邦楽枕 六弦×唄
更新日: 2011-05-03 (火) 14:18:33
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| ナマモノかつエロというコンボです。邦楽枕の六弦×唄
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| しかも何か鬱屈してるっていう
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| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
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「うあ、あっ…」
薄暗い部屋に衣擦れの音と粘膜のこすれる音と彼の呻くような声だけが響く。
僕の下で彼は眉間に皺を寄せて目を伏せ、シーツをきつく掴んで息を荒げて耐えている。
その姿はまるで、自分自身に罰を与えてるみたいだと僕は思う。
「ふっ…ぅあっ…」
強く突き上げると首が仰け反る。立ち上がった彼のそこに手を触れるとびくりと体が震えた。
「ヤマナカ…」
「っあ…はっ…はぁっ…」
呼びかけても彼はただ身を震わせて耐えるだけで、僕の声が聞こえているのか解らない。
彼との行為はいつもこうだ。ただ溺れるように事を進める。
最初に声をかけたのは僕で、当時僕は彼の事を周囲の人物の中で最も解っていると自負
していた。彼はその当時独りでぼろぼろになっていた。僕たちの音楽はなかなか受け入れられず、
メンバー間は明らかに歪んでいて気分が悪かった。それでもぎくしゃくと動き続けようとするのが
何よりも不気味で、それが永続的に続くのかと思うと吐き気がした。彼は曲も作っていたから、その
辛さは僕の比ではなかったろう。
助けてくれと言いたいのに言うのはプライドが赦さない。それを言えるだけの相手もいない。
口にはしなくとも、彼からは助けて助けて助けてという声が聞こえてくるようだった。僕も
辛かった。だから少し魔が差した。
僕は、彼は多分乗ってくるだろうと思った。僕らはどこか諦めたような酷く自虐的な気分に
なっていた。彼の家でメンバーで酒を飲んで、最後僕と彼だけ残った時に僕は彼を抱き締めた。
彼は案の定逆らわなかった。空き缶やゴミクズで散らかった部屋の床に組み敷かれながら、
彼は口の端を吊り上げて残虐な顔で嗤った。
それから僕らのおかしな関係が始まった。
最初は僕もそれでよかった。体温が傍にあることと、擬似的ではあるが疎通していることに安心した。
僕は、僕にいいように組み伏せられる彼の姿に満足もした。
でもある日、僕はこの関係に距離を感じるようになった。幽体離脱ではないけど、自分の体から
透明な膜を隔てて見ているような感覚。ねえ、これが罰を与えるためのことなら、誰だっていいんでしょ?
その言葉を何度も飲み込んだ。そこで手を引けばよかったのに僕はそれをしなかった。時々倒錯
したように、言葉も交わさず僕らはただセックスをする。
動物みたいだね。
そう思うと僕のしていることが無為に思えて、嘲笑いたい気持ちになった。
今も僕に突き上げられて嬌声を上げるだけの彼を肩を掴んで引きずり起こす。突然の事に彼は
虚ろな目のまま訳の解らない顔をしてこちらを見た。しかしすぐに両腕が伸びてきて背中に絡むと、
子どものようにしがみつかれる。ぐったりと全身を預けるように、彼は顔を僕の肩に埋める。彼の体を
揺さぶるように動かすと、再び彼の呼吸が乱れていく。
「…んっ…う…」
巻き付いた腕の力が増し、肩に額を擦り付けられる。呼気が右胸のあたりに掛かる。顔が見えない。
僕を見てない。僕である意味があるのかどうか。それが僕を不安にさせる。
彼の頭を包むように右腕を回して首筋を晒すと、そこに強く歯を立てた。
「いっ…た…!」
彼は首を振って逃れようとしたが、僕はそれを赦さなかった。大分きつく力をこめた。口を離すと、
皮膚こそ破れていなかったものの、そこにはくっきりと歯形が残されていた。
「…怒ってんの?」
僕の行動に徐々に不安になったのか、彼の混濁していた目が、いつもの目に戻っていく。僕の
感情を推し量るような目線に、僕は漠然と悲しくなった。
「マナベくん、俺、なんかした?」
言いたい言葉はありすぎてどれも掴みどころが無い。彼の質問に僕はただ首を横に振る。
「ヤマナカ、僕は、ねえ…」
苦しさを取り払いたくて言いたいことも解らないのに言葉を口にする。
僕は。
何か適切な言葉が見つからないか、言葉を心の澱からひとつずつ掬い上げていく。
僕はね。君は僕が居なくても平気なのに僕は君を好きで好きで仕方なくてそれが悔しくて
僕は腹を立てているんだ。
僕をずっと悩ませている痛切な感情は言葉に直すとあまりにも陳腐で、そんなことが言える
わけもなかった。
「マナベくん、どうした。悲しいのか。なあ」
僕が何も言えずにいると、困りながら彼は笑って僕の頬に触れる。それが優しさなのか、
もし優しさでも、どの種類のものなのか、何なのか、僕にはよく解らなかった。僕は今まで彼に
何をしたいのか、傷付けたいのか、喜ばせたいのか、それすらも解っていなかったのだなと遠くで思った。
どうしたいんだろう、僕は。
問いかけてみた。あの当時は僕も自分を見失っていて、そこに焦点が合っていなかった。
僕は。
僕は彼に何かしてあげられればいいと多分ずっと思っていた。僕は彼の支えになりたかった。
昔から、好きだったのかなあ。確信は無かったが、それは驚くほどすとんと心にはまり込んだ。
…だけどもう遅すぎるよねえ。こんなことになっちゃって。自嘲気味に思った。もう身動きが取れなくて、
何をどうするのが最良であるか、そんなことを考えるのがもう面倒くさくなってしまった。どうなっても
もういいや。どうにでもなればいい。だからせめて、伝えたいことは言ってしまった方がいい。
「…愛してる」
「へっ?」
唯一僕の口からこぼれ出た言葉に、彼は目を丸くした。
「それを、何でそんな顔して言うんだよ」
「何ていうか…恐いから」
覚悟を決めた筈なのに、喋る自分の声が頼りなくていよいよ心細かった。
「僕からふっかけたでしょう。同じバンド内でしょう?関係悪くなったらまずいから、逃げられなかった
でしょう。だから、ほら。僕が何もしなければこんなことになってなかったでしょ?」
誰でも良かったでしょ?
僕じゃなくていいんでしょ?
恐くてそれは言えなかった。こういうとき泣ける人間だったら良かったね。人ごとのように僕は思った。
「マナベくん…」
そんな事思っていたのか。彼は言った。すぐにまた口を開いたが、ひどく言いにくそうに顔をしかめた。
この先何を言われるのか、この場から逃げ出してしまいたかったが、その願いが叶う訳もなかった。
泣きたい気分になりながら、僕は彼の次ぐ言葉を待った。
「愛してるよ」
少しの躊躇ののち、彼がぽつりと言った。想像もしていなかった言葉に、僕の頭は白黒する。
反応が一瞬遅れた僕がその言葉を拾い終わる前に、彼は照れ隠しのように半端な顔で笑った。
何が起きたのかと困惑していると、額に軽くチョップを振り下ろされた。
「あのなぁ…。お前、あー、やっぱ、言わなきゃ解んねーもんなんだなあ…」
独りせわしなく忌々しげに髪をくしゃくしゃと掻き毟る。
「最初ん時!嫌だったらなあ、そんなんそこで解散してるっつーの!いい決定打になってたわ!解れよ!」
「だって、あの頃はお互い大分自棄になってたじゃない。だから…」
「そりゃそんな気持ちもあったけどよぉ…。正直な事言えば、それもかなりの割占めてたけどよぉ…。
本気で嫌な相手ならやんねーよ、ぶっころしてるっつの。…アタシ、そんなに安くないわよっ!」
最後だけ甲高い声を作って、顔を斜め下に伏せて自分の肩を両手で抱く。僕はただ圧倒されて
言葉が出なくて黙っていた。彼は顔を上げると一瞬で元の顔に戻って「解ったか」と言った。
それが、してやったり、みたいな口調だったので反抗したい気になったが、そこは素直に頷いた。
「初めて言われた」
未だに衝撃の方が大きくて現実味が無い。でもやはり嬉しくてじわりと顔が緩む。
「そうか。俺ら、こんなこと言い合うのも初めてだったのか」
「うん。おかしいねぇ」
「しかもそんな大事な時なのに入ったまんまだしよぉ、バカかっつう」
最もな指摘に、馬鹿馬鹿しくて僕らは笑った。くつくつと笑いながらまた背中に腕を回されて、
キスをする。角度を変えて何度もそれを繰り返しながら、彼はまたぴたりと僕に全身を預けるように
きつく抱きつく。唇を離すと、彼の顔が僕の首筋に寄せられる。髪がぱたぱたと触れてくすぐったい。
「こんな姿見せられるのは、マナベくんしかいねえからね」
僕の耳元でプライドの高い彼は言った。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 初投稿でした…
| | | | ピッ (・∀・ )
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六弦さんの一人称僕で統一させて貰いました。
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