が好きだ。
 木野のことが。
 とても口には出せないけれど。

「やっ、」

 一瞬強く唇を吸われて、直後に反対側に押し倒される。短く声が漏れてしまったのは弾みで中が擦れたためで、衝撃はない。

柔らかいベッドの上でさえ、上手に回されていた腕によって背中が守られて
いたのに気づき、嬉しかった。が、木野の上で、その体を挟んで正座していた両腿の前面の筋肉が
急に目一杯伸び、慌てて膝を折る。

「どこで…」
「え?」

 降ってくる掠れ声に問い返すと、はっきりした声で言い直された。ああもう

「どこで、ああいう動き方とか覚えてくるわけ?」

 冗談めかすことに完全に失敗しているのに、彼自身は気づいているのだろうか。
 どうしてそんなこと言うんだろう。
 心中問いかけてはみるけど答えは随分前に見つけてしまっているんだ。

「木野は、さ…」

 覆い被さってくる彼の、少し汗ばんだ顔から目を逸らす。

 木野が好きだ。全身で僕にぶつけてくるその温度も、
 苛立つくらいに分かりやすい気持ちも。

「どうしてそんなに僕のことが好きなの?」
「なっ…」

 耳まで真っ赤になった木野の顔を見て、こういうのを逆上と言うのかなと思った。小説ではよく
見るけどあまり実際にはお目にかかることはないし、自分が逆上したことも多分ない。
 手首を乱暴に掴まれた痛みで思考が中断した。
 痛い。痕になりそうだ。

「痛いよ…」
「誰がお前のことなんか!」
「そ、」

 そう?と訊こうとして、中を突き上げられたのに声が詰まった。
 木野は僕の弱点を正確に突いてくる。多分把握してしまったのではなく、僕たちは自然とそうなるんだ。
どちらがどちらに合わせたのでもなく、そういうふうにきっと生まれついた。僕は木野しか知らないけれど、
きっとそうなのだと何となく思っている。

「僕をっ、好きな木野なんて、大嫌いだ…っ」

 僕をそんなに深く愛するから、
 木野は僕の全てが信じられないんだよね。

 僕はどこにも行かない。
 僕は木野しか知らない。
 知らないままでいい。
 木野にもっと要求されたい。
 木野が望むならどんなひどいことでも大抵は聞いてしまうだろう。
 でもそんなこと、僕は言葉にしない。
 言葉を紡げば紡ぐほど、疑われてしまうのを知っている。木野のために物語を作れば作るほど、最後は彼を憤らせてしまうように。

 もっと僕を欲して。
 木野の言う通りにしたい。喜ばせたいんだ。
 でも僕をそんなに求めないで。
 これ以上求めすぎて僕を拒まないで。

 木野は切れ長の目をまん丸にして僕を見下ろした。

「…ほんとか?」
「…うん」
「久藤、」
「苛々するよ、木野」

 できるだけ優しく、にっこり笑ってみせた。下半身の感覚が邪魔をしたが、概ね上手くいったろう。
 木野は僕を好きすぎて、僕を疑うことで僕の気持ちから逃げている。
 それが勘にさわる僕も、多分木野を好きすぎるんだ。

「…久藤、好きって、何なんだよ」
「中学生みたいだね、木野」

 またからかってみたつもりだったのだけど、今度は木野は逆上しなかった。
 ただ、僕をぎゅっと抱き締めて、存分に体温と匂いを感じあってから、信じられないくらい柔らかい愛撫をくれた。

「久藤…俺は、俺がお前にこうゆうことするのは、」

 胸の突起を舌でまさぐりながら、木野は戸惑いがちな言葉を発する。十分予想可能な、それでいて手に入らない言葉。
木野も僕が既に予想済みなのに気づいていて、でもだからこそ言えない言葉。
 ほんの僅かな期待は案の定裏切られ、木野は最後まで言わず、誤魔化すように突起をつねった。
僕はそれに反応して鳴くだけ。それでいいんだ、お互いに確信犯なただの駆け引き。
 でも今日は、せっかく木野が勇気を出してくれたから、僕が代わりに続きを言おうか。
 だって言葉でだけは僕の方が上でしょう。

「木野、好きだよ」

 顔を上げた木野は、時間が止まったような表情をしていた。
 分け目が乱れて覆い被さる長い彼の前髪をそっとかき分け、続ける。

「好きだよ。木野にも、もっと好かれたいと思ってる」

 額から頬に辿り着いた僕の指が、木野の手のひらに抱き止められる。
 だからそんなに、分かりやすく感動しないでよ。
 でも今回はちょっと嬉しいかな。

「お前、さっき言ってたのと」
「うん?」
「…や、いいけどさ、別に」

 頬に寄せられる唇に気恥ずかしい思いをし、紛らすために「信じる?」と訊いた。

 木野の答えはなかった。
 ただ答えに困ったことを何より雄弁に語る口づけ。

「いいよ、…しよ」

 思わず出た溜め息は諦めじゃない。
 彼は言葉が苦手だ。けれどそれは僕だって実は同じこと。

 僕たちにできるのは狂ったように呆けたように体を重ねることだけで、それを僕たち二人はよく分かっているだけだ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )ムダニ ナガイ!

やってるだけです、という注意書を入れればよかったと今気づく。
好き好き言っててアホみたいな本屋達ですみません。反省は後でする。


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