スイッチ
更新日: 2015-11-11 (水) 12:37:33
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 棚には初投稿らしいモナ‥‥。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| お前が緊張してどうする。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | カタカタ・・・(´∀`ll)(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
聖なるお兄さん達のSSです。
「うーん・・・・・・気になる・・・・・・」
ある日の昼下がり。
いつものように片肘を立てて昼寝をしている仏田の顔を、家須は真剣な顔で眺めていた。
まるで幼児が車の下に入った猫を覗き込む時のように、もしくは中学生が自販機の下に落ちた小銭を漁る時のように跪いて家須が凝視しているもの、それは・・・・・・
「どうなってるんだろ、これ」
仏田の額のホクロであった。
最近仏田は散歩や買い物で外出すると、必要以上に疲弊して帰ってくる事が多い。
汗でべたつく首の下を拭い、肩で息をする彼に事情を問うた時、高確率で挙げられるのがこのホクロなのである。
彼のホクロには何やら言いようもない魅力があるらしく、彼の額にあるそれを目にした民衆は、時に彼のホクロを「押したい」という強い衝動に駆られ、彼を追いかける。
中でも子供はとりわけ凶悪で、近頃は仏田のホクロを的に輪ゴム射的を始めたというのだから、いよいよ世も末と言わざるを得ない。・・・・・・世紀末の災厄よりも厄介である。
しかし、彼のホクロに魅了されているのは、実は人間だけではなかった。
事もあろうに彼と同棲、いや同居している聖人も、ついぞ彼のホクロに興味を持ち始めてしまったのである。
「いっぺんだけでいいから触ってみたいなぁ・・・・・・でも触ったら絶対怒られるもんなぁ・・・・・・」
仏田のホクロは見た目以上にデリケートなようで、ほんの少しでも突つこうものなら即ち悲鳴が挙がるほどである。
事情を知らない子供や酔っ払いならまだしも、事情によく通じた自分がただの興味本位で触ったとすれば彼の怒りを買うこと請け合いだろう。ちなみに仏田が怒ると物凄く怖い。
・・・・・・しかし。
「こういうのっていっぺん気になりだすと止まらないんだよね・・・・・・今なら仏田も爆睡してるし……」
なんと、家須の結論は無謀にも「押さない」よりも「押す」方向に傾きつつあったのである。
「仏の顔も三度までって言うし、押すのは一度だけだし、一度だけなら怒られないかもしれないし、近くで見たら意外と柔らかそうだし・・・・・・」
頬を上気させ、次第に荒くなる呼吸を抑えながら、震える指を仏田の額に伸ばす半ば変質者テンションの家須に、すやすやと平和な寝息を立てている仏田は気付く様子もない。
家須はさらに指を近付ける。緊張に呼吸が止まり、代わりに心臓がどきどきと高鳴る。
「(もうちょっと・・・・・・もうちょっとだ・・・・・・)」
ぎゅっと目を瞑る家須。そして。
ぴと。
ついに、家須の細長く節くれだった人差し指が、仏田のホクロに接触した。
「んっ・・・・・・」
仏田が目を閉じたまま身じろぐ。と同時に家須はばっと身体ごと離れた。
「ご、ごめん起きた?!仏田起きちゃった?!ごめんねごめんねほらあのさ普段みんながあんまり触りたがるもんだからさ実際どうなのかなとかさ、本当ごめんねごめ・・・・・・」
途中まで言って、相手がまだ深い眠りに落ちたままである事に気付く。
「(な、なぁんだ・・・・・・)」
慌ててしまった自分が馬鹿みたいだ。家須は恥ずかしい気持ちを誤魔化すかのように、もう一度姿勢を低くして仏田の顔を覗き込むと、神妙な面持ちで考察を始めた。
「(それにしても、さっきの反応・・・・・・)」
仏田から漏れた声は、若干鼻にかかったような、甘えるような、とにかく家須が普段聞いたことのないような声だった。
けれども、それは痛みや怒りのような「不快」なものに対する響きともまた違うように思える。
「(もしかして、ゆっくり触ると痛くない・・・・・・とか?)」
だとすれば大発見だ。もし痛くないとすれば、今後彼のホクロを狙う小学生やリーマンにも「ゆっくり触るように」注意するだけで、彼は逃げる必要がなくなるのである。
「(でも、さっきのちょっと触った分だけじゃ分からないよね・・・・・・)」
いつの間にか、家須の指はまた仏田の額に伸び始めていた。表向きは仮定の裏付けのため、しかして実際の動機は純粋なる好奇心によるものである。
何故だかは分からない、が、その時家須は先程仏田が発した不思議な声をもう一度聞いてみたいと思ったのである。
「(次触ってもまだ二度目だしね・・・・・・今日はまだ悪いことひとつもしてないから、セーフだよね・・・・・・セーフ、だよね・・・・・・)」
家須の鼻息に、仏田の睫毛がかすかに揺れる。その間にも家須の指と仏田のホクロは、着実にその距離を縮めていった。
「(今度はもうちょっと長めに触ってみよう。すぐに離しちゃったらその次はもう三度目だし、もったいないもんね・・・・・・)」
ぴと。
家須の指先がまたホクロに触れた。
「うう・・・・・・ん」
仏田がさっき触った時と同じ声を出す。
一瞬たじろいだ家須だったが、すんでのところで「次に触ったら三度目」という言葉を思い出し、仏田のホクロを離すには至らなかった。
「(やっぱり、あんまり痛そうには見えないんだよなぁ・・・・・・)」
ホクロに触れた指はそのままに、仏田の寝顔を観察する。見る者全てを癒し和ませるような、慈愛に満ちたいつもの寝顔である。
「(ちょっと動かしてみよう)」
指が離れないよう細心の注意を払いながら、ホクロに当てた指をすーっと動かす。
仏田はぴくりと動いたが、幸い悲鳴をあげる様子は無かった。
「(ほら、絶対そうだ。ホクロが痛いのは触り方が悪いだけなんだよ。)」
自分の仮説が証明された事で調子に乗った家須は、少し大胆にホクロをなぞり始めた。
家須の指が動く度に、仏田は小さく痙攣したり、かすかな声を漏らしたりする。不思議なことに、家須の目にはそんな仏田が可愛く映った。
「(面白いなぁ・・・・・・仏田のホクロ。見た目以上に柔らかいし、つるつるだし)」
仏田はいつの間にか耳まで赤くなり、額にはうっすらと汗が浮かんでいる。
時折家須がうっかり強めの刺激を与えることがあったが、不快そうな反応は一向に見られなかった。
「(・・・・・・今なら、ちょっとぐらいきつく押しても痛くないかもしれない。)」
家須はごくりと生唾を飲んだ。ホクロに当てた指に少しずつ力がこもる。
その時。
「家、須・・・・・・や、め・・・・・・」
熱に浮かされるように仏田が呟いた。
家須は思わずぱっと指を離す。
しかし、次の瞬間仏田の唇から漏れたのは、意外な言葉だった。
「・・・・・・ないで」
「仏田?」
仏田の言葉は完全に寝言だったようで、聞き返した家須に返答はなかった。
「(変なの、仏田。今『やめないで』って・・・・・・」
当の本人は紅潮していた頬もいつの間にか元に戻り、今は規則正しい寝息を立てている。
「(・・・・・・本当にやめない方が良かったってこと?)」
仏田のホクロを見つめながら、家須は悶々とした。
次は禁断の「三度目」である。しかし、もし家須が仏田のホクロを触るという行為が彼の怒りを買うに値しないとすれば、それは罪には問われない。
どうしたものか。
知らぬ間に仏田のホクロすれすれで待機している人差し指を見ながら、家須は悩んだ。
どちらかというと、触りたい。
仏田のホクロには得体の知れない中毒性がある。
しかし、次の一回が彼をお怒りモードに陥れるスイッチにもなりかねない。
どうしたものか。
どうしたものか。
・・・・・・・・・・・・。
家須の額が、ちくりと痛んだ。次いで、温かい液体がじわりと眉間をなぞる。
「(ヤバ、聖痕開いちゃった・・・・・・)」
自分の我慢は既に臨界点を突破してしまったらしい。
これ以上長引くと健康に良くない。
そう判断した家須は、思い切って人差し指を前に突き出した。
ちょん。
・・・・・・・・・・・・。
仏田の口から声が漏れることはなかった。
代わりに、仏田の無機質な目だけがぱちりと開いた。
「家須」
仏田はむくりと起き上がると、部屋の隅に飛び退いてガタガタと震えている家須に満面の笑みをもって命じた。
「カーテンを閉めなさい」
「私がなぜ光っているのかわかりますね・・・・・・?」
正座で向かい合う家須と仏田。
真っ暗な部屋で、いつも通りのお説教が始まった。
しかし、いつもと違うところが一つだけあった。
「・・・・・・フフ、さっきから一体何W出ているのやら・・・・・・」
実は、1Wも出てはいないのである。仏田の顔は、まったく光っていなかった。
仏田が光らない理由。
考えられる二つのうち一つは、「彼が全く怒っていない」こと。
もう一つは・・・・・・
「(仏田、まさか・・・・・・)」
――「何か徳の下がる下世話なことを考えている」んじゃないだろうね。
「まさか・・・・・・まさか、ね」
「何が『まさか』なのですか?」
「な、何でもありません・・・・・・」
仏田も、そろそろ自分が発光していないのに気付いているだろう。
それでも家須がそれを指摘しないのは、ほんの少しの優しさと。
「(・・・・・・暗くて、良かった)」
陽光を完全に遮断したその暗さが、奇妙な熱を持ち始めた自分の頬を隠すのに最適であったから・・・・・・かもしれない。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ドゲザノジュンビ、デキテル?
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
前投稿の方の直後だったり、分母が途中で大幅に変わったりしてしまって本当にすみません。
266さん申し訳ないです。
- 二人とも可愛い…! -- 通りすがり? 2015-11-11 (水) 12:37:33
このページのURL: