ある学生の日常
更新日: 2011-05-03 (火) 14:22:50
安い学食を食いながら、俺達はとりとめない雑談で盛り上がる。
今日のお題は「無人島でたった一つ持っていくなら何が良いか」。
出てきた答えは「風邪薬」「ライター」「枕」「漫画」、果ては「空気嫁」まで。あからさまに受け狙いの答えだけれども、
妙に説得力のある回答に俺達はドッと笑う。
そして、俺の隣に座っていたコイツはと言うと「DVDプレイヤー」。ちょっと待て、電気も無いのにどうやって見るつもりだ、
たった一つしか持って行っちゃいけないんだぞ、ソフト持っていけないんだぞ、テレビだってないじゃないか、と周りから
総攻撃で突っ込みを受けると苦笑いを浮かべて、
「えー、それじゃどうしよっかな。お前何持ってく?」
ぽん、と俺の頭を叩いて話を振って来る。俺はその手を振り払い、ごくんとコロッケを飲み下した。
「そうだな。俺は釣竿持ってくわ。俺、釣り好きだし」
もちろん、釣った魚は飯にする。趣味と実益を兼ねた良い選択だ。誰もいない俺一人っきりで釣り三昧という
シチュエーションは悪くない。
すると、コイツも俺の話に乗ってきて、
「いいな、それ。じゃ、俺、包丁持ってく。で、美味い刺身にして食おう」
と瞳を輝かせた。途端に、またもや突っ込みの洗礼がコイツを襲う。
「無人島にお前一人っていう設定だって」
「そんなこと最初に言ってなかったじゃないか」
「言って無くても、普通はそういう前提だろ」
不満げにふくれっ面をして、あの野郎、
「せっかく良い考えだと思ったのになあ」
って、なんで俺に同意を求めるんだ。
だいたい、お前、包丁で魚をさばけるのか、得意料理はレトルトのカレーって前言っていただろう、そんな風に口先で
答えながらも、俺の脳内では、何故かコイツと俺との二人っきりの無人島、俺が釣った魚を俺自身が包丁で捌き、
甲斐甲斐しくコイツに刺身を食わせてやっていた。なんでそんな妄想になるのか分からないが、その刺身を食った
コイツの顔があんまりにも幸せそうで、こっちも幸せになったからすべて良し。
…・・・ああ、無人島に持って行きたいのは、コイツなのか。
それが俺にとっての模範解答なのだった。なんてこった。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ お粗末さまでした
| | | | ピッ (・∀・ )
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