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アリマタヤの薔薇

Happy Valentine's Day!映画スレ14の441です。
去年の今頃だったかな。ダ・○ィンチ・コー○スレの最後の方で、
幾つかのレスの応酬が物語っぽくなったのを、僭越ながら作品化したものです。
オリキャラ嫌いな人、強姦ダメな人、猫またぎして下さい。
ところで、みんな地べたにザコ寝してる牢獄なんかあるんだろうか・・・・。まあいいや。

小説&映画 ダ・○ィンチ・コー○
シラス輪姦@アンドラ

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アリマタヤの薔薇

 「はあっ、はあっ、うっ、ああ、うう」
 冷たい石の壁に彼の掠れ声が反響する。薄闇の中でも、彼の白い裸身が艶めかしく悶える様が残酷なほどはっきりと見える。
 「あっ、ああ、バル・・・・バルトロメ・・・・」
 牢名主のバルトロメは彼の両足を抱えこみ、激しく突き上げている。私の所からは彼の土踏まずや、反り返って痙攣する足指までもが見える。彼の片手が土の床を掻き毟る。苦痛の為か、それとも快楽の故か。
 私は反対側の壁際で眠ったふりをしているが、その実、毛布の中からこっそりと二人の交わりを盗み見ている。嫉妬で胸の内が煮え滾るようなのに、どうしても彼らから目を離すことができない。
 私の下腹部にもさっきからずっと血が漲っている。衣服の上から、熱を帯びたそこをそっと握りしめる。私のその部分は、もう長らく、欲望を充足させる術を知らない。
 私が起きていることを知っているわけではないだろうが、バルトロメはまるで見せつけようとでもするかのように、彼の唇を吸いながら、片手の指で乳首をキュッと挟んだ。
 「きれいだぜ、エスペクトロ。おまえは俺の女神だ。毎晩抱いても足りねえよ」
 彼の太腿をさすりながら、歯が浮くような台詞を囁く。こっちが赤面しそうだ。
 「もう寝かせてくれよ。お互い朝早くから重労働が待ってるんだ」
 素気なくそう返すと、彼はバルトロメの体の下からするりと抜け出した。背中を向け、頭からスウェットシャツを被る。
 「おっと」
 バルトロメは諦め悪く、背後から彼を抱き竦めた。スウェットを捲り上げる。柔らかそうなベビーピンクの乳首を、黒い毛の生えた指が摘まむ。下から支えるように持ち上げる。上下左右に弾く。
 「あ・・・・」
 双の乳首を責め苛まれ、彼の体が軟体動物のように張りを失って、しどけなくバルトロメにもたれかかった。バルトロメは彼の首筋にキスしながら、楽器でも弾くかのように、彼のなだらかな胸に、腹に、脇腹に片手を滑らせる。「あっ・・・・あ、あ、あうっ」愛撫を受ける度に、彼の体がびくんびくんと震える。バルトロメが忍び笑いを洩らす。
 「ふふ・・・・敏感な体だ、エスペクトロ。そのきれいな顔といい、白くて滑らかで柔らかい肌といい、おまえは男に抱かれる為に生まれてきたんだよ。天性の娼婦さ」
 右手で彼の乳首を、左手で股間を刺激しながら、バルトロメは彼の左の腋の下から頭を潜らせた。口髭に覆われた唇で乳輪を挟み、舌先で乳首をこねくり回す。
 「ああっ!バルトロメ、もう放して・・・・許して」
 彼は身をくねらせ、バルトロメの腕から逃れようとする。バルトロメはますます強く彼の体に四肢を絡みつけ、そうさせまいと粘る。
 「だめだ。あと一回やらせろ。今度はワンコみてえに四つん這いになりな」

 看守たちにだってわかっていた筈だ。まるで狼の群れの中に羊を放すようなものだと。
 彼が初めてこの雑居房に連れて来られた時、囚人たちは色めき立った。その外見の奇妙さから、手ひどい罵声を浴びせる者も少なくなかった。しかし、それは当然、彼のことがただの新入りという以上に気になったからであり、内心、その美しい顔形に、十八歳という若さに、神秘的と言ってもよい不思議な容貌に惹かれぬ者はなかった。
 勿論、私もその内の一人だった。名前を尋ねると、彼は思い出せないと言う。囚人や看守はその風変わりな姿から幽霊(エスペクトロ)と仇名を付けたが、私はその名前では呼びたくなかった。幽霊よりも天使に似ていると思った。
 本の好きな、寡黙で大人しい青年だった。生活態度も模範的と言っていいくらいだった。彼が実の父を含め、二人も人を殺していると知って驚いたが、私の彼に対する思いは変わることがなかった。
 元浮浪児であれ、人を殺めるという償いきれぬ深い罪を犯して獄に繋がれている囚人であれ、その表情や言動の端々からは、彼本来の繊細さや、純粋な心根を絶えず感じ取ることができたからだ。それらと、決して言葉にして語られることのない彼の孤独と誇りを、私は何よりも愛した。
 聖なるもの、崇高なるものに対する憧れにも似た感情を、彼に対して密かに抱き続けた。私の中にまだそんな部分が残っていたとは、自分でも意外だった。そのようなものはもう、時の彼方に過ぎ去った幼少時代に置き去りにしてきたと思っていたのに。幾度となく人生に裏切られ、運命に見放され、他者を呪い、社会を恨み、ついに犯罪に身を堕としたあの時、跡形もなく消えてなくなったと思っていたのに。
 だが、他の囚人たちにとっては、彼の内面などはどうでもいいことだった。素直でもの静かな性格など、この力の支配する檻の中では、寧ろ弱点に過ぎない。
 特異な体に対する興味は、すぐに性的な好奇心へとすり替わった。或いは、それを含むものとなった、と言うべきだろうか。
 「何をするんだ!やめろ!嫌だったら、放せ!」
 大勢で手足の自由を奪われ、衣服を剥がされる彼の悲鳴が、今も私の耳にこびりついている。男たちが下卑た歓声を上げながら彼のスウェットシャツを脱がせ、腰紐を解いてスラックスを引き下ろす。下着が毟り取られ、下腹部が露になる。かわいそうに、手で隠すことすらままならない。
 その時私は、ちょうど今のように頭から毛布を被り、狸寝入りをしていた。目だけ出して、彼が素裸にされ、同房の囚人たちの慰みものになる様子を窺っていた。
 決して楽しんでいたわけではない。辛かった。彼を助けたかった。だが、その勇気がなかった。バルトロメが、その取り巻きたちが怖かった。ただそれだけの理由で、私は毛布の中で縮こまり、彼の美しい肉体が、気高い精神がズタズタに踏み躙られるのを黙って見過ごしにしたのだ。
 バルトロメが彼の左の乳首をつついたり、輪を描くようになぞったりしている。「はあ・・・・エスペクトロのおっぱい・・・・んちゅ・・・・甘い」太り肉で、知能発達に大幅な停滞が見られるイノサンが、巨大な蟇蛙のように、右の乳首を舐め回している。興味津々の好色な目に、手に、舌に、体中を余す所なく撫でられて、彼の薄青い瞳から止め処なく涙が溢れ出す。
 「嫌だ・・・・やめろ・・・・ああ・・・・お願い・・・・やめて」
 彼が身を捩って哀願する。その姿態の息を呑むような妖艶さ。それでは相手の情欲と嗜虐心を煽り立てるばかりだ。
 どんなに泣き喚こうとも、若く健やかな体は正反対の反応を示してしまう様が痛々しくさえ見える。バルトロメがくつくつと笑いながら、滴る露に濡れそぼって戦くそこを揉みしだく。
 「どうだエスペクトロ、気持ちいいか?もっとしてほしいか?え、嬉しいんだろ、この淫売!」
 それ以上見ているのが耐え難く、寝返りを打って壁のほうを向いた。だが、背中で何が行われているかは一部始終、手に取るようにわかった。「ああーっ!痛い、いた、痛いーっ!バルトロメ、やめて!ジョゼフ!みんな!誰か・・・・誰か助けて!痛い!」耳を塞いだが、同じことだった。地獄のような時間がやっと終わってからも、彼の忍び泣く声がいつまでも続いて眠れなかった。いつまでもいつまでもいつまでも。

 あれから暫く経った。
 最初の頃は大暴れに暴れ、叫び、罵っていた彼も、次第に無駄だと気づき、殆ど抵抗しなくなった。参加するだけの度胸はないが、彼が何をされるのか期待しながら見守っていた者たちも、最近は「またやってんのかよ」くらいの反応で、さっさと毛布にくるまって寝息を立てるようになった。彼に対して幾分同情しながら、結局何もできずに張りつめた思いで見て見ぬふりしていた者たちも同様だ。ただ一人、私を除いては。
 両手両足をついた彼の背中の上で、バルトロメの体が律動している。息遣いが、腰の動きが速くなり、やがて低く呻いて、果てる。
 バルトロメが彼から離れる。草臥れたのか、解放された彼は裸のまま床の上に倒れ、身動きしない。
 バルトロメは暫く、床に座って呼吸を整えていたが、突然こちらに向かって大声で呼ばわった。
 「おい、ジョゼフ。いつまで出歯亀してる気だ。おまえもこっちに来てこのお姫ちゃんといちゃつけよ」
 あまりに驚いて、思わず跳ね起きてしまった。バルトロメはニヤニヤ笑っている。彼は床に仰向けになったまま、顔だけこちらに向けている。その表情から何の感情も読み取れないことが私を安堵させ、同時にひどく狼狽させた。
 この房の住人なら、バルトロメの言うことに従わないわけにはいかない。私も例外ではなく、牢名主の手招くままに、ふらふらと立ち上がってそちらへ向かった。
 私の足元に、一糸も纏わぬ彼が横たわっている。ずっと私の憧れだった天使。人ならぬ彼には、生まれたままのその姿が一番似合っているような気がする。
 「知ってるんだぜ、おまえが前からこいつに惚れてるってことは。さっきから俺とこいつがやってるの見てて、随分と興奮したろ?たまにはおまえにもいい思いさしてやるよ」
 上機嫌で言うバルトロメの声など、まともに耳に入らない。私の視線は彼に釘付けだ。口の中が渇く。目が眩む。鼓動が高まり、呼吸が乱れ、下腹部が痛いほど充血する。
 こんなに近々と彼の裸体を見るのは初めてのことだった。バルトロメの唇が這いずった跡が赤紫の痣になって点々と残っているが、その純白の肢体はさながら神の芸術作品のようだ。私の視線を浴びても別段どこも隠すではないが、その端整な顔には恥じらいの色が浮かんでいる。心持ち目を逸らし、地面を見つめている。
 「な、いいだろ、エスペクトロ?」
 バルトロメが彼に声をかける。彼が小さな声で答える。
 「・・・・いいよ」
 私を襲った衝動がどれほど激しいものであったが、とても言葉で言い表すことはできない。彼に触れたい。抱きしめたい。その全身に口づけし、私の愛を刻みつけたい。彼と一つに溶けあい、数えきれない私の分身を彼の中に解き放ちたい。
 「抱きたいだろ?こいつだっていいって言ってるんだ、素直に抱けよ」
 バルトロメの言葉が追い討ちをかける。
 私はもう少しで、彼の肌の上に我が身を投げ出す所だった。
 だが、その時初めて、私の眼差しと彼のそれとがぶつかる。諦観に満ちた、悲しげな瞳。彼は明らかに、そうされることを望んではいなかった。私にもバルトロメにも、他の誰にも。嫌だと言っても力ずくで言うことを聞かされると、いや、嫌だと言おうものなら今よりもっとひどい目に遭わされると、過去の経験から予測しているのだ。
 その鬱屈、その絶望、その悲哀。そして、押し殺した怒りと、捩じ伏せられた反抗心。それらのものを彼の中に見たからこそ、私は彼を愛したのではなかったか。
 私は犯罪者で、しかも臆病者だ。
 だが、これ以上は穢したくない。貶めたくない。彼も、そして自分自身も。
 私がバルトロメに逆らったのは、その時が最初で最後だった。
 その場から動き、壁際に丸まって投げ出されていた毛布を拾って来た。跪き、彼の疲れきった体に掛けてやる。ポケットからハンカチを取り出し、顔を拭いてやる。
 「悪ふざけはいいからもう寝ろよ。さっき君も言ってたけど、明日早いんだから」
 自分の定位置に戻る為、歩き出した。すっかり興を殺がれて鼻白んでいる牢名主に、背中でこう声をかける。
 「バルトロメ、あんたもだよ。あんまりしつこくすると嫌われるぞ」
 「何だと!?人の好意を無にしやがって、好きな女を抱く勇気もねえくせによ」
 まだ何やら、二言三言悪態をついていたが、私はもう聞いていなかった。ぶつぶつ言いながら、結局自分も素直に寝床に就いたようだ。
 バルトロメが鼾をかき始めたのを確認し、徐に姿勢を変えて、彼の方を見た。
 彼もまだ起きていて、薄暗がりの中で私を見つめていた。私と目が合うと、毛布の中でぎこちなく微笑んだ。

 そんな夜もあってから、また随分と年月が過ぎ去った。
 ある晩、大地がのた打った。牢獄を構成している石材が雨霰と降り注ぎ、囚人たちは悲鳴を上げて逃げ惑った。
 最初の大きな揺れが来た時、私と彼とは辛くも生き残った。動転しながらも、私は素早く同房の囚人たちの安否を確認した。バルトロメは何人かの男たちと共に、巨大な梁の下敷きとなり、血塗れになって事切れていた。
 阿鼻叫喚の光景の中で、彼を守らなくては、と思った。腰抜けで不甲斐ない私は、彼がバルトロメたちの獣欲の犠牲となった時、助けることができなかった。彼を傷つけてしまった。せめてもの罪滅ぼしに、今この災厄の時には、いのちを懸けてでも守ってみせる。
 暫くして、余震が来た。いや、或いはこれが本番だったのかも知れない。
 彼の頭上に、大きな壁石が崩れ落ちて来るのが見えた。
 私は走った。
 私はついに、彼をこの腕に抱き、そして、すぐに突き放した。
 凄まじい重量を伴った衝撃が五臓六腑を押し潰し、世界は闇に閉ざされた。
 私のような咎人にも、神はお慈悲を垂れ給うものか。最期の十数秒間、意識が戻った。
 壁に穴が開いている。そこから仄白い月光が皓々と牢獄の内部に差してくる。
 霞む視界の中で、天使のように軽やかに、彼が壁を通り抜けようとしていた。穴から見える外の世界は、もうだいぶ山の端に近づいた月に照らされ、さながら銀色の光の海だ。
 その月を目指し、彼の背の高い影が背中を向けて去ってゆく。こちらを振り返りもせずに。

Fin.

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

間抜けなことに、長らく棚というシステムを存じませんで、
また、他の作品との兼ね合いもありまして、お届けするのが遅くなってしまいました。
あの頃の人たち、見てるかな・・・・。お話できて本当によかったです。

勿論、他の読者様にも大変感謝しております。


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