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水土話

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  FF4四天王力イナッシォ×ス力ノレミリョーネの水一人称話です。
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  キャラ&設定捏造ごめんちゃい。
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 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 色物注意。
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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なんの秩序もなく、ただ機械が乱雑に継ぎ当てられたようにも見える無機的な通路が、
延々と続くゾッ卜の塔の内部をゆっくりと歩く。
頭上を飛び回るプラクティが鬱陶しくて乱暴に手で払うと、ぎいぎいと甲高い悲鳴を上
げつつ逃げていく。
その姿が酷く無様で面白く、俺はクカカと低く笑った。

小煩い赤マント姿の同僚が見たら、眉を潜めつつ自分の部下はもっと労れ、などと説教
を垂れていたかもしれないが、あいにく奴はこの場にはいない。
ゴノレベーザ様の言い付けで、何所かへ遠征しているらしい。なるべく七面倒臭くて時間
が掛かる任務だと良いのだが。奴がいないに越したことはない。
奴のことは別に嫌いではなかった(奴は良い奴だ。驚くべきことに)が、それを差し引
いてもあの真面目腐った説教は聞くに耐えない。非常に頂けない。
遠い深海の果てに沈んだお袋を思い出すから止めてくれ。恐ろしい。

そういえば、(人間の観点からすれば)非常に艶めかしい姿をしたもう一人の同僚
も、今日はなんの用事か塔にはいない。まぁ、あの女の考えることであるから、俺のよ
うな奴には想像もつかない用事なのだろう、きっと。
前者の生真面目な同僚よりは、幾分か話しやすいその同僚が不在であることを、俺は少
しだけ残念に思った。今日はとても暇だ。任務もない。やることもない。

退屈は魔物をも殺す。

あまりに暇で仕方がなかったから、いっそのことゴノレベーザ様のところへでも行って、
なにか任務でも貰ってこようかとも考えたが、良く考えなくてもあの凶悪なデザインの
兜の下、上司が目をまんまるにして「……明日はメテオでも降るのか?」などと真顔で
聞いてきそうな予感がしたから、止めておいた。
人間(いや、俺はモンスターだが)慣れないことはしないほうが良い。

時折擦れ違う部下をど突きつつ、塔を下へ下へと降りていく。この"えれべえたあ"とか
いう装置のことが、俺はどうにも好きになれなかった。昨日食べた伊勢海老が逆流しそ
うになる。

元は人間であったらしい、赤いマントの同僚はあまり気にしていない風だったが、
この装置、俺と同じく生粋のモンスターである奴等には、かなり不評らしい。
人間が作り出した物に順応できるのは、やはり人間だけなのだろう。

だが、あいにくいくら不評といえど、このゾッ卜の塔の移動手段は"えれべえたあ"のみ。
なので、俺は渋々その装置を使用することにする。この塔設計したの、いったいどいつ
だ。分かり次第縊り殺してやる。
まぁ、大海原にでも出て小さな港町の一つや二つ、津波で沈めてやれば、気分も幾分は
マシになるだろう。
そんなことを考えつつ、ようやく二階へと降りた俺の鼻を、馴染みあるにおいが掠めた。
濡れた地面と甘い腐臭。さて、誰であるかはあまりにもたやすく想像がつく。

「お前達は、ゴノレベーザ様にご報告をしてくるのだ……。」

何時も陰気な口調が、疲れのためか殊更に陰気に聞こえる。
錆び付いた鋸のようにざらりとした声は、モンスターの俺には妙に心地よく響く。
そもそも奴が常にまとっている死のかおり自体が、俺達モンスターにとっては心地良い
のだろう。まぁ、奴自身と一緒にいて心地良いかは別として。
何時も横に傅かせているスカルナント達が、のたのたと歩いて行くのを見送りながら、
奴はふしゅるるるるる、と空気が抜けるような音をたてた。
今のはきっと、奴なりの溜息なんだろう。

 そういえば、いったい何所へ行っていたのやら、最近姿を見なかったな、と思い当た
る。
相当遠くへ行っていたのか……まぁ、思わず同情してしまうくらい弱っちい奴のことだ
から、簡単な任務で手間取っていただけなのかもしれないが。
枯れ草色の重苦しいローブの影から、禍々しい黄色の瞳を二つ覗かせ、奴はふと顔を上
げた。視線を感じたのか。
俺と目が合った瞬間、奴の身体がほんのわずか、細心の注意を払って観察していなけれ
ば分からないほど微かに、ぎくりと強張った。

「……力イナッシォ……。」
「久し振りだなぁ、ス力ノレミリョーネ。」

やや躊躇いがちに、小さな声で奴は俺の名を呼んだ。俺もわざとらしく奴の名前を口に
する。
獲物を見つけた捕食者のごとき笑みで大股に近づく俺に、ス力ノレミリョーネは歩み寄る
わけにも後退りするわけにもいかず、途方に暮れた様子で棒立ち(奴の身体は歪に捩じ
れているから、この表現は正しくない)になりつつも、必死でなにかを考えているよう
であった。

考えている内容は、手に取るように簡単に予想できた。この厄介な状況を、如何にして
切り抜けるか、だ。
惨めに痩せ細った死体姿であっても、腰と背中から生えた四本の触手と、着膨れする重
苦しいローブのお陰か、今のス力ノレミリョーネはそれなりに大柄に見える。
しかし、俺は今の奴よりも更に頭数個分大柄だ。

「……なんの用だ……。」

圧し掛かるような俺の影の中、見上げてくる濁った黄色の目が不安げに瞬き、それを見
返す俺の中に苛付いたような愉快なような、なんとも言えない感情がふつふつと湧き上
がってくる。
ス力ノレミリョーネを相手にしている時にだけ、ごくたまに感じるこの感情は、すでに馴
染みのものとなっていて、俺はそれをあえて無視しつつ、大袈裟に首を傾げて見せた。

「用がなくちゃ話もできないのか?」
「……いや、」

予想通り、戸惑った様子で小さく一度だけ首を振るス力ノレミリョーネに、俺は今度はに
たりと凶悪な笑みを作って見せ、

「なら、別に良いだろう。最近お前の腐った面を見なかったから、如何したのかと思っ
 てな。」

お前のことだから、エクスポーツョンでも飲んでうっかり成仏しちまったのかと思った
ぜ、などと言うと、ス力ノレミリョーネは分かりやすく顔を歪めた。単純な奴だ。
ローブで見えないが、おそらく顔は怒りでどす黒く染まっていることだろう。
……顔が見れないのが残念だ。
ふとそう思い立つと、それは本当に残念なことのように思えてきた。勿体ないじゃない
か。勿体ない……なにが? 分からない。

「おい。」
「なんだ……。」
「ローブ、脱げ。」
「はぁ……?」

ス力ノレミリョーネは呆れた、というよりは馬鹿にしたような間の抜けた声を出した。声
にはあからさまな「なに言っちゃってんのこいつ頭に海水詰まってるんじゃないの?」
って感情が滲んでいる。ス力ノレミリョーネのくせに生意気な。

奴がローブを脱いだところで、別になんの意味もないしなんの感情も湧かない(それは
当り前だ。当り前だろう。うん)だろうが、それでも一応は同等の立場にある俺の命令
をほいほいと聞くのは、奴のプライドが許さなかったのだろう。ス力ノレミリョーネはや
や早口に、

「……意味のないことだ。付き合ってられん……。」

と言い捨てると、俺の横を亡霊のように(ようにと言うか、実際亡霊みたいなものなん
だが)足音もなくすり抜けようとする。
だが、俺はまだ奴を逃がす気はなかった。素早く奴の腕を掴むと、乱暴に引っ張る。奴
がつんのめって体勢を崩し、俺を睨みつけてきた。胸が空くような良い気分になったが、
何故かは分からなかった。
奴は一瞬迷い、それから意を決したように、なかなか笑える台詞を吐いた。

「……わ、私はゴノレベーザ様にご報告を……。」
「んんん? 変だな、お前はお前の可愛いゾンビどもに、もう報告するよう頼んでいた
 んじゃないのかぁ?」
「……!」

深く被ったローブの上からでも、奴の顔が先程よりもいっそう濃く染まっていくのが良
く分かった。
あぁ、そうだろう。俺から逃げるための苦しい嘘、苦しい口実が、あっさりばれちまっ
たんだから。俺から逃げたいのがばれたんだから。
そりゃ恥ずかしいよなぁ、ゴノレベーザ四天王の一員として。

これがバルバリシア辺りだったら、しれっと「あら、そんなこと言った覚えはないけど?」
などととぼけることができるのだろうが、可哀想なことに脳味噌まで腐っちまったせい
か、アドリブの全く効かないこの同僚は、ただ羞恥かもしくは怒りにぶるぶると身体を
震わせているだけだった。
俺は馴れ馴れしく奴の肩に手を置くと、慰めるように言う。

「なんだお前、そんなに俺が怖いのか……?」
「違う、」
「同じ四天王の一人が怖いだなんて、お前は可哀想な奴だなぁ。」
「違う。私は……。」

骨の突き出た歪な腕を引いて、ス力ノレミリョーネを懐の中に収める。
小さく首を振るほかは、抵抗らしい抵抗もない。

「弱いうえに臆病だなんて、本当に哀れな奴だ。」

鋭い鉤爪と水掻きのついた手で、そっと分厚いフードを脱がせた。顔色はどす黒い、と
いうよりはやや青ざめている。
腐敗した顔に申し訳程度についた縮れ髪を払い、俺は今にも腐り落ちそうな耳にそっと
囁いた。

「あんまり可哀想だから、お前のことは俺が守ってやろう、ス力ノレミリョーネ。」

せいぜい俺の後ろで震えていろと付け足すと、なにかきゃんきゃん吠えようとしたので、
壁に押し付けて黙らせた。
外出する気はもうまったくなくなっていたから、沈めてやるつもりだった港町の連中は、
奴に感謝すべきなんじゃないかとふと思った。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ……なにが書きたかったんだっけ?
 | |                | |     ピッ   (・∀・;)
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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