双子信号
更新日: 2011-05-03 (火) 13:56:25
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
旧ガソガソの双子信号(英訳)の父親と父親の兄(ロボット)のお話。最初が過去、次が現在のつもりです。かなりマイナーでもキニシナイ!
「正イ言さん。」
穏やかな声が僕を呼ぶ。少しだけ上から、とても心地の良い声。
目を閉じてソファーに横になっていただけだったけれど、いつの間にか眠ってしまったみたいだ。
少し悪戯をしてみたくなって寝た振りを続けた。目を閉じていてもなんとなくわかる。僕の兄が、困った顔をして僕を見つめている。
規律正しい市長としてプログラミングされていて、僕の兄として生活しているカルマは、だらしのない僕の寝姿を見ていられないのだろう。
白い手袋に包まれた華奢な指先が近づいてくる。そっと、僕の髪に触れた瞬間、目を閉じたまま相手の名を呼んだ。
「カノレマ。」
僕が狸寝入りしていたことに気が付いて、困った顔が呆れ顔に変わったのがわかる。僕はカノレマを困らせるのが好きだ。
現在唯一の人間と同じ大きさのHFR。それも絶世の美貌を持つ、後に作られるロボット達の頂点に立つべき存在。
そんなカノレマをこんな風に困らせることができるのは、やはり「弟」としての特権だった。
「仕方のない人ですね。」
温かな手が僕の頭を撫でる。困った顔をして、それでも少し嬉しそうに。
漸く瞳を開けた僕は、カノレマの薄い緑色の瞳と、綺麗な金髪に隠された人工的な機械の瞳の両方を見つめて言った。
「僕たちは、ずっと兄弟でいられるよね?」
いられるわけがない。カノレマはロボットが統治する街の市長で、一時的に僕と暮らしているだけ。僕がロボット工学者になったとしても、多分、遠い存在。
「えぇ、きっと。」
それでもカノレマは兄弟でいる、と答えた。それが僕を気遣っての嘘なのか、本心からそう思っているのかはわからない。
でも、嬉しかった。
僕はまたゆっくりと瞳を閉じる。今度は、カノレマがいるのがわかっているからそのまま眠るんだ。
目が覚めたらまた一緒にいよう?
いつまでも兄弟、だよね。
「正イ言さん、正イ言さん!」
心地好い声。でも、少し急かし過ぎじゃないか?
僕の狸寝入りは3年くらい経つとカノレマに見破られるようになった。
でも、僕は目を閉じたまま。寝た振り。実際、さっきまで眠っていたのは事実なんだし。
「全く…仕方のない人ですね。」
もうカノレマも勝手がわかっている。僕はカノレマを困らせたいだけなのだから、しばらくそこにいればそのうち僕は目を開ける。
でも、カノレマの考えは僕にもお見通しだ。
「ねぇ、カノレマ。」
「何ですか?正イ言さん。」
カノレマのお望み通り目を開ける。僕を覗き込む瞳は、金髪に隠された瞳も美しい澄んだ緑色に変わっていた。
「頭撫でてよ。」
唐突な申し出にカノレマはしばらく面食らっていたが、そっと…そっと僕の頭を撫で始めた。ぎこちなさは無い。
「昔の夢を見ていたんだ。僕が子どもの頃。カノレマが僕の家にいて、ずっと一緒にいた時のこと。」
頭を撫でているカルマの表情が複雑に、けれど懐かしさに満ちていく。様々な事件の前、幸せな過去。
「正イ言さん。」
「ん?」
頭を撫でられている僕はアトラソダムの制服を着て、随分前にカノレマの背も、年も追い越してしまった。もう、本当に過去になってしまったんだな。
「貴方がどう変わろうと、私がどう変わろうと…貴方は私の弟ですよ。」
穏やかな声が僕に告げる。まるで、僕の考えなんか見透かしてしまっているように。
「カノレマは僕のこともう見限ってると思ってたよ。僕があまりに不肖の弟で。」
「わかっいて言っているでしょう、正イ言さん。」
クスクスと上品な笑い声が聞こえる。
いつもと同じ。やっぱり僕たちは、兄弟だったね。
ずっと、ずっと一緒にいようよ。
僕たちはいつまでも兄弟、だよね?
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
この板に書く必要が無いくらい接触が少なかったかもしれない。
この兄弟大好きだ!
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