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おっとこじゅく!

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

叩いてかぶってジャンケンポン!を想像していただきたい。

どちらがどうなるということで桃と伊達は今揉めている。
二人共に上半身は脱いで、学ランの下にサラシを巻きつけた臨戦態勢である。
ヂッと向き合い睨み合い、正座したつま先がそろそろ冷たくなって、ぼわぼわと膨れたように感じるほどには時間が経っている。
正座した腿の上に拳を置いて桃、筋のきれいに入った腕をガッシと組んで伊達。
お互いに交わすのは目線で、言葉ではない。
つらりと伊達の額に汗が伝った。真冬である。真冬の丑三つ時に、汗をかいている。冷や汗であった。
「―――で、どっちが、」
乾いて冷えて色を失っていた唇をぬらと舌が舐めていき、湿らせる。
伊達が発した言葉は対象を明確にしたものではない。
きっちり四隅にシーツを張り渡した布団の上、睨み合ったまま膠着している。

叩いてかぶってジャンケンポン!を想像していただきたい。

言葉を発した伊達に対して、一旦は受け止めた上で投げ返す。
「どっちが?伊達お前らしくもないな、何がどうだとはっきり言ってくれ」
善人純度の高い笑みを浮かべさせたら桃に適う者はいない。伊達は隠しもせず盛大な舌打ちをした。
暗い部屋に伊達の舌打ちが響く。無音だった部屋の均衡が崩れ、伊達はその悔しいほどな男前の顔を殊更に歪めてみせながら言葉を発する。
意外にも普段取り澄ました風情の伊達がこうして犬歯をむき出しにして話す様子を桃は好きであった。
それを自分ひとりの楽しみにするのではなく、実際に桃はそれを他人が居ようがなんであろうがはっきりと言う。
『ああしてイラ立ってる伊達は、かわいいよ』
それにますます青筋浮かべいきり立てば桃を喜ばせるのではないかと考えた伊達は、奥歯をきりきりさせてブスくれる。
いつものやりとりである、が、今日はそういう訳にはいかぬと伊達は腕を組み直した。

「てめえのケツを、一発俺に貸せってことだ」

下品な物言いをさせると伊達の頬から気品らしきものは消えていく、変わりにすさみの色気とも言うべきものが色とともに匂い立つ。
毒でもありそうなその色すら桃の頬は微笑を消さない。返したのは頷きである。

「わかった」
案外あっさりと快諾した桃に、これは殴り合いや斬りあいに発展してもおかしくなかろうと身構えていた伊達は張り詰めていた気を解く。
それじゃあ遠慮なく――伊達は痺れた足を叱りつけながら右膝を立てた。

「だけどな、伊達」
まったがかかる。土俵際でこんなことを言い出されても伊達にはやめるつもりはチラともない。

「まあはじめる前に言っておくが、これは俺の性分に関することなんだ」
「わかったわかった、聞いてやるから言ってろ」
伊達は鼻歌でも歌いそうな浮かれ具合で立てた膝ごと自分の身体を桃へとにじり寄せた、腕を伸ばして身体を抱き込もうとする。
桃が何か言い出したのを唇でいかにも情事らしく塞いでやろうと顔を近づけると、桃の目は空の凍て星よりなお冴えていた。
どきりとする、伊達は桃の眼差しに弱い。腕が差し伸べたまま空中に止まる、その手を桃の指が捉えた。
ひやりとする、伊達は桃の微笑みに弱い。

「やられた分は、十倍にして返すぜ?」

伊達の手が完全に動きを止めた。浮き立つ気分は急転直下、それどころか桃が握る手をほどきたいとすら思う。
伊達の目が泳いだ。泳ぎはじめてもすぐに壁にぶつかる。狭い部屋に逃げ場があるはずもなかった。
桃の顔は完全に無邪気に伊達の挙動を楽しんでいる。

さあどうぞ、晴れ晴れ笑う桃を前にして、伊達はおやすみを言って自分の布団へもぐりこむ。見事に素早い。
これを敵前逃亡と言うのであればそのそしり、甘んじて受けようと伊達は顔を苦くして腹にとうとう情欲をしまいこんだ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

文字数制限を忘れてた!二つのつもりが三つになったぜ。
オス!映画がヒットしますように!


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