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ガンダム00 公録

|>PLAY ピッ ◇⊂(・Ω・`)ジサクジエンガ オオクリシマス
・ダブルオー15話でグラロク
・棚お借りします
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追い詰めたかと思ったガンダムが淡く光を放ち始めた。本能的な恐怖を抱いて
グラハムはその場から離脱する。部下にも警告を促そうとしたとき―――爆音が轟く。
土煙が視界を塞ぐ一瞬、なにかがガンダムから射出された、気がした。

 ★ ★ ★

「結局どの陣営も鹵獲は一機もならず、か」
「こちらの被害は数百、ソレスタルビーイングの被害はガンダム一機……あとは、
未確認の機体を引きずり出したことぐらいか。犠牲の対価に見合うものかな」
カタギリは探知装置を振る。爆発した機体の残像破片や情報の回収だ。
ガンダムの爆発はすさまじいものだった。情報秘匿のためだろう、特にコクピットや
動力炉は破片すらほとんど残っていない。爆発に巻き込まれ、オーバーフラッグスも2機が大破した。
「それより君、休んでなくていいのかい?」
「平気だ。昨日はたいして動いていない。早く調査をするに超したことはない……
しかしこの貞操の固さには恐れ入る」
演習のために―――正確にはガンダム鹵獲のために掘った溝は、爆発で大きく
崩れてしまっている。ガンダムのもの、ユニオンやAEU・人革連のもの、機体のかけらが
大量に飛散して足場も視界も悪い。
かけらを排除しなければ調査機体を派遣することもできない。だが、パイロットの
殆どが疲弊している。小回りのきくフラッグにカタギリを乗せ、グラハムは本隊に先行し爆発現場を訪れた。
「それにしても酷いものだね、君のフラッグの乗り心地。欠陥でもあるんじゃないかい」
「それは悪いことをしたな。今度整備技師長に問い合せてみることにしよう」
軽口を叩きあい、辺りを探索する。棒状の探査装置を振りながら、空いた手で
カタギリはデータをモバイルに打ち込む。危なっかしい足取りだ。この技術顧問は運動能力が異常に低い。

転びそうになればすぐに支えることの出来る位置まで近づこうとし―――グラハムはふと
視界の隅に不審なものを見留めた。
「……どうしたんだいグラひゃっ」
「気をつけたまえよ…」
こちらを振り返った拍子に、カタギリは瓦礫の山から足を滑らせた。尻餅をつき、
そのままずるずると傾斜を下がっていく。グラハムはため息をつき、立ち上がるための手を貸した。
白衣はすっかり土で汚れてしまった。気休めだろうが、広げた手ではたく。
力が強いよ、とカタギリは眉を寄せた。
「機材は?」
「無事。技術者の鑑だろうわわ」
「全くだな。―――カタギリ。あれを」
顔を上げようとしてまたバランスを崩す。その腕を取ってやりながら、
グラハムは少し離れた場所を指差した。瓦礫の山からなめらかな楕円体が露出している。
表面の土埃を撫で落とし、カタギリは探査装置で楕円体に触れる。ぴーぴーと装置が反応する。
「……これは……とんだ拾いものだ」
「なんと見る?」
「救出ポッド。うちとも人革連とも違うね。多分……」
それ以上は言わず、カタギリは装置を肩にかけた。眼鏡を直し、ポケットからなにか部品を取り出す。
装置の先へ装着する。吸盤のような形をしているそれは、ぴたりとポッドに吸い付いた。
見た限り継ぎ目は見当たらない。電気を流し内部機器に干渉するのだろう。
「開くか?」
「うーん……変わった言語で組まれてるみたいで。グラハム、ちょっと蹴ってくれるかい」
「は?」
「いいからいいから」
うながされるままに、足裏でポッドを蹴った。もっと強く、とディスプレイから顔
も上げずダメ出しをされる。もう一度―――がん、という音にかぶさって電子音が鳴る。
解析終了、とカタギリはキーを叩いた。

「……日頃からこんな雑な扱いをしているのか」
「失敬な。綿密な計算によるものだよ。……で、どうする?開きそうだけど」
「生体反応は?」
「微弱。あまり上等な装置じゃないからね。誤差の範囲内だ」
音を区切ってカタギリが答える。相当衰弱しているか、気を失っているか。
あるいはその両方だろう。途中から参戦したグラハムと違い、ガンダムは二十時間近く連戦していたのだ。
「ソレスタル・ビーイングの構成員を生け捕ったとなると、これは大ニュースだよ。
どの陣営もこぞって手に入れたがる。本人にとってはこの上なく暗いニュースだろうけど」
「捕虜の人権は保障されている」
「ソレスタル・ビーイングは私設武装組織だよ? 軍の仮想敵リストにはない。条約の対象外さ」
「胸糞悪い。―――どちらにせよ開いてみるまでわからんか。君は下がっていたまえ」
「本隊の到着は待たないのかい」
「日が暮れる。それに私が落とした機体だ。初めに触れる権利だって私にあるさ」
コードを伸ばしながらカタギリは息を吐く。グラハムは腰からブラスターを抜いた。
彼を背中に庇い、構える。
開けるよ。カタギリが合図を出す。ポッドが震えた。
「―――ハジメテナノ! ハジメテナノ!」
「なっ!?」
顔の中心に衝撃が走る。グラハム、とカタギリが声を上擦らせた。
「ヤサシクシテネ! ヤサシクシテネ!」
「AI……? 派手に行ったね、グラハム。大丈夫かい?」
じんじんと痛む鼻頭を押さえ、グラハムは視線を上げた。オレンジ色の球体が跳び回る。
これが顔にぶつかってきたのだろう。機材を地面に置き、カタギリは球体を持ち上げる。
球体は耳に似た部品をぱたぱたと動かした。ハロッハロッと短く鳴く。
「これがパイロットかな。遠隔操作の可能性も浮かんでたけど」
「まさか。ガンダムは全機生身のパイロットが搭乗しているよ。対峙した私が保証する」
AIはカタギリに任せ、グラハムは開閉部の縁に手をかけた。ブラスターを突き出す。
それから、慎重にポッド内部へ身を乗り出した。

―――ポッドの内部は狭く、胎児のように身を丸めて男が横たわっていた。
ヘルメットのせいで顔は見えない。
手を伸ばす。銃口を喉に押し当て、パイロットスーツを掴んで無理矢理引き寄せる。
余程衰弱しているのだろう。反応はない。しばし迷い、グラハムはブラスターを傍らに置いた。
ヘルメットを脱がせる。片手で行うのは難儀な仕事だった。
「……随分と細い」
弱々しい呼吸音が零れる。白人で、まだ年若い青年だ。汗で湿った茶髪が
青ざめた肌に張り付いている。
カタギリを振り返る。視線があったのでうなずくと、彼は数歩前に出た。グラハムの隣に立つ。
「コーカソイドだね。君とそんなに年は変わらないんじゃない?」
「兵士の体ではないな。筋肉のつき方が不均等だ。―――眠り姫というよりは白雪姫か」
「じゃあこのAIが小人かい? キスで起こすのがセオリーだろうけど、
あいにく僕らは女王の役回りだよ」
独り言のつもりだったが、カタギリは律義に相槌を打つ。この青年がソレスタル・ビーイングの
パイロットなら―――十中八九そうだろうが、そうならば彼は公安の預かりになるだろう。
グラハムは顔をしかめた。あそこは国家の利益のためならどんな非人道的手段も辞さない機関だ。
「ロックオン! ロックオン!」
AIの表面、目を模したランプが点滅する。カタギリの腕の中でAIはせわしげに動いた。
「自動追尾(ロックオン)?」
「オキテ! ロックオンオキテ!」
「―――……は、ろ……?」
掠れた声。

ぐたりとしていた青年が薄く目を開けた。さまよう視線が、グラハムに向く。
こちらを見上げる双眸は赤く充血していた。掴み寄せられた首周りが苦しいのか、眉間に力が入っている。
目の縁に雫が溜まっていた。薄い唇が小さく動く。切れ切れに紡がれる言葉は聞き取りづらいが、
どうやら英語のようだった。グラハムはやや身を屈める。こぼれる言葉を逃さないように。
やがて、浅い呼吸を繰り返しながら彼は目を閉じた。気力がつきたのか。青年の全身から力が抜ける。
抱き込むようにしてその体を支えた。
「……なにか言ってた?」
「いや。よく、聞き取れなかった」
「そっか。とりあえず本部に報告を―――」
通信端末を取り出そうとする手をグラハムは押さえた。眼鏡の奥でカタギリが瞬きする。
その目が不意に、剣呑に眇められる。
「何を考えているのかな」
「君が想定している中で最低の事柄を」
「……グラハム、君ねぇ。正気かい?」
大袈裟なため息をつき、カタギリは顎を軽く上げた。
「捕虜の私兵化は軍紀違反じゃなかったっけ」
「一般人の保護だ。ソレスタル・ビーイングは我が軍の仮想敵リストに入っていない」
「ひどい詭弁だ」
「承知している。だからこそだ」

 ★ ★ ★

「エーカー上級大尉! ご帰投お疲れさ……あの。そちらはカタギリ技術顧問……ですか?」
動かせる機体や人員のほとんどは回収作業に駆り出されていた。
どうやら人革連が事前に取り決めていたユニオンの領域を侵犯しガンダムのかけらを
得ようとしたらしい。そのおかげで格納庫は閑散としていた。だが、それでもグラハムが
カスタムフラッグから降りると、整備兵が近寄って来た。
あまり見ない顔だ。新兵だろう。グラハムは肩に担いだ男を背負い直した。
頭から白衣を被せたので彼から顔は見えないはずだが、気持ち、遠ざける。
「慣れないドライブで酔ったらしい。私のフラッグが汚れる前に眠らせた」
「それは……メディックを手配しますか?」

「結構だ。大事ない。……互いに不名誉なことだ。できたら口外はしないでくれるかな」
「イエス、サー。フラッグの整備はどうされますか」
「カタギリが目を覚ますまで私の機体は後回しでいい。
技術顧問殿以外に任せるとすぐ機嫌を損ねるんだ。他の者にもそう伝えてくれ」
イエスサーと快い返事にうなずいて、グラハムは格納庫を後にした。
人気のないルートを慎重に選びカタギリの部屋に向かう。
幸い、たどり着くまで誰にも会わずにすんだ。借りたカードキーで入室する。グラハムに割り当てられている
士官用の個室と間取りが左右対象だ。ベッドに男を下ろす。
カタギリ―――ではない。
寝顔は白く、血の気が引いている。名もまだわからぬパイロットのためにグラハムは掛け布団を引き寄せた。
改めて見ると、まだ幼さが残る顔立ちだ。柔らかな茶の髪に戯れに触れる。
かあさん、と。グラハムを見てこの青年はつぶやいた。母親はブロンドなのだろうか。
会いたかった。ごめんなさい。いい子になれなかった。ごめんなさい。
許しを乞うように彼は何度も謝罪を繰り返していた。
「―――あまりのんびりもしていられない、か」
フラッグの中で震えているカタギリに替えの衣服を持って行ってやらねばならない。
隙を見て彼を連れ出したら、次はセキュリティカメラの確認と情報改竄だ。
この青年の手当も必要だ。
―――正気かい?
カタギリの問いがよみがえる。自分の行為がどんなに馬鹿らしいか、重々承知だ。
狂気と思われても仕方ない。グラハム自身でさえ、自らの行動に戸惑っているのだから。
人を救うことに理由など不要だ―――自分に言い聞かせるようにグラハムは一人、つぶやいた。

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□ STOP ピッ ◇⊂(´∀`*)イジョウ、ジサクジエンデシタ
・ムラムラしてやった。後悔は(ry
・あと5番数字間違えました……

  • 萌えた・・・録受けに目覚めそう・・・ -- 2010-12-29 (水) 20:45:02

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